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「俺を守れ!!」~第三話

ソラノ・ビンセントはケイニー・ロペスの病死に続き、
若頭が殺されたと手下から情報が上がってきて、
この二件の死は何かしらの理由があると、彼のここまで
大きな組織にしてきた勘がそう告げていた。

立て続けにファミリーのボスと若頭が死んだ事により、
二人は何者かに殺された可能性が高いとソラノは思った。
まずは偵察部隊を二班、8名の元軍人を
ケイニーのアジトに送り込んだ。

その頃すでに、リカルドによりケイニーのアジトを
抑えていた。前もって送っていた例の動画の効果は
絶大で、誰もが恐れを抱いていた。
ボスも若頭もいない今、ケイニーのファミリーは
崩壊寸前であった。本来ならば殺されて
おかしくない状況の中、リカルドは駒として
手なずけたほうがソラノの組織の情報を引き出せる
と考え、仲間に引き込んだ。

リカルドは30名でケイニーのアジトを包囲した。
そしてすぐさま入口にいる男たちに、
10名が銃口を向けると、すぐに両手を上げて
降伏した。男たちに中に何人いるのか聞き出して、
リカルドは外の手下を五名呼んで来させた。
その五名に、入口の男たちを拘束させてから、
10名でそのまま突入した。
男たちの言う通り、女たちとヤクをやりながら
お楽しみ中だった。
統率者がいない事による一番たちの悪い上に、
ボスが使用する上物のヤクで極めていたが、
周囲から銃口を向けられている事に気づいて、
錯乱状態になり、ソファに隠してあった銃を取り出した。

即座にリカルドがソイツの眉間に一発撃ち込んだら
大人しくなった。先ほどまでは騒いでいたせいで
気づけなかったが、リカルドはヘリが近づいて来る音に
いち早く気がついた。
「一度だけ聞くから答えろ。アレは組織の奴等か?」
リカルドは一人の男に銃を向けて答えを求めた。

「分かる訳がッ!!」
リカルドは言い切る前に撃ち殺して、
次の男に銃を向けた。
「多分そうだ!この町にヘリなんて滅多に来ない!」
男は震えながら答えた。
「最後の質問だ。お前たちはどっちの味方だ?」
この状況で答えは1つしか無いのは分かり切っていたが、
リカルドは敢えて問いかけた。
「俺はあんたたちにつく!」
「ああ!俺たちもあんたについて奴等と戦う!」
「奴等につく奴はいないんだな?」
いないとしか言えない危険を孕んだ空気が漂っていた。

「お前たちは最前列だ。生き残るには敵を倒すだけだ。
裏切る奴はいないと思うが、誰か一人でも俺たちに銃を
向けたら、どうなるか分かってるな?」
完全に薬が抜けたように目が覚めた男たちは、
非常に危ない生と死の天秤にかけられている事を知った。

「安心しろ。ヘリの音から相手は多くても10人程度だろう
全員殺すつもりでいけ。いいな、後ろには俺たちがいる
からな。安心して奴等を殺せ」
その言葉は援護の言葉では無かった。

「ハンス!お前は下の奴等とコイツ等の指揮を執れ。
可能なら一人だけでもいいから生け捕りにしろ。
無理そうなら殺していい」
「分かりました。お前たち武器はあるだろ。行くぞ」
12人の盾を連れて、ハンスは階下に下りて行った。
リカルドはこのビルの上から来るかもしれないと
思ったから、15名残して様子を見る事にした。

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