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GOING サブマリン 7

運良く!船体を隠せてから、30分くらいは経っただろうか…
この辺り一帯の水の流れも落ち着いてきたようだ。
(そろそろ出るか!)

再びエンジン始動!
左翼・右翼作動問題無し!
センサー、タービンも順調。

恐る恐るだが、前進する。

水草群地帯を抜けると、自分で捕食したのであろうか…

目標(レッドリヴァイアサン)は優雅にお食事タイムをしていた。

目標はまだこちらには気づいていないようだった。

心呼吸をして…(よし!)
レバーを倒し、最大船速!

目標の頭上に近づき!旋回!
よし!食いついた!

目標も、好物の魚を見せられて黙ってはいられないだろう〜

(よーしよし!美味そうな魚だぞーこいこい!)
今回は順調そうだと思ったが…
目標の吸い込みが始まった瞬間!

思いのほか、吸い込みが強くタービンがうまく作動しない!
まずい!このままだと船体ごと飲まれる!

(くっ!やべーやべー、ここで切り離すしかないか…)

仕込み魚爆弾を、出来るだけ目標の口の中へ入れるなら今だ!

スイッチを押して、船体と縄を切り離した!

ギリギリだったのが功を奏したのか、全部吸い込ませる事に成功した。!
(よっしゃ〜!)
だが…

バリバリ!グッシャー!
どうやら後方のタービンが吸い込みに耐えれなくなり、船体から外れてしまったようだ。

取りあえず!一度ここから大きく旋回!
付近の流れにのってこの場を離れないと…

だが…目標は赤いポッドを見逃さなかった!
目立つカラーリングが足枷になってしまった!

(頼む!頼む!頼む!)
そう願いながら、5つの起爆スイッチを押した!
スイッチを押してから爆発するまで少しのアドバンテージがある…
(まだか〜まだか〜まだか〜)

スイッチを押してからの待ち時間が異様に長く感じるのは、それだけ切羽詰まっているということだろう。

迫る目標!
(やばいやばい! 飲まれるー!)

その時!目標の動きが何か、もがいているような動きをみせた。

(よし!効いてる効いてる!)

だが…なかなかの巨体!すぐにぽっくりとはいかず
息の根がなかなか止まらない!

おまけに、巨体が暴れ回るせいで、付近の流れが大きく乱れた!

(ぐぅわ〜!ぁぁぁぁぁ〜!)   

大きな流れの変化が、トムのポッドを直撃した。

(やばい!打ちどころが…わ…悪かったみたいだ…意識が…薄れる…)

トムは気を失ってしまったようだ…

そして何かにぶつかった衝撃で、船体の一部から水が入りこみはじめてしまう。

(真っ暗だ…俺は何をしてたんだっけ? 何も思い出せない…なんだか体が重くて…寒いな) 

(トム…トムや)

(あ〜?誰だよこんな時に…)
真っ暗だし、意識ももうろうとしていたから
誰がいるのか分からなかった…

(お前さんは、この世界を好きになることができたのかい?)

それを聞いた途端、ハッっとした!
(じいちゃん!じいちゃん!)

大声でじいちゃん!っと叫んで目を覚ましたときには、じいちゃんの姿らしき人影はなかった…が

顔には、見覚えのあるタコの手?足?がのっていた。

(ここは?)

(おお〜おお〜良かった〜良かった〜
死んでしまったかと思うてたで〜)

涙で、いっぱいのパスカルがそこにいた。

(パ、パスカル?どうして! それにここは?)
身近にいる相棒の存在に安堵するトム。

(念のため…何かあった時のために緊急信号を発する装置をつけといたんや…トムのポッドに
で…おまえさんの上司に頼み込んで、ポッドを借りて走ってきたんや!)

顔はもともと赤いから、照れてるのが分かりづらいのに…今は照れてるのが分かる。

(ありがとう!パスカル! 俺あのままだったら死んでたよね…パスカルは命の恩人だね)

(よせい!)
また照れるタコ!

(そうだ!レッドリヴァイアサンはどうなったの?)

自分の事で、大事な事を忘れていた。

(う〜ん…)

(ダメだったんだね…)

(う〜ん…)

(パスカル?)

(おまえさんのポッドはもう、駄目だけどな…

フフ…成功や!よーやったで、トム!
ちゃんと物も取り終えているし、安心せえ)

(パスカル〜とんち下手すぎ〜)

それを聞いて僕は安心したのか、大泣きして
また気を失うように寝てしまった。

(お疲れや!、きっとノットの奴が守ってくれたんやろな〜大丈夫や!トムもちゃんと大きくなってるで)

第8話へ!潜航

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