見出し画像

「ロミオとジュリエット」いろいろコレクション

ミュージカル版(イタリア版)に出会ってうっかりズブズブとロミジュリ沼にハマってしまったのですが、もともとシェイクスピアが大好きということもあり、ミュージカルに限らず色んなロミジュリと関連本が家にあったのでざっくり紹介します。

■ミュージカル版(Gérard Presgurvic版)■

・フランス初演版(下段左端)
全てはここから始まったのね…。オリジナルバージョンです。
何を見るにもこれを見ないことには比べられないのでハマったらとりあえず見ましょうって感じです。私はとても好きです。特に主役のカップル2人がとても自然で「運命の相手」なんだな〜と思わせてくれます。詩的でミステリアスな魅力のマーキューシオも露骨にキザ野郎なティボルトもシェイクスピアの世界を感じられて好き。

・フランス再演版(下段左から2番目)
世界のお姉さま方に絶大な人気がある、気がするバージョン。演出もブラッシュアップされてより深いのですが、映像の加工・編集が過多でちょっと見づらいのです…。キャラクターの表現もちょっと誇張気味と言うかあざとくて、初演の方が良いなと言う部分もあります。でも好き。

・ウィーン版(文字が大きいCD)
歌が聴きたい人は迷わずこれです。歌唱力でウィーン版に勝てるものはない。他の国のものと聞き比べてると、ちょっと面白いくらいに全員歌が上手い。
セットや衣裳のビジュアル的なデザインワークは個人的にイマイチだけど、とにかく音が繊細です。CDとしての満足度が高い。ベンヴォーリオが好きです

・ハンガリー版(ウィーン版の下。抱き合う2人)
CDは入ってる曲が少し少ないのかな。変わり種だけどこれも好き。
ビートの効いたロック風なサウンドがカッコいいです。世界の王でラップが始まったりティボルトが急に過呼吸になったり手を炙ったりするんですけどCDでは普通な感じです。見てると様子のおかしいところもあるけどクセになるバージョン。

・ロシア版(右端上段)
CD廃盤らしくデータ音源で購入。ラストのエメがすごくポップ。他はフランス版からの影響が強そうな声の印象。ティボルトとかジュリエットとか。PVがあるんですが、冒頭にうつるヴェローナがどう見てもフィレンツェ

・日本版CD(右端中・下段)
このCDは黒白両バージョンともデータ音源で持ってる。この演出は見たことないけど冒頭に記者が大公に詰め寄ってる声がするのでメディアを扱ってるのはわかる。その後特に出てきてる気配がないけど。

・日本版2019DVD(下段センター)
唯一劇場で見たことがある日本演出版。キャストはシャッフルだったので色々あったけど死が好きだったので黒を入手。ツッコミどころは無限にあるけど局所的にとても好きな部分もあります。
なんか設定やモチーフが多いうえで統一感がなくてカオスに思えちゃうんですよね…某歌劇団バージョンも含めた日本初演から今まで作った色んなバージョンの名残みたいなのがそのまま残っちゃったせいでごった煮になってるというか…。歌詞とか役の解釈とかですが…。すごく好きな部分も局所的にあるんですが(2回目)、全体としては無限にツッコミどころがあります(リプライズ)。

・日本版2021
DVDの写真載せてませんが、2021版もダブルキャストで2バージョンのDVDが出ています。
基本的な演出は2019と同じですが、衣裳、映像、セットが一部新しくなっていて、私としてはこちらの方がずっと好きです。
衣裳はより伝統衣裳のデザイン要素が強くなってイタリアらしくなり、映像はスタイリッシュに洗練され、セットは映像がより効果的に見えるようにロールスクリーンが取り入れられるなど進化しています。

・宝塚星組版2021
こちらもDVD写真まだ載せてなくてすみません。
キャスト違いでやはり2バージョンのDVDが出ています。「死」のほかに「愛」がいます。「詩人」はいません。
これまでの宝塚版を見ていないのですが、写真で見た限りだとこの回からモンタギューのお衣裳が新調されていて、伝統衣裳の要素を巧みに現代服に落とし込んだデザインがとても素敵です。生地もこだわられているのがよく分かります。
ロミオ像も今までの宝塚のロミオよりも(これまでの方々は写真で見た印象ですが)、少年らしくて「いかにも王子様」っぽくないのがとても素敵でした。フィナーレ直前の最後の2人の解釈だけはまだ理解できていません。

・イタリア版(上段左からDVD、LIVE CD版、スタジオ版CD)
言うまでもなく最推し版。クオリティが高いしメイキングまで充実のDVDのコスパが良いし永久保存版。オールマイティにレベルが高く洗練されているのがイタリア版だと思います。

オススメはオリジナルとしてフランス版、歌ならウィーン版、舞台芸術、シェイクスピア作品としての総合点のイタリア版、毛色の違ったものを楽しむならハンガリー版(とポルトガル版)という感じですかね。

他にも沢山の国で上演されているのですがCDやDVDになっていない国も多く(あとCD・DVDになっていても私が持っていないものも当然ありますし廃盤で見つからないものもありますハンガリーDVDとか)

・ポルトガル版
写真やPVを見る限りすっごく良さそうなんですがCDやDVDにはなっていないようで全体像がわからないんですよね…。衣裳もメイクもとっても素敵。現代風でもハンガリーやポルトガルの作り方は上手いなあと思います。ポルトガル版公式のFacebookを貼っておきます。写真やPVが見れます。

・メキシコ版
この間オンライン配信があったので見ました。フランス初演版を踏襲した感じのお衣裳やセットでした。ロミオやティボルトがヨーロッパとは違った男性像で文化圏の違いを感じました。面白かったです。

・イスラエル版
某動画サイトに何シーンかアップされていたのを見ただけなので通しでは見れていませんが、とても好きです。
冒頭の「ヴェローナ」で大公が客席側から登場するのもカッコいいし、何より、いけすかないボンボンのような憎たらしくて可愛いマキューシオと、可憐な?優雅な?印象のあるティボルトが大変魅力的。
衣裳にあしらわれた布地の模様や刺繍もお国柄が出ていて素敵です。

・モンゴル版
Twitterのフォロワーさんから教えてもらって「ある」ことだけはとりあえず把握していますがまだまだ手付かずです。

・韓国版
これも手付かずなんですが、おそらくフランス再演版のパッケージそのままな気がしています。いわゆるレプリカ公演といった感じ。BWミュージカルなんかはレプリカのパッケージ買いが今は一般的なので気になりませんが、各国の違いを楽しめる作品でレプリカだと「そっかー」となってしまうところもあります…。

・ロンドン版(英語版)
あったんだ英語版!という感じですが、実際の上演がどうだったのか、わずかな写真しか見つからなくてよくわからないのです。音源だけは手に入ります。
ベンヴォーリオの♪I can't do this(どうやって伝えよう)がめっちゃ良いです。Amazonとかに時々あります。聴いて欲しい…
日本版以外は何言ってるのか分からない!が当たり前でイタリアですらやっとこさ訳したので英語で歌われた時の「何言ってるのか分かる…だと!!?」という不思議な感動がありますが英語歌詞はダサいと各国のファンから不評です。

他にも色々ある気配を感じているのですが(スロバキア版とかあるっぽい)、イタリア版ですらやっと訳し終わってなんて言ってるのか分かったところなので各国はまだまだ追えていないです。フランス版ですらちゃんとは分かっていない…。

この辺のミュージカル版については私が新しいものを知ったら色々と情報を足していこうと思います。良かったらまた来てください。

その他のミュージカル版
DVDなどを持っているわけではないのですが、いろいろ調べている過程で見つけた、プレスギュルヴィック版とは別のミュージカル版ロミジュリです。

・ブラジル版? Romeu e Julieta
ミュージカルのポルトガル版の写真が素敵だったので映像がないかと探していたら(PVしかありませんでした)見つかった別のロミジュリミュージカル。
曲がとっても素敵。これはめちゃくちゃかっこいいですね。ちゃんと見れたらハマりそう。

・イタリア2007年版「Giulietta e Romeo」

これはイタリアでプレスギュルヴィック版よりも前に上演されたロミジュリミュージカルで、人気もあったようなのですがジュリアーノ演出のプレスギュルヴィック版が出てからは人気もかっさらわれてしまったようで?再演していないみたいです。両方好き!という人を見かけるのですが、こちらはCDしか出ていないようです。CDはそのうち聞いてみようと思っています。

あと、おそらくバレエ版?なのですがイタリア版の演出家つながりでご紹介。

・イタリア2019年版「Opera di Roma  Romeo e Giulietta」

このページなどに載っている舞台写真以外の情報がほとんどなく(映像はインタビューと少しのハイライトのみ)で演出の詳細がわからないのですが、イタリア版ミュージカル(プレスギュルヴィック版)と同じジュリアーノの演出で、どうやらバレエがメインのようです。

映像がないので歌や台詞があるのかわからないのですが、ダンサーの中にはミュージカル版に出ていたメンバーも多く、猫役だったティウアニーやモンタギューダンサーで金髪、1789にも出ているジャンロレンツォなどチームジュリアーノといった顔ぶれ。何の役なのか全くわからないのですがミュージカルでテバルドを演じたジャンルカもモンタギューの1人として出ているようです。踊るわけではないだろうし何の役で、どんな演出だったのだろうか…。
物凄く気になります。写真を見ると衣裳もミュージカル版とすごく似ているんですよね…白塗りの人がいたりとか。ジャンルカのこの上衣なんてミュージカル版でジャッロの着ていたものにとても生地が近いですね

■映画・バレエ・書籍など■

■シェイクスピアのロミジュリを読む■
日本語でも英語でも様々なロミジュリが読めますが、私が手元に持っている本たちです。日本語は基本的にちくま文庫のシェイクスピア全集(松岡和子さん訳)を集めているのですが、これは大学でシェイクスピア関連の講義の時に指定されて買ったシリーズで揃えているためです。蜷川さん演出の上演に合わせた訳で注釈も多く比較的新しいので読みやすいです。

・ちくま文庫シェイクスピア全集 ロミオとジュリエット(下段右端)
まだ買って3〜4年なんですが、持ちすぎめくりすぎで手汗でカバーの下の方が破けてしまっている…(反対側も同じ高さまでこうなっている)。小口のところも変色してるし。
シェイクスピア作品を基本的にちくま文庫で揃えて集めているので(ちくまで出ていないソネット集は岩波)(テンペストは大好きなので各社のを持ってたりします)、ロミジュリも日本語ではこれをメインに読んでます。

・大修館シェイクスピア双書 ロミオとジュリエット(下段左端)
英語と対訳になっていて釈が丁寧で解説ページもふんだんにあるのでシェイクスピアの中でも特に好きな作品は買うようにしている大修館シェイクスピア双書。
カラフル?なカバーの中に、クラシックな装丁の本が入っていて中と外のギャップが…!ちくま文庫の松岡さん訳は蜷川さん演出を想定した訳なのと、他の訳でも少しずつニュアンスの違う部分があるので、それを確かめるのにこれを使います。演劇台本の翻訳ってその時の演出に合わせた解釈で最善の言葉選びをするので素晴らしい訳でも全ての上演には当てはめられないのが難しいですね。
今回はたくさんお世話になりました。

英語のテキストは、この他にロイヤルシェイクスピアカンパニー(RSC)が出してる全集も持っているのですが重くて分厚くて字が小さい電話帳のような本なのでよく読むものは大修館のようなのを別持ちしてます。

これです。RSCのシェイクスピア全集。
大学の時は各作品の原文読むのに洋書のペリカンブックスとか借りて読んでたな。表紙がかわいいペーパーブック。


いつか手に入れたい、読んでおきたいなと思うのはやはり、アーサー・ブルックの「ロミウスとジュリエットの悲劇(哀しい物語?)」ですね。シェイクスピアが種本にしたであろう物語詩。
ブルックが英訳する前のイタリアで伝わる民話だったころの話もいつか読んでみたい。これは日本語では見つからなそうだけど。どの役がどの段階で作られて、いつ今の名前が付けられて、そのキャラクターごとの役割や個性はどう変わっていったのか、シェイクスピアのオリジナル部分とそうでない部分を知りたいですね。
その辺が詳しく載ってる本とかあったら是非教えてください🙏🙏🙏

関連書籍
関連というか私がnoteを書いたりイタリア版を読み解くのに参考にした書籍などです。これらの他にネット上で読める研究論文なんかもいくつか参考にしましたし、ミュージカル版のオリジナルであるフランス版の内容は他の方のブログや感想、海外サイトなども参考にしました。

先ほどの画像の中の本たちです。

・シェイクスピア百科図鑑 生涯と作品
大変便利。大きいし重いのでシェイクスピア大好き!みたいな人しか持たないだろうけどとてもよくまとまっています。各作品の内容、有名なフレーズ、様々な解釈や過去の上演などが程よく載っていて、まだ読み込めていない作品とかを知るのにとても良い。図書館で出会って一目惚れして買った本です。

・侵犯するシェイクスピア
最高です。今回イタリア版のロミジュリミュージカルを読み解くのに物凄く役立ったと言うか、もうイタリア版の制作陣も同じ本読んでるんじゃないか?もしくは著者がイタリア版を見てるんじゃないか?ってくらい当てはまる部分が多い。それだけ「ロミオとジュリエット」を研究した際に出会う様々な解釈を、この本がちゃんと丁寧に紹介していて、そしてイタリア版もそういったシェイクスピア研究を演出に取り入れて「シェイクスピア」を意識して作っているのだなと唸らされました。
ロミジュリ以外の作品についても書かれていて大変興味深いですが、ロミジュリだけでも興味を持ってくださった方にはおすすめの一冊です。

・ロミオとジュリエット 悲劇の本質
この本はなかなか読む人を選ぶと思います。買う前に購入サイトや本の帯などでざっくりした内容を確認してからをおすすめします。ロミジュリを、生々しくて少々極端な読み方をしている本です。興味深い箇所もいくつかあるのですが、ロミオとジュリエットを散々読んだことがある人には同じ部分の繰り返しや、作品からの引用、あらすじ説明が長く(そして多く)、そして主張も繰り返しが多くてちょっと疲れます。でも確かにそう読めるなという興味深い部分もあります。
でもやっぱり人を選ぶと思うのでロミジュリに関するものなら何でも読みたいという方などにおすすめします。まずこの本から入るのはあまりおすすめしません…。

・Shakespeare's Mercutio his history and drama(シェイクスピアのマーキューシオ その歴史とドラマ)
クリストファー・マーロウがマーキューシオのモデルではないか!?という説を聞いて調べてたら見つけた本。こんな本あるのか、凄いなロミジュリ…と買ってまだまだ読み進められてないですが、シェイクスピアとマーキュリー(水星)、シェイクスピアとマーキューシオ、そしてマーロウのことが書かれています。
マーロウって調べるほどにマーキューシオとの類似点が多くて、シェイクスピアがロミジュリを書いたのが彼が殺されたすぐ後の時期なのもあり、生き様に死に方、年齢やシェイクスピアとの関係、彼の作品の特徴から見ても本当にモデルなのでは?と思えてしまってこれは…これは結構信じてしまいそうだぞ、と私の中ではもうマーロウ=マキュです。

マーキューシオというキャラクターそのものはシェイクスピアのオリジナルではなかったと思うのですが、役を肉付けして自分の作品にしていく過程でメルクリウス(マーキュリー)の名前をもつこの男に同時代を生きて死んだ仲間のことを重ねたかもしれないな、と思います。

■その他舞台・映像作品■

・ロイヤルシェイクスピアカンパニー(RSC)2018年版DVD(左端)
RSCの最新公演版。2001年や2004年版の演出も素敵そうな写真が見つかるけれど映像で売られているのはこの最新版です。
グローブ座のロミジュリもDVDになっていますね。
他の演目でもRSCが好きなことが多く彼らのDVDを集めているのでこちらを買いましたが、オンライン配信されていたグローブ座版も素敵でした。

・フランコ・ゼフィレッリ監督1968年映画(中央)
ロミジュリの教科書。正解というかこれが全ての基本という感じがします。
ロミジュリに興味を持ったらまず見ておいた方が良いやつです。
私は勢い余って?イタリアンエディションを購入したのですが(イタリア版でも日本語字幕が入っていたので…)日本版のパッケージのものも普通に買えますのでご心配なく。

初めてロミジュリをちゃんと見たのは、この映画でした。大学の講義で見たはず。最近自分で買って久しぶりに見返したら、今更ですがあまりにも良くて腰抜かしてます。みんな大好きオリビア・ハッセーのジュリエットも可愛いんですけど、ロミオもとっても素敵なお芝居をするし、もうとにかくジョン・マケナリーマキュが凄すぎる。ゼッフィレッリ監督の作品解釈や演出も神がかっていてカメラワークや場面の作り方が最高です。マブの女王の演出が特に好きです。イタリア人であるマーキューシオが突然イングランドの妖精伝説の話を始めても、彼のキャラクターなら知っててもおかしくないように見えるし、周りは知らないふうなのも良いし、マキュが語る話に合わせて仲間たちが盛り上がるんだけど段々とマーキューシオは1人、言葉に飲み込まれて行って暴走、闇の中に1人ポツンと立っている流れあまりにも良かったです。死に際のシーンもロミオとの関係性や「役者」のように死んでいく様が素晴らしかったです。

有名だから知ってる人も多いと思いますし、お前今更かよって感じなんですけど、本当に良いので見たことない人はぜひ見てください。

・サンフランシスコバレエ団公演DVD(右端)
バレエのロミジュリは、基本的にセルゲイ・プロコフィエフの作曲のものが主流で、そこからバレエ団や演出家というよりも誰の振り付けのバージョンかで大きく分かれている気がします。バレエ詳しくないので印象ですが。
日本でもよく聞くのはマクラミン版、ヌレエフ版などでしょうか。
私はサンフランシスコバレエ団のヘルギ・トマソン版を昨年オンラインで見て、今までに見たマクラミン版などよりもキャラクターが生き生きと見えシェイクスピアの台詞が浮かぶような振り付けに心躍ったので、このDVDを購入しました。



ロミジュリは全然関係ないんですが、写真で本の下に敷いてあるのはテンペストの原文がズラーーーーーーーっとプリントされているブランケットです。アメリカのサイトで見つけて買ったのですが嵐の中の船と風を起こすエアリエル、島にいるキャリバンが描かれていてお気に入りです。裏地がふわふわなんですよ。
このブランド、文学作品を多く扱っていてロミジュリも含めシェイクスピア作品のグッズは他にも色々ありますし、他にも星の王子様や不思議の国のアリス、レミゼラブルとかもあったと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?