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【事実発掘!FACT JAPAN 47 NO.20 】和歌山県


FACTのシンガー、澤邊です。
突然ですが、みなさん、最近、歌ってますか?
コロナになってから、歌う機会って極端に減りました。
カラオケは飛沫も飛びますし、とりわけ足が遠のいていた場所なのかな思います。
僕はバンド活動をライフワークとして行っているのですが、最近はなかなかライブもできず・・・といった状態でした。
ただ、今年の5月、はじめてリモートライブを、近しい友達だけ呼んでやってみまして。
やはり歌うって気持ちの発散の最たるものだし、音楽を通じて誰かとつながれるって、とても素晴らしいことだなぁとしみじみ思いました。

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だからこそやっぱり、カラオケってすごい。
一番身近で、気軽に、誰かと歌えて、最高に楽しい時間が過ごせる空間。
たとえば仕事で大変な時、物事がなかなか上手くいかない時、大抵の心のモヤモヤはカラオケでLUNA SEAを歌えば一発解消できますよね。
そういった意味では、このコロナの環境下で一番しんどい思いをされていたのは、もしかしたら「和歌山県」の人たちなのかもしれません。

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実は、和歌山県は人口に対してカラオケ店の数が全国1位。
実に全国平均の2倍以上、最も少ない福井県の約5倍の数です。
もしかしたら、「日本で一番歌が好きな県民」なのかも。
和歌山県出身の歌手も、そうそうたる面子です。
広瀬香美さん、L’Arc〜en〜Cielのhydeさん、天童よしみさん、シャ乱Qのつんく♂さんなど。「ロマンスの神様」という「honey」が描く「珍道物語」は「ズルい女」のお話でした。うん、すごいですね。
そうか、だから県名にも「歌」って入っているのか、と思ったのですが、これは全然違いました。「和歌山県」と名付けたのは、豊臣秀吉。
(※弟の秀長という説もあります)
現在の和歌山市の南には「和歌浦」という美しい海岸が広がっていて、その北側の山に築城する際に「和歌山」と名付けたのが由来だそうです。
県名の由来こそ違いましたが、事実、和歌山県(和歌山市)では「市民うたのチャンピオン大会」を筆頭に毎月のようにカラオケ大会が開催されており、大観衆の前で自分の歌を披露することが一種の習慣となっています。

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ところで、実際に和歌山県にカラオケ店が多いのはなぜでしょうか。ルーツを調べてみると、1980年代から18年続いた人気番組の和歌山のローカル番組「カラオケ道場」がきっかけでした。一般の参加者がカラオケで勝ち抜き歌合戦を行う内容の番組でしたが、この番組に出たいがためにカラオケ人気が急上昇したのだとか。
また、カラオケ店では「歌手を呼んでくれる」サービスも好評で、結構有名なカラオケスターを続々呼ぶことで集客を途切れさせない工夫を行っているとのことでした。

さて、そんな和歌山県が現在抱えている課題の一つに、若者を中心とした「人口流出」の問題があります。
2017年には22年連続の人口減少がニュースとなりました。県は少子化対策やUターン就職の推進などさまざまな施策を展開していますが、人口減には歯止めがかかっておらず、深刻度を増している状況です。
そこで2016年、県が行なった施策の一つに「和歌山県民歌」の普及がありました。県民歌をカラオケで配信したり、小学校の音楽の授業で取り入れるように呼びかけるなどして普及を図ったのです。
人口減少が深刻化する中、愛郷心を醸成するのが狙いで、県は「歌を通して県民の一体感を育みたい」として施策が行われましたが、結果、2021年の現在もさらに人口減少が進み歯止めはかかっていません。
もし「日本一歌好きな県民」という隠れた事実に光を当てるなら、「県民歌の普及による郷愁愛の刺激」ではなく、もっと違うアプローチで、たとえば「日本随一の歌を愛する県」、「歌を愛する人の可能性を広げる県」として価値を広げていくのはどうでしょうか。
たとえば、県をあげて歌手を育てる環境を整え、「歌手として生きるなら和歌山県」というブランディングをしていくのはどうでしょう。かつて和歌山県でカラオケ文化が流行ったのがローカルのテレビ番組によるものだったのであれば、中心となるメディアを若者世代も気軽に参加できるものにスイッチしていく。日本最大級のTikTokでのカラオケ大会が和歌山県発で行われたら、「歌の和歌山」という魅力をより幅広い世代につなげていけるかもしれません。
あるいは、歌うことで人間が享受できる身体的なベネフィットに光を当て、「歌による健康大県」とするのはどうでしょう。主に高齢者においては、歌うことで唇や舌など口周りの筋肉を鍛えることで食べ物を喉に送り込む力が強化され、むせることへの防止が期待されます。また、歌詞を読んだり思い出したりすることで脳が活性化し、認知症予防や記憶力の向上にも効果的です。

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「歌」の持つ様々な力に着目して和歌山県の人口流出という課題に向き合い、アイデアフラッシュしただけでも新たな可能性をうかがうことができると思います。
この記事を読んでくださったみなさまも、これを機に久しぶりに大好きな曲を大声で歌ってみてはいかがでしょう。「歌うこと」によって生まれる心身のポジティブな力に、改めて気付かされるかもしれません。
もちろん、カラオケボックスで大人数で歌うことはまだまだ慎重になるタイミングかもしれませんが、家で一人でいる時などに窓を閉めて豪快に大好きな歌を心ゆくまで歌ってみると、すこし心がスッキリした自分と出会えるかもしれませんよ。
ちなみに澤邊は中学生の時、B’zの「LOVE PHANTOM」を家で大熱唱している時に母が帰ってきて、「そして私は潰される」ことを自で体験した苦い思い出があるので、同居人がいらっしゃる方は幾重にも鍵をかけるなどのセキュリティ対策を推奨します。

次回は、僕は彼がまだ歌っているのを見たことがないのですが、普段話している声のトーンの優しさからきっと歌声も素敵だと思われる、アートディレクター中村心からお届けします。
お楽しみに。

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