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【事実発掘! FACT JAPAN 47 NO.16】沖縄県

TOKYO2020オリンピックが終わりましたね。
三寺は毎日のようにTVのチャンネルを変えながら、忙しくテレワークをしていました。笑。
いろいろな課題もありましたが、世界中から集まったアスリートが魅せつけてくれた熱量と生命の輝きに元気をもらった日々でした。そして何より、開催地である日本の選手たちの歴史的な躍動は、世界中に大きな感動を与えてくれました。
そんなオリンピックの熱戦の最中の7月26日。
もう一つ日本から世界を感動させる事実が生まれました。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」が世界自然遺産として登録されたのです。

僕は「日本の地域で一番どこが好き?」と聞かれたら、迷わず沖縄!と答えます。かれこれ20余年、沖縄本土のほぼ隅々まで足を運び、八重山諸島や慶良間諸島、(鹿児島ではありますが)奄美群島などの離島という離島を旅してきました。
「リタイヤしたら、沖縄で塩をつくって暮らす!」と周囲に豪語していたほど、無類の沖縄好きです。(あ、塩づくりは、この歳になってそんなに簡単じゃないので、考え直しましたが。)
美しい海や自然、ゆったりと流れる島時間、独特の食文化、人々のおおらかさ・・・沖縄の魅力を言い出したらキリがないし、みんな大好きですよね。でも、僕はその数ある魅力の中でも一番たまらないのが「生命との遭遇」なんです。海ではシュノーケリング、マングローブではカヤック、ジャングルではトレッキング、大自然の中で見たこともない生命と出会った時の驚きや喜びって、全く色褪せないんですよね。

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竹富島で日本最大級の蝶「オオゴマダラ」に初めて出会い、まるでハンカチが飛んでいるような優雅な様に見惚れたり、「やんばる」の森で、樹々から伺う「オキナワキノボリトカゲ」と目が合ったり、西表島の干潟に手を突っ込むと大量の「ミナミコメツキガニ」が現れ驚いたり、奄美大島のタイドプールで「ハリセンボン(アバサー)」の群れと戯れたり・・・今でもその時の光景を鮮明に覚えています。

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・・・と、思い出話に浸ってしまいましたが、ここからが本題。
沖縄が育てたDIVA“クリス大城”からの地元タレコミも交えながら、沖縄に息づく生命のダイバーシティは、世界的にも超ヤバいという話をしたいと思います。


沖縄の北緯27度付近に位置する手付かずの森林が残る地域「やんばる」。実は世界の同緯度はほとんどが砂漠か乾燥地帯。「やんばる」は黒潮や梅雨前線、台風などの影響で豊かな森が広がっている希少な環境なのだそうです。そして「やんばる」は、日本国土の約0.1%にも満たない面積しかありませんが、日本で確認されているカエルの1/4が生息、鳥類に至っては、半分がここにいるのです。日本の鳥はざっくり600種と言われているので、300種の他種多様な鳥がこの小さな地域に集まっているのです。まさに鳥たちのユートピア。多種多様といえば、意外なところで、サワガニ。なんと5種もいるそうで、同じ環境にこれだけの種類が生息しているのは日本最多なんだとか。普通にサワガニはサワガニでしかないと思っていました。
また、日本一○○の生き物たちも多数生息しています。例えば、日本最大の甲虫「ヤンバルテナガコガネ」その体長は50〜60mmにも。最近は密猟が相次いで絶滅危惧種になってしまったそうですが。涙。また日本一美しいと言われる「イシカワガエル」は斑点があり蛍光色のようなとっても鮮やかな色をしていて「やんばる」には「オキナワイシカワガエル」、奄美大島には「アマミイシカワガエル」が生息しています。不思議なことに、そこにしか生息していないそれぞれが固有種でまったくの別種類のようです。
あ、このカエル、カエルらしからぬ声で鳴きます。
鳥みたいな、犬みたいな・・・。ぜひ聞いてみてください。https://www.youtube.com/watch?v=s96tmXmSZy0


そしてなんと言っても世界でここだけにしかいない飛べない鳥「ヤンバルクイナ」先輩の存在。
沖縄に人間が住み始めたのが約3万年前、しかし「ヤンバルクイナ」はその祖先が100万年も前には生息していたというヤンバいくらい大先輩なんですね。ロマンですね〜。
何度も遭遇しないかなーなんて山原の森を歩きましたが、もちろん出会ったことはありません。国の特別天然記念物ですし、何より絶滅危惧種(しかもA類)。同じように、奄美大島・徳之島には「アマミノクロウサギ」、西表島には「イリオモテヤマネコ」という特別天然記念物が生息していますが、もちろん超レッドリスト。調べてみると、「やんばる」を含め、これら日本の国土0・5%に満たない面積に、絶滅危惧種が95種もいるそうなんです。
今回、世界自然遺産に正式に登録されたことによって、地域の知名度が上昇し、観光客の増加が見込まれます。それはとても嬉しく、誇らしいニュースである反面、ピンチでもあリます。同じ世界遺産でも富士山が自然遺産に落選したのは、登山客などのゴミ問題が原因というのも記憶にありますよね。
さらには観光客だけでなく、今までの地元の環境も見直す必要があります。世界自然遺産登録から3日後の琉球新報には「ヤンバルクイナの事故多発、前年超えの24件で“満床”状態に」という見出しが出ていました。
故意ではないにせよ、こういったニュースこそ、絶滅させなくてはなりません。
ただし、希望もあります。
特に世界自然遺産の登録は条件が極めて厳しく大きく3つの条件のもとに成り立っています。
①普遍的な価値を有する。
②完全性を満たす。
③価値が将来にわたって守られる。
つまり、今も未来も今以上の環境を守っていくことが約束されたということです。まさにオリンピックのように、国をあげてこの自然や生命のダイバーシティを守るために、目に見える形で動く時がきたのです。
それは同時に、世界に日本の保全活動への先進的な取り組みを見せつけ、世界のモデルケースとなるチャンスでもあります。世界自然遺産の保全においても、日本が金メダル級の取り組みで、世界中の人に感動を届けていくことを強く期待したいと思います。まさにこの小さな島から「感動大国、ニッポン」の未来に向けた挑戦が始まっているのです。

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次回はFACTイチ生命力あふれるスマイルモンスター、佐伯よりお届けします。

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