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キタダヒロヒコ詩歌集

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三重県で詩や短歌、俳句を花びらのように書き散らしてきました。noteマガジンにまとめていきます。ぜひお読みいただけましたら嬉しいです。あなたのどこかに残る言葉がありますように。
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2022年9月の記事一覧

キタダヒロヒコ詩歌集 16

うつそみにあまねき水脈よ一杯の真みづかをればあさく痺るる   キタダヒロヒコ 水脈=みを、一杯=ひとつき コメントやサポートをお待ちしています🚰

キタダヒロヒコ詩歌集 15

華びらのやうにほどけて海老の身はひとのうたげの舌に灯りぬ   キタダヒロヒコ コメントやスキをお待ちしています🦐 サポートやオススメ、紹介記事などとてもとても嬉しいです!

キタダヒロヒコ詩歌集 14 光

ある意味で、 三重県で一番きらきらした街のこと。 ここよりもおおきな街で夜風にふかれながら 時間とは光のことだと思った 目にふれたしゅんかん 新鮮な過去になっていくいのちの さまざまな名前 その街のいのちの粒や 時間の粒をまとって きらきらとあなたはあらわれ いつまでもきらきら笑った 最もおおきな 光の粒そのものになって立ち去るまで いまもまなうらから消えていかない 海越しに見たのは 精巧に乱雑に 金管楽器を積み上げた光の城 わたしたちのまえに ゆれながら停泊していた船

キタダヒロヒコ詩歌集 13 常若

常若  キタダヒロヒコ   松坂城址 顔と顔近づけながらみることとみられることをためしてゐたんだ 見はるかす城下より目を逸らしつつまひるの城でそれをしてゐし I湾は 青くてとほい くるめきの 乱歩の 梶井の 三島のI湾   三十年も経ったのか シャッターの閉ぢたる店にいつまでもとどまりてゐよ われの常若 コメントやサポートをお待ちしています🏯

キタダヒロヒコ詩歌集 12

いくたびも確かめてゐるわかき手に寒禽ひとつ縊(くび)りたりしを はてもなく白の白きを薄明の信長の背にひそと打ち明く コメントやサポートをお待ちしています🦜

キタダヒロヒコ詩歌集 11

迂闊にも歌つてゐたよ 海原をこひびと泳ぎ去りたるのちも   キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしています🐚

キタダヒロヒコ詩歌集 10

テールランプ薄暮ひだりに曲がり消ゆ 追はねばすべて優しかりしを    キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしています🚘

キタダヒロヒコ詩歌集 9

旅人の顔する時がわれの時 スタン・ゲッツが流れてゐるなり   キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしています🎷

キタダヒロヒコ詩歌集 8

「アラ一人?」と、午後のCafeを出でし時見おぼえのある鳥に言はれる  キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしています🦜

キタダヒロヒコ詩歌集 7

とある土曜の渋谷の空の底のオレ  キタダヒロヒコ コメントやサポートもお待ちしています🗼

キタダヒロヒコ詩歌集 6

プーさんの縫い目をほどく。プーさんの手術(オペ)は毎回はちみつまみれ   キタダヒロヒコ ・・・と執刀医がこぼしていました(笑) コメントやスキをお待ちしてます🧸

キタダヒロヒコ詩歌集 4 平和末期

前ならへ、気をつけ、やすめ、もういちど気をつけ(発光するヒトの列) うつくしき虹にあひたり この大量消費の朝のつかのまの虹 開戦のニュースみたいだ ロッテの戦況をアナウンサー叫ぶ(まだ)平和だ いつまでも傷つきやすいふりをしてゐられれば(この平和末期を) ぼんやりとふあんの羽音ききながらいま食べ終へるパンがしあはせ 万歳をくりかへす顔ぼんやりと芯のとほらぬものを蒸しあげ 弓なりの風くる橋に立ちすくみ見えぬ小旗を振りまくるのさ きいきいと地球のまはる音をきけ おれ

キタダヒロヒコ詩歌集 3 魔愁

 魔愁  キタダヒロヒコ 博物館の隣りに 魔愁という店があった いや、それは今もあると おっしゃる方もいる 店には毎日ちがう客がいた 毎日 ちがう客と私と お茶をのんで居た 白やら赤の薔薇の中から 店の窓がちらちら見えた 夕方にはたいそう綺麗に 店の窓を陽が染めた 冬には昼に雪がふり 夜は大抵やみました 冬の昼から降った雪 夜にはやんで暖かかった 博物館の近くの小径は 魔愁に抜ける道でした コメントやスキをお待ちしています☕ サポートやオススメをつけてくださ

キタダヒロヒコ詩歌集 2

うかうか林に踏み入ると 世界の冷淡さが懐かしい 白く硬い樹木 少しだけ水を含んだ葉 私の日常はまるで絵のように 背景のようになり 温和しくかがやきながら私を遠ざける その日があったということは いつまでも消えない光の粒だ からだの奥のほうに 小指の先ほどの位置をたしかに占め 色もかたちもそれらしい 貴い石となる そのひとつひとつが私を確かに記憶し 私もその記憶からのがれることはない 美しい気持ちはなんの先触れもないまま とつぜん 思いがけず空を満たす 空がひとかたまりの炎