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1999年から2003年までの阪神タイガース その㉒

こんな夢を見た。

2001年8月29日。
場所は甲子園駅前のアンスリー。
駅前の手摺に持たれながら友人を待つ。

蝉が鳴いていた。
空は青かった。

今日は巨人戦。
広澤がお立ち台で六甲おろしを歌う。
そして、僕が経験した中で最も盛り上がる二次会となる。

待ち合わせは15:00
既に球場は開門している。
16:00からジャイアンツの練習が始まる為、
少し早めに。

何故って?
理由は分かるでしょう。

今日は土曜日。
いつもガラガラの甲子園だが
今日は人が多い。
学校は夏休み中だ。

駅前の露店が徐々に開店する。
おばちゃん達がグッズを店頭に並べ、
大きな鍋でおでんが煮込まれる。
おでん屋さんの店頭にはお弁当が並べられ常連がそれを買う。

僕たちはいつもダイエーへ。
ダイエーの地下は食材が豊富だ。
ダイエーなのにいつも六甲おろしが流れ、
人でごった返している。

いつもいるダフ屋のおばちゃん。
今日も汗をかきながら商売に励む。

今日のライトは前売券で完売している。
僕は友人のハマ君にチケットを譲ってもらう予定だ。

当時の甲子園。
LINEなど無い時代だ。
待ち合わせの約束などしなくてもいつもの猛者に会えた。

僕はこの夢で9人の猛者と会う。
一言目は「お〜!やんやん!!」

皆、頭はおかしかったが高校生の僕に優しかった。

【1番ライト 小井】
今日も加古川からやってきた。
新しい替え歌を作ってきたから楽しみにしておいて!やんやん!!プププ!!と笑う。

その笑顔が気持ち悪い。
笑っても笑わなくても気持ち悪いから仮面をしていて欲しい。

先日の二次会のスリーコール
「ジャビット実は!ばいきんまん!!」

これが全くウケずに凹んでいた。

外野手なのにヤジに傷つく弱小メンタル。
それが小井。

【2番セカンド 外村】
30年以上甲子園に通う男。
驚く事にこの男は現役。
甲子園が様変わりしてからもライトスタンドに通い続ける。

球団にとって宝のような男。
高学歴な言語障害。
かつてはアイパーと共に二次会を盛り上げた。

その守りは堅実だが、
彼の人生はイレギュラーそのものだ。

内野手のゴールデングラブ賞の枠は四人。
中村の受賞は毎年確実だが年俸は上がらない。

久しぶりと言いたかったのだと思うが、
言語障害の為今日もうまく聞き取れなかった。

あと帽子が汚いからそろそろ洗って欲しい。
この帽子は92年に売店で買った宝物だ。

【3番サード タイガー】
打率は常に三割台をキープする大砲。
昨日も300人以上が参加する二次会を大いに盛り上げた。

試合前のタイガーのテンションは驚くほど低い。
昨日の二次会の影響もあり声はガラガラだ。
マントを羽織るのはもう少し経ってから。

そして、彼が本領を発揮するのは試合後の場外。
21号門前の壇上だ。

タイガーは
「君の記憶に残ってくれて嬉しい。ありがとう。タイガースファンを辞めるなよ」

こう言って去っていった。
カッコいいよ。タイガー。

タイガーを最後に見たのは2001年だ。
もう一度会いたいよ、タイガー。

【4番ファースト アイパー】
二次会の帝王。
甲子園の外野席でこいつを知らないと「ニワカ」だ。
21号門前に辿り着くまでにおうアイパー!と20人以上に話しかけられる。

既に汗だく。
巨人戦の為いつもより嬉しそうだ。
今日も相変わらず海坊主のような顔だ。

パン屋で怒られながらタイムカードを押し退勤。そこから甲子園へ。
世に貢献しつつ甲子園へ通う阪神ファンの鏡だ。

アイパーがもし死んだら甲子園記念館に剥製として飾って欲しい。
それぐらいの男だ。

アイパーの周りにはいつも人がいる。
人がいるという事は魅力があるという事だ。

外野席の人間、応援団、球場の職員、巨人の選手にまで幅広く知られているアイパー。
もしあの時代にSNSがあればフォロワーは55000人を超えるだろう。

諸事情の為
現在はあの頃のように通えない。
休職中のサラリーマンのようだ。

人生を阪神に捧げきれなかった阪神ファンの鏡。
それも伝説だろう。

互いの座席を確認した。
今日もアイパーはライト。
後ほど会おうと約束した。


16:00
毎度の如くアイパーが叫び倒す。
そしてジャイアンツの選手にこう言われる。

「出た!!またあいつや!!」

巨人戦の風物は練習が終わるまで続く。

※5番以降は次回に

続く

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