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はじめての夜②

手を繋いでいた時から自覚していたけれど、私は濡れていた。不思議と体がそうなっていた。

割れ目に沿って彼の左手がすんなりと滑り込んでくる。そして自分でも驚くほどに濡れていたことを瞬時に悟られてしまう。
彼は割れ目に沿って何度も指を滑らせる。何度も。何度も。そうしているうちに私はふーっとため息をついた。

肩に入っていた力が抜けて、体がシートに沈み込んでいくのを感じた。もうこの感覚に身を任せていいのだと思うと気が楽だった。大きな街灯が視界に入ってはさらさらと抜けていく。心地よい外の風を肌に感じながら、私は夜の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。次に息を吐くと、彼の指が私の中にぬるりと滑り込んでくるのを感じた。とっさのことに私は思わず小さくうめき、彼の指を締め付けてしまう。

会って間もない人に今まで人に触れられたことのない場所を触れられ、快感を感じていることが突然恥ずかしくなってきた。頬が熱くなるのを感じる。

彼はそんなことお構いなしにハンドルを切りながらカーブを曲がる。片手でこんなことをしているのに彼の運転はブレない。左手は前後に何度も往復し、少しずつ私の深いところへ指をすすめていった。指が出たり入ったりするのを感じながら、物足りなさを感じ始めた時だった。車が薄暗い公園の脇道に停まった。

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