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わたしが最近さみしくなったこと


ちいさい頃、車の助手席に乗っているとままがたまに私の目を覆って来ることが何度かあった。

わたしはまだおさなくて、ちいさかったし何があったのかなんてさっぱりわからなかった。


ちいさい頃車からみた景色はほとんど目線がひくくって、見えたのは

ままが車を運転する姿

助手席の窓から見えたずっと続く海とテトラポット

アスファルトとアスファルトに咲くとってもつよいすみれのお花

芝生いっぱいのたんぽぽ

よぼよぼなおじいちゃんが引き連れているよぼよぼなわんころ

助手席の引き出しに入れたお気に入りのキッチンセットのおもちゃ

あかいぼっこ(発煙筒)

それくらい。
前の景色はほとんど背が低かったせいで見られなかった


数日前、わたしはお仕事をするために外を出た

食べることより眠ることがだいじなわたしはいつも通りお家を出る45分まえにアラームがなる。

5分おきのアラームを2回スヌーズにしてまた眠る

そして彼が「まだねてるのか、、、!」とあきれた声で
わたしがぬくぬくしているお布団をはがして手を引っ張って起こしてくるのだ

寝起きのわたしは「えーん!まだ眠っていたいよ〜」の気持ち。でも目が覚めたころには感謝している

そしてトイレにこもる
トイレはせまくて自分の頭のなかみたいでこころがおちつく
トイレでスマホをすんすんと見ている。
メイドさんはやっぱりかわいいな〜とか、シルバニアの新作商品がでてるとか、友達のストーリー見たりとか。いろいろしている。

そんなことをしている間にふと時計を見るとなんと、お家をでる10分前になっているのだ。ここでわたしは毎日やらかしている、後悔している、でもそれでいいんだ。
だって時間計算ができない私はここでちょっとでも早くトイレからでたら「まだ時間あるから」ってまたぽ〜っとしてしまうから。

そしてあわてて歯を磨く
頭の中ではおかあさんといっしょで流れていた曲で
「上の歯〜♪下の歯〜♪前歯〜♪奥歯〜♪」って曲があるんだけど、それを流していそいで磨く。せっせと磨く。

前髪とお顔をこしこしと洗う
化粧水は2回ぺちぺちつけて、乾かしているひまなんかないのでそこから日焼け止めをぬってフェイスパウダーを付ける。
そして前髪を乾かす。

リビングに行って前日に準備していたお弁当と飲み物をリュックに放り投げて、アイロンのスイッチをつける

「アイロンのスイッチがつく前に着替えを終わらせてしまおう!!」と毎日心がけてはいるけれど、4年ぶりに買ったアイロンはいいアイロンすぎて20秒であたたまるためほぼ無謀な目標である

そして前髪と横の前髪(?)を整えるだけにして
「髪の毛結ぶのは職場ついてからでいいや〜」ってかんじで

リュックを持って洗面所へ行く
ケープで前髪をかっちかちにする
職場では「風吹いても全然崩れないじゃん!こわっ!」と言われたりもする。前髪の安定は精神の安定だからね。何を言われようとこれからもわたしは毎朝前髪をかっちかちにするのだ。

そしてお家を出る。
エレベーターを待つほどの時間もないため階段を駆け下りる。
そのうち転びそうでこわい

自転車ではしる。
雨が降っていても、雪が降っていても、風がびゅーびゅーでも毎日自転車ではしる。
今の職場は電車に乗るより自転車に乗る方が数分早く着くのだ。

小雨が降っていたからパーカーの帽子をかぶって紐をきゅっと結ぶ。まるでもち巾着みたいなみてくれになる。
前髪と髪の毛を守る方法はこれがいちばん

自転車を飛ばす、ぐんぐんスピードをあげていく。
そうしたら少し先に何かが落ちていた。
「なんだろう、、、」すこしスピードを落として近づいてみる


小鳥がこの世を去った跡だった。
車に轢かれたのだろうか、とても痛ましかった

そしてわたしはふとちいさい頃の記憶がよみがえった
ままがわたしの目を覆うのはこの悲しみを見せないようにするためだったんだと

それと同時にわたしはもうおとなに近づいてしまったからもう目を覆ってくれるひとがいないということ

それに気がついた時、わたしはちょっぴりなんだかさみしい気持ちになった

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