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魂の地獄が、歌にはふさわしい。(岡井隆) キタダヒロヒコ 底冷えの朝わたくしの最も浅いところから凍ててきてゐた 今はなき店のチャーシュー麺のブタころされるとき痛かったろうな とむらへば灰あをぞらにながれゐて光といふことばが口を衝く
なつかしいような 不安なような夢をみたが もうどんな夢か忘れてしまって そこに漂っていた香りだけをおぼえている たぶん そんなふうになるのだろうとおもう 永い永い年月の彼方の痕跡なのに 一瞬でその場所に還る なつかしいとまどいとよろこびに その音はいつでもなんの前触れもなく わたしの前に来て鳴っているのだ