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人間は最期までが人生だ

人間はすぐに勘違いをする生き物だ。

全てでは無いが、大多数が勘違いを
しやすいのが人間である。

あまり努力をしなくても、
何かを成功させたりする時に、
自分の実力だと過信してしまいやすい。

実力と運、そして努力の結果が本来の
自分自身で身につけた力になる。

多くを知らずして成功した場合、
物事に関して無知識であるため、
その化けの皮はすぐに剥がれてしまい、
結果的に恥をかく事になるからだ。

宝くじなどで一攫千金を得た人の多くは、
すぐに使い切ってしまう。

これまでとは人生が変わったように
思えるほど、色々な人が近寄ってくる。

それに対して、優越感を覚える。

しかし、それはあくまでもお金が
あるからであり、当人の性格や相性、
人格、等には全く興味は無いが、
興味があるフリに騙されてしまう。

その結果、財を失い、人々は離れていく
ことになる。

これがお金の魔力というものに
値する。
お金は本当に恐ろしいものである。

真に賢い人は、それをよく知っているため、
近づくことを自らしないと決めている。


例えば、秦の始皇帝暗殺を企てて失敗した
「張良」もその一人である。

項羽に勝てたのは、主に三人の人物が
挙げられています。
張良、韓信、蕭何しょうかの三名が、
勝利に貢献した主な人物でしたが、
私の考えでは、真に賢かったのは張良だけ
だと見ています。

最期までが人生である意味とは何かを、
これを例としてお話します。

彼は始皇帝死後に起きた項羽と劉邦の戦いで、
実力に対しては表にはあまり出ず、裏方で
その力を存分に発揮した人物でした。

彼は本来ならば世に名を残さなかった可能性が
高かった人物の一人でした。

彼は韓に仕えていましたが、項羽により韓王は
殺されました。
ここから彼の人生が始まったと言っても過言では
ありません。

彼は劉邦に項羽を倒させる為に、努力を惜しまず、
説得力のある理論的な言葉を以て、項羽の味方で
あった人物たちを裏切らせていき、兵法に詳しい
本当に実力のある人物を探し求めていました。

韓信という人物に出会い、彼は自分でも大将に
なる事は可能でしたが、韓信を劉邦軍の全軍を
指揮する大将軍に任命させました。

彼は韓に仕える身である事を忘れずに、
あくまでも裏方に徹して、表にも出た事は
ありましたが、実力に対してそれはほんの
僅かなものでしかありませんでした。

彼は人間という生き物の事も良く知っていた
賢者でした。

劉邦が天下を取った時、韓信や蕭何、彭越、
元項羽軍主力の将軍であった黥布、等は
相応の報酬を与えられました。

世界中で天下を取ったり、壮大な領土を制圧
した王等によく起きたのは、「人間不信」
になる人は非常に多くいました。

始皇帝、劉邦、チンギス・ハーン、等は
天下を取った際に人間不信に陥った人物
たちでした。

張良はそれをよく知っていた人物であった
ため、貢献に見合う報酬は求めずに、韓の臣下
として韓の復興を願い出ました。

劉邦はそれを認めて、張良は韓に戻りました。

劉邦は世界でも珍しく凡人でありながら王に
なった人物でした。
そのため、力を持った家臣が反乱を起こした
場合、負けることになると思い込み、
無理矢理な理由をつけて、韓信に与えた
力を奪い、彼は決して高くは無い身分に
落とされ、反乱を起こさせないようにしました。

当然、韓信は納得いかず、元々、反乱の意思など
ありませんでしたが、反乱を起こす事にしました。
この時、危険を察知した劉邦は、張良に相談して
対応策を求めました。

そうして、韓信は殺されることになりました。
劉邦は力ある家臣たちを大勢殺す事に発展して
いきました。

しかし、張良だけは殺されませんでした。
その力を求めなかったから助かりました。

人間に、お金や欲に弱く、一度負ければ貪欲に
なることを知っていたからでした。

欲望に限りが無い以上、それに接しない方法を
取るのが最善だと言えます。


これは海外ドラマの「メンタリスト」の主人公で
あったパトリック・ジェーンの行動の中にも、
同様の事をしたシーンがありました。

価値の高い宝石を自ら手放し、寄付する事によって
その欲望を切り捨てました。

このように、仮に分かっていたとしても、
人間が非常に欲に対して、弱い生き物であるという
事を真に理解しているので、その道を絶つのが
最善だと分かっている証拠になります。

理性を保つためには、精神的な強さだけでなく、
それに繋がる道を絶つ事も時には大事になります。

人生は最期まで分かりません。
私の父も最後の時が近づくにつれて、
医者の身でありながら、弟を私に殺させようと、
普段の会話のように普通に話してきました。

既に人間では無いものに最後は変っていて、
邪魔を排除していきました。

愛あるはずの愛犬を毒殺し、財産のほとんどを
分からないように母に全てを渡しました。
自分の面倒を見てもらうための見返りのために
そうしました。

法律などは無視しても大丈夫なように、
父の弟の中でも一番権力のある一人に任せて、
事を闇に投げ込みました。

真相を知るのは、その叔父だけになりました。

最後まで医者を続けていた父でしたが、
最期の時が迫るにつれて、本来の顏を見せました。
それは実に恐ろしいものでした。

このように、人間とは実に弱い生き物です。
それを理解してこそ、最期の時まで自分を保った
まま逝ける事になります。

最後は酷い人間になった父の医者であった顏は、
最期に自分の犯した事により、ある意味では
全てを失いました。

どんなに強い精神や賢さを兼ね備えた人物たち
であっても、勝てない事を張良やジェーンは、
知っていたから自らその欲を捨てました。

それを私は胸に秘めて生きています。
現実でそれを体験して、哀れでしかないと
思ったからです。

最期まで人間らしくありたいのであれば、
自ら欲を捨てることが求められます。

彼らのような真の賢者たちでさえ、
勝てないと判断した人間の欲望の恐ろしさは、
尽きる事の無い力があり、悪魔に変貌する
ほどのものだと感じました。

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