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右脳思考を鍛える: 「観・感・勘」を実践! 究極のアイデアのつくり方

右脳思考を鍛える: 「観・感・勘」を実践! 究極のアイデアのつくり方

著者: 内田 和成

出版社: 東洋経済新報社

発売日: 2019年10月11日

📕 book review

本書は、経営コンサルタントとして活躍する著者が、自身の経験や事例をもとに、クリエイティブな発想に必要な情報収集と整理術、そして、そうした情報を発酵させ、アイデアを生み出す方法論について解説している。著者は、情報を集めるときには、パソコンなどのデジタルツールを使って膨大な情報にアクセスし、その情報をデータベース化し、活用するというような左脳的なアプローチではなく、右脳的なアプローチを推奨する。すなわち、普段の生活で何気なく行なっている観察や感覚や勘を活かして、気になる情報に印をつけておき、その情報を放っておいて熟成させるということである。著者は、このような右脳思考を「スパークする思考」と呼び、その重要性や効果、実践方法を説得力のある言葉で伝えている。

本書の評価

本書の評価として、以下の3点を挙げる。

- まず、本書の最大の魅力は、著者が豊富に紹介する事例の面白さと多様さである。著者は、自身のコンサルティングの仕事や教育の現場での経験だけでなく、様々な分野の本や記事やニュースから引用した事例を用いて、右脳思考の具体的な効果や応用例を示している。例えば、自動車泥棒が顧客志向のビジネスモデルを展開した話や、船長が若い航海士を育てるために唇を噛んだ話などは、読んでいて驚きや感動を覚えるとともに、右脳思考のエッセンスを理解するのに役立つ。また、事例の中には、著者自身が実践した右脳思考のトレーニング法やワークショップの方法なども紹介されており、読者にとって参考になるものが多い。
- 次に、本書の特徴的な点は、著者が右脳思考を左脳思考と対立させるのではなく、補完するものとして捉えていることである。著者は、右脳思考と左脳思考のそれぞれの特徴や長所・短所を明確に説明し、両者のバランスが重要であることを強調している。また、右脳思考と左脳思考を組み合わせることで、より高度な思考ができるということを、著者の代表作である「仮説思考」や「論点思考」との関連で示している。これにより、読者は、右脳思考を単なる感覚的なものではなく、ロジカルな思考と連動させることで、より効果的に活用できるということを理解できる。
- 最後に、本書の優れた点は、著者が右脳思考を鍛えるための具体的な方法やコツを提供していることである。著者は、右脳思考を鍛えるためには、以下の3つのステップが必要であると述べている。すなわち、1) 問題意識を持つこと、2) 情報に印をつけること、3) 情報を放っておくことである。これらのステップに沿って、著者は、どのようにして問題意識を高めるか、どのようにして情報に印をつけるか、どのようにして情報を発酵させるかということを、実践的なアドバイスやヒントを交えながら説明している。これらの方法やコツは、読者が自分の日常生活や仕事に応用しやすいものであり、右脳思考の習慣化に役立つものである。

### まとめ

本書は、右脳思考の重要性や効果、実践方法を、面白くて多様な事例とともに分かりやすく解説した一冊である。著者は、右脳思考を左脳思考と対立させるのではなく、補完するものとして捉え、両者のバランスが重要であることを強調している。また、右脳思考を鍛えるための具体的な方法やコツを提供しており、読者にとって参考になるものが多い。本書は、クリエイティブな発想を身につけたいと思う人におすすめの一冊である。


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