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サラス・サラスバシー 他2名エフェクチュエーション (【碩学舎/碩学叢書】)

サラス・サラスバシー 他2名
エフェクチュエーション (【碩学舎/碩学叢書】)

エフェクチュエーションとは、優れた起業家に共通する思考プロセスや行動様式のことをいいます。インド人の経営学者サラス・サラスバシー氏が、著書『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』¹²のなかで提唱しました。それまで一般化できないと考えられてきた起業家の思考を体系化し、学習可能なものにしたことで注目が高まりました。

この本は、サラスバシー氏がノーベル経済学者ハーバート・サイモン教授の最晩年の弟子として、熟達した起業家の意思決定についての研究で博士論文を執筆したときの成果をもとにしています。サイモン教授は、人間の合理性に限界があるという「限定合理性」の概念を提唱した人物で、システムの科学³などの著書もあります。

サラスバシー氏は、起業家の思考を分析するために、エフェクチュエーションという言葉を造りました。エフェクチュエーションとは、エフェクト(効果)とコーゼーション(因果関係)を組み合わせた造語で、起業家が未来を創造するときに使う論理やプロセスを表しています。

エフェクチュエーションの対極にあるのが、コーゼーションという考え方です。コーゼーションとは、原因と結果の関係をもとに、目標に向かって最適な手段を選択するという合理的な思考プロセスです。コーゼーションは、既存の市場や競争環境において、最大の利益を得るために有効な方法です。しかし、新しい市場や価値を創造するときには、コーゼーションだけでは不十分です。なぜなら、未来は不確実であり、原因と結果の関係は明らかではないからです。

エフェクチュエーションは、コーゼーションとは逆に、自分が持っているもの(能力や資源など)から出発し、自分がコントロールできる範囲で、可能なことを探索し、新しい市場や価値を創造するという思考プロセスです。エフェクチュエーションは、未来は不確実であるがゆえに、自分の行動によって変えられるという前提に立っています。エフェクチュエーションは、新しい市場や価値を創造するときに有効な方法です。

サラスバシー氏は、エフェクチュエーションによる起業家の思考プロセスを、以下の五つの原則にまとめました。

- 鳥の手原則:自分が持っているもの(能力や資源など)から出発し、自分がコントロールできる範囲で、可能なことを探索する。
- 予測可能な損失原則:目標ではなく、自分が失うことのできる範囲を決める。リスクを最小化し、失敗に備える。
- レモネード原則:不確実性や偶然性を恐れない。逆境やサプライズをチャンスに変える。
- キルト原則:自分のビジョンや目標を他人に押し付けない。共感や信頼をもとに、パートナーやステークホルダーと協働する。
- パイロット・イン・ザ・プレーン原則:未来は予測できないが、自分の行動によって変えられる。自分が操縦士であるという自覚を持つ。

この本は、エフェクチュエーションの理論を詳細に解説するとともに、実際にエフェクチュエーションを実践した起業家の事例やインタビューを紹介しています。また、エフェクチュエーションの教育や研究の方法についても触れています。

この本は、起業家や起業家志望の方はもちろん、新しい市場や価値を創造したいと考えるビジネスマンや経営者にもおすすめです。エフェクチュエーションは、新しい時代に求められるイノベーションのための思考法として、非常に有用であり、学ぶ価値があります。この本を読んで、エフェクチュエーションの理論と実践を理解し、自分のビジネスに活かしてみてください。

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