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「孫子の兵法」始計篇⑫ 喧嘩は敵の裏をかかないと勝てない

■【原文】
兵とは詭道なり。
故に能なるもこれに不能を示し、
用なるもこれに不用を示し、
近くともこれに遠きを示し、
遠くともこれに近きを示し、
利にしてこれを誘い、
乱にしてこれを取り、
実にしてこれに備え、
強にしてこれを避け、
怒にしてこれを乱し、
卑にしてこれを驕らせ、
佚にしてこれを労し、
親にしてこれを離す。


●【訳文】
ケンカでは、敵の裏をかいたり、
敵を騙さなければ勝てません。
例えば、
できるのにできないように見せかけたり、
必要なことを不必要に見せかけたり、
近づくと見せかけて遠ざかったり、
遠ざかると見せかけて近づいたり、
利益と見せかけて誘い出し、
混乱につけこんで奪い取り、
敵の強い部分に当たるのは避け、
怒らせて疲れさせ、
低姿勢に出て信用させたり、
ムダなことをするようにしむけたり、
敵同士を疑心暗鬼にさせる。

▲【解説】
5時7計では、まじめなことを言っていた『孫子』も、
実戦に入ると、
戦いとは敵の裏をかくこと(相手を騙すこと)だとトリッキーなことを言っています。
これは騙すことが目的なのではなく、
早く勝つためです。
早く相手を倒して戦争を終わらせることがとても重要だから
騙すことで相手のミスを誘えるのならば、
そうしたほうがよいということだと思います。
ここは非道だとか、感情論や批判的な意見もあるようですが、
相手がミスをしないと勝てないという、戦いの法則があります。
そして、戦争やケンカの場合は、相手もそうするでしょうから、
それを非難することに意味はありません。
兵法は、スポーツや格闘技とは別種のものなのです。
当然ながら、
喧嘩をしていない相手をだますようなことをしてはいけないでしょう。
それをすれば喧嘩の意志があると相手に思われることになります。
騙すことを、全ての人間関係に乱用してはいけないことは、
読むときに注意しなければいけないと思います。

∞【関連語句】
勝つべきは敵にあり(軍形篇)
正しい側にいなければいけない(『君主論』)
戦争に博愛主義を持ち込むことは危険である(『戦争論』)



『ケンカの神』~例えば いじめっ子を倒すには~


「孫子の兵法」を喧嘩仕様に訳したらやばすぎた


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