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サンタさんにドンペリを

ライブハウスのドアを開けたら、まずビートルズのパネルが目に飛びこんできた。
かわいいことに、4人のメンバーがクリスマスのサンタ帽をかぶっているようにデコレーションされている。

六本木アビーロード。

12月半ばの日曜日に、寺尾聰さんのライブを聴きにやってきた。
ウェルカムボードのイラストは、サンタに扮した寺尾聰さんだった。
ドンペリの瓶だけを袋に詰めようとしているサンタと困り顔のトナカイのかわいいイラストだ。

ライブ前には寛いでスパークリングワインを飲んだ。
ドンペリってわけにはいかない。
よく冷えて十分に美味しい。
常連だと思われるファンのかたがカンパリソーダを飲んでいる。
なるほど。
寺尾聰さんの名曲
「渚のカンパリソーダ」からのチョイスだろうか。
次はカンパリソーダにしよう。


今日のライブはいつものバンドメンバーがお金のある方に行っちゃって(寺尾さん談)3人少ない6人。
違うアレンジで演奏すると言う。
私はそこまでの違いがわからない新参者だが、どの曲も心地よく聴ける。
私がまったく知らないサベージ(寺尾さんのバンド)やオックス(ギターの志郎さん)からのファンというかたがいらっしゃって、今日はとてもめずらしいライブですよと教えてくださった。
スワンの涙が聴けるなんてね、と。

曲の合間のトークも聞き入ってしまう。
おおらかな時代の寺尾さんの話がおもしろい。
高校生の時に石原プロダクションの映画に出て裕次郎さんのお家でサイダーを飲んだ。
おいしいサイダーだなと思ったらドンペリだった。
60年もドンペリを飲んでいらっしゃるのか。健康にいいのだろうか。
命の水なのかもしれない。


流れ星を見たけど(ふたご座流星群)
お願い事は難しい。ああーっで終わっちゃう、という話から宝くじの話へ。
寺尾さんのお知り合いがふたりも宝くじを当てたので、自分で自分に握手しちゃってるそうだ。
この歳になって願い事なんかあるの?なんて言われていたけど、
楽しそうにバンドメンバーと話し演奏するお姿を見れば、宝くじ以上の運と縁を引き当てていらっしゃることはよくわかる。

音楽談議から、「そんなヒロシに騙されて」の話になり桑田佳祐さんの名前も出てきた。桑田さん、いつもラジオでその時代をリスペクトしてるよなーと思い出す。

ゲストボーカルの出演もあり、2大クリスマスソング(ワムとマライア)も演奏されてライブはますます盛り上がる。

シカゴの音楽関係者がわざわざやってきて、シカゴで寺尾さんの曲が聴かれていることを伝えたそうだ。
一番聴かれているのはハバナエクスプレス。
その演奏が始まったら間違いなくライブ会場のみんなはハバナの風を巻き起こし、ハバナの風に吹かれている。


洗練とアットホームが同居するライブハウスでリラックスして楽しんだ。
実は来るまで六本木の老舗ライブハウスということでちょっと緊張していたのだ。
ルビーの指環を口ずさみながら、小学生のときテレビでベストテンを見ていたことを思い出す。
ルビーの指環が連続一位記録を更新中で毎週ドキドキしながら応援していた。
そんな記憶をはるかに追い越して、寺尾さんの音楽を至近距離で聴いている。
こんな未来がくるとは思わなかった。

サベージやオックスのことをいろいろ教えてくださったコアなファンのかたは、それぞれお手本にしたいようなかたばかりだ。
ファンはアーティストを映す鏡っていうのは本当なのだ。


白い階段を上がり外に出る。
角を曲がったら東京タワーが大きく光っている。
寺尾さんの「おやすみなさい」を思い出しながら家に帰ろう。

寺尾さんがサンタクロース

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