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業務の領域は幅広く、全ての業務・・・

業務の領域は幅広く、全ての業務に精通している行政書士などまずいないでしょう。士業の場合、深浅はあれ、各々専門とする、あるいは、得意とする業務の看板を掲げるのが一般的です。

日本語教育機関の開設支援は、そんな行政書士業務の一つです。ただし、この業務は、建設関係の許認可在留資格の申請取次などに比べ、些かマイナー業務かもしれません。

全国の建設業許可業者数がおよそ47万者、学校法人や株式会社等が設置している日本語学校数はおよそ600校ですから、宜(むべ)なるかなです。

しかし、この分野にも高い専門性を有し、活躍されている方がおられます。

日本語教育機関の開設支援は行政書士の仕事の一つ

昨年(2023年)成立の日本語教育機関認定法により、いよいよ本年4月から認定日本語教育機関および登録日本語教員制度が始まりました。これに伴い日本語教育の所管は、それまでの文化庁から文部科学省(以下、文科省)へ移管となりました。

法案成立の1〜2年前ほどから、日本語学校日本語教師のみなさんの間では、既存の学校や教師資格への影響はどうなるものかとざわついていたようです。

わたしの妻が数年前に長年勤めた外資系企業を退職し、主に日本で就労する外国人ホワイトカラーを対象として日本語を教える仕事を始めていた関係で、そんな情報がちょこちょこと耳に入ってきていました。

認定日本語教育機関の開設支援は、わたしの専門領域とも関連が深く、もともと興味があったことも手伝って、今回、申請の手続きについて少々調べてみました。

認定日本語教育機関と登録日本語教員制度が開始

近年、わが国では在留外国人が増加傾向にあるのは誰しも実感しているところだと思います。そうした中にあって、これまで、日本語教育の質の確保、並びに日本語教師の質および量の確保が不十分であるという指摘がなされてきましたが、これが今回の制度創設の背景です。

日本語教育機関認定法には、同機関の設置者が国の定める基準を満たせば、申請により日本語教育を適正かつ確実に実施することができる教育機関である旨文科大臣より認定を受けることができると定められています。

そうした認定日本語教育機関には、留学のための課程・就労のための課程・生活のための課程という3つの分野の課程があって、それぞれにおいて審査認定するしくみとなっており、全ての課程で認定を受けることも、1つの分野だけで認定を受けることも可能とされています。

手続方法は、文科省のHP(「認定日本語教育機関の認定等に関すること」)指針ガイドラインとともにに手引きが公開されていますから、具体的な内容は改めて確認していただければと思いますが、申請の際には、所定の書類を完備して当局との事前相談の上で申請する流れとなっています。

必要となる書類はエクセル形式で11様式、33の書類が設定されていて、決して少なくありません。

審査は一次審査と二次審査の2回

審査は、審査会委員の2~3名が1組になって行う一次審査と、審査会全体で行う二次審査との2回実施されることになっていて、ともに書面審査で行われ、必要に応じてその間に直接面接実地審査もあるようです。

加えて、留学のための課程を置く機関の面接には、出入国在留管理庁の担当官同席もあるとされています。

ここで出入国在留管理庁の担当官の同席があるとされたのは、留学生「留学」在留資格を取得するためには留学のための課程認定を受けた機関に在籍する場合に限られるとされたことのためでしょう。

また、たとえ告示校(=これまでの制度の中で法務省が定める基準を満たした日本語学校のこと)であっても、経過措置期間内に新たに認定を取得しなければならないこととなり、引き続き事業を継続するのならこれら既存校もしかるべきうちに適切な対応が求められることになりました。

認定日本語教育機関には3分野の課程が設置

申請に際して、認定を希望する機関は、一定の経済的基盤を有すること教育機関として必要な知識や経験を有すること社会的信望を有することなどの設置要件と、これに基づく教職員の体制教育のための施設・設備教育の課程学生への支援体制などに関する設置基準を満たす必要があります。

申請のタイミングは年2回。準備に不備があり、再申請となるとスケジュールのサイクルの関係で次々回の申請まで待たねばならないため、諸々、審査には万全の準備で臨む必要がありそうです。

ここに行政書士の出番が想定されます。

行政書士が認定日本語教育機関の申請を支援

行政書士は、設置要件上の留意事項や、適切な教育カリキュラム設定などへの意見具申をしながら、これら資料の作成支援を行い、さらには、面接対策上の事前準備支援など行うことになります。

とは云え、本申請においては、資料の代理提出や実際の面談への立ち合いなどの申請に関わる直接的な代理代行業務は認められていませんから、あくまでも後方支援となります。

申請は、教育機関自らが文部科学省の設定する「日本語教育機関認定法ポータル」から行うしくみとなっていて、ここにある所定の書類をダウンロードして作成し、事前相談を申し込んで進めていくといった流れです。

ただ、必要書類のひな形を見る限り、それなりの経験と実績がある教育機関であれば、自身で申請作業は十分対処できるものと思われますから、もし行政書士を頼るケースがあるとすれば、今後、新たに学校新設を検討している場合や事務的作業をアウトソースしたい場合となるのではないでしょうか。

殊に学校新設の場合で株式会社による設立となれば、会社設立からの一連の流れでの支援が必要でしょうからまさに腕の見せどころと思われます。

待ち遠しい認定

さて、公表スケジュールによれば、今はまさに今年度第一回の事前相談が行われていて、そろそろ本申請に入っていっている段階でしょうか。この認定は10月下旬頃よりされるようです。

認定日本語教育機関の申請支援は専門外ですが、現在の業務との関連性から、取り組んでみたい業務です。そうした機会に恵まれた際に臆せず対応できるよう引き続き勉強していきたいと思っています。

以上

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