どうやって不備ループに至るのかが判明

 去る2月28日、不備ループ裁判進行会議(非公開)が東京地裁で行われました。
 一時支援金、月次支援金の申請者はおおむねその申請内容によって、
・スムーズに支給に至る人
・難解な不備訂正依頼メールを何度も送信される人(不備ループ)
に分かれます。
 何故こうも極端に対応が分かれるのか。その分別の様態がこの度明らかになりましたので、皆様にお知らせしようと思います。

 国側は「不備の内容によって不正受給が疑われるケースについて、厳密に審査をするルートに分類した」と述べました。
 また申請者に対して「申請内容のその箇所がどのような理由で不備だったか」を伝えなかった理由として「不備のポイントが周知されると不正申請が増えるから」と述べました。
 これはおかしな話です。
 先にあげた記事の中でも度々触れていますが、東京都の感染拡大防止協力金や厚労省の雇用調整助成金では申請に不備があった場合は申請者に個別に説明を行い、訂正を促していました。その上で不正な申請をしたのであれば申請者に明確な意図があったことが分かります。(そして不正受給に対してペナルティーを課すのは警察の仕事です。中小企業庁を統括する経済産業省のキャリア官僚がコロナ給付金の不正請求で逮捕、起訴された事件もあります)
 不備ループの場合、不備のあった申請者に対する個別対応を頑なに拒否していたのは中小企業庁およびデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社であり、初めから説明責任を果たしていません。
 従って中小企業庁およびデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に個別の案件が「単なる間違い」なのか「意図的な不正申請」を適切に判断出来ていたのか疑わしく、その基準を隠匿したまま不備のあった申請者を申請取り下げに追い込む「厳密に審査をするルート」に乗せていた事を国側が認めたことは重大な意味を持ちます。
 中小企業庁およびデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社といった事業主体が、申請者にはっきりと不備の内容を告げず、審査基準を知らされていないサポートセンターを介して不明確かつ時に無意味な「不備訂正」を強いて申請者を疲弊させ、精神的に追い込み、諦めと失望へ誘い、挙句の果てには「申請取り下げ」アイコンの色まで変えて取り下げに追い込んでいた事は、行政サービスにあってはならない深刻な人権侵害と言わざるを得ません。
 また、このように極端な対応の差をつけることで申請者同士を分断し、「不備ループに陥ったのは申請者に落ち度がある」と思わせる効果を果たした事は紛れもない事実です。
 原告の一人である梶さんは訴訟して初めて自分の申請の誤った部分を知ることが出来ました。逆に言えば訴訟しない限り自分のミスも、度重なる不備訂正依頼作業を強いられる理由も知ることが出来ない「コロナ支援金制度」が一時支援金および月次支援金の実態であることを国側は認めたことになります。
 これが果たしてコロナ禍に喘ぐ事業者を救済、支援するべき「行政サービス」と言えるのでしょうか?

 引き続き続報が入り次第、こちらでお伝えしていこうと思いますのでどうぞ温かく見守っていただけましたら幸いです。
 また、次回期日が決定した際には応援に駆け付けて下さいますよう、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。 


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