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映画『四月になれば彼女は』感想2〜確かにそこにあるもの

静けさと雨の匂いのある写真確かにあった光の記録
写真にはその光のみ記録する君の眼が見たままの光を

小説を映像化するということ。
言葉で描けないものがあります。それはウユニの空の色だけでなく、生身の人間がその瞬間に感じた思い。その表情をまた言葉にしたいなあと思いますが、言葉にできない。目を伏せるタイミング、声の絞り出し方、うつむいた角度、走り出す瞬間の手。
佐藤健さんは藤代そのものでした。些細な心の揺れが言葉で表現できない繊細な表情をもって紡ぎ出されていました。
藤代が、友人や同僚の言葉に向き合い、自分に向き合い、過去にも向き合い、そして気づいていく時間を共有しました。
映画は、藤代のもどかしさをそばにいる人として感じさせながら進んでいきます。
この映画は、何度も観ることができる、と思いました。観るたびに人物への関わり方が変わる。それぞれが痛みを抱えているのに、優しい。そんな映画でした。
映画の中の写真も素敵でした。


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