自由診療と保険診療①

こちらでは保険診療はダメです、自由診療を選ぶべき、こっちが良くてこっちが悪いと言った優越をつけることはしません。基本的に患者さん自身が選択するものなので一つの参考になればと思い、我々の考えを少し述べてみたいと思います。

まずは、我々日本人に馴染みのある「歯科の保険診療」について簡単に解説していきます。

簡単に仕組みを説明すると、
①日本全国どこでも同じ治療を受けれる。
②1割〜3割の負担で費用を抑えられる。
③何度も通わなくてはいけない。
④日本は先進国だから良い治療が受けられそう。

細かく分ければもっとあるかもしれませんが皆さんが持っているイメージは
こんな感じかと思います。

<1割〜3割の負担で全国どこでも同じ治療>

では、まず1番目の全国どこでも同じ治療を受けられるシステムについて。
元々保険診療に歯科の治療が導入された理由は全国民に最低限の歯の治療が受けられるようにするためです。

「保険診療のルール」というものが存在しこれは日本全国で共通であり守らなくては我々歯科医院側は保険請求ができず、審査に通りません。
関東ではこれが認められて、関西では認められていないとか、九州だけにはこのやり方が存在する、などといった事は皆無です。

虫歯の治療で例を挙げると、レジン充填という小さな虫歯に適応となるプラスチックを詰めて光で硬める治療は歯一本につき、約1000円の窓口負担です。(3割負担)

近所のA歯科医院で詰めても1000円。
少し遠くのB歯科医院で詰めても1000円。
卒業直後の研修医の先生が詰めても1000円。
著名な大学教授が詰めても1000円です。

何を言いたいかと言うと、虫歯を削って詰めると言う事に対して支払われる対価が決まっており、どこの誰先生が詰めるか?臨床スキルが高いか?低いか?
あるいはどのぐらい丁寧に時間をかけてきっちり仕事をしたか?と言った事は一切考慮されていません。

これはメリットでもありデメリットでもありますよね。
1000円で大学の教授の治療が受けられるのであれば御の字です。
いつどこにかかっても同じ治療費で受けられるという安心感はあります。

しかし、大多数の歯医者さん側にとって治療費が決まっているのであればどれだけ丁寧に正確に時間かけて治療をしても考慮されないのであればそこまではやらないはずです。できるのにできない、やりたくてもできないというもどかしさのようなものでしょうか。

我々日本人に馴染みのあるカレーやラーメンといった食べ物を例に出してみるともっと分かりやすいかもしれません。
国のルールで「カレー・ラーメンは一杯500円で販売しなくてはならない」と決められたとします。

もし自分たちがカレー屋さんを出店している側だとしたらどうやったら500円で提供して経営が成り立つか考えると思います。

一杯500円のカレーにかけられる材料費、人件費、広告費、光熱費などあらゆる経費を差し引いたものが利益になるのでまずは材料費を抑えてとにかく数を出さなくては店が潰れてしまいます。

上質な食材を使ってコクのある美味しいカレーを作ろうと思うと一杯の量をかなり少なくしてミニカレー500円として販売すれば良いかもしれませんが、お客さん側は物足りないかもしれません。

通常であれば、食材のコストを抑えて味よりも量と数で勝負するでしょう。
野菜の量を最小限に、お肉は輸入の極力安い業務用、ルーはできる限り水で薄めて量を増やして、、、、という流れにならざるを得ません。
「薄利多売」のようなやり方にせざるを得ないと思います。

歯の治療でも、一本1000円と決まっているのであれば、虫歯を大雑把に早く削って、スピーディーに早く詰めて、極力安い材料を使って光で硬めて、、、とにかく早く治療をしていかなくてはいけません。

つまり、「歯の治療でも薄利多売」のような流れになってしまう可能性があるわけです。


保険診療と自由診療②へ

https://note.com/preview/nf6b2ce99a4bd?prev_access_key=b4e4768242c4c4a07348e67b83883511


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