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011便 職場の嫌な人間関係から解放される未来③ 行き

こんにちは。元客室乗務員の夏果です。
今日もゆるゆると始めていきます。よろしくお願いします。

今回の行き先は、職場の嫌な人間関係から解放される未来③。
私が上司のパワハラから身と心を守るために取った対策をご紹介していきます。今回は少し長くなってしまったので、前回予告した「心を楽にしてくれた知人の言葉」は、次回番外編としてお話したいと思います!


それでは今回も、嫌な人間関係にお悩みの方の参考になることを祈って・・
離陸〜!

恐怖克服大作戦

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私がパワハラ上司Iさんへの恐怖を克服した方法は主に二つあります。

その①
あえて近づき、記憶の塗り替え作業。(ラベル貼り)
その②
自分たちを映画やドラマの出演者だと思い込む


では詳しく見ていきます。


その①あえて近づき、記憶の塗り替え作業。(ラベル貼り)


ある治療のお話をします。

何かに対して強い恐怖をもつ、恐怖症の人の治療に、

あえて恐怖の対象になんども近づかせる

というものがあるそうです。

例えばクモ恐怖症。

普通クモ恐怖症の人は、クモには絶対近寄らない。そのせいで、いつまでも恐怖心を持ち続け、「近づいても、ひどいことにはならない」ということを理解する機会がありません。
そこで

無理やりクモに近づけられる

めちゃめちゃ怖いし気持ち悪いけれど、特に何も起こらない。

またクモに近づけられる

やっぱり何も起こらない


これを繰り返すことで、クモ=恐るるに足りない存在

ということが脳に刷り込まれ、恐怖を克服することができるのだそうです。

これを知り、私は考えました。

これはまさに、私にとってのIさん!!


めちゃめちゃ怖いし厄介だけど、命まで取られることはない。

今までパワハラなど受けたことがなく、草原でぬくぬく育ち、ムシャムシャと草を食べているシカだった私にとって、Iさんは、まるで突然現れた巨大ライオンのように思えていたけれど


実際、本物のライオンの方が全然怖い。そりゃあもう、段違いに怖い(笑)


その点、Iさんは、所詮は私と同じ人間。

・・・いや、カメムシくらいにしとくか。

※ なぜカメムシなのかというと、厄介だけど別にそんなに強くない者、というテーマで考えてたら浮かんだからです。触れてしまうと結構な被害を被るけれど、いざとなれば、全然勝てる。
とにかく、ちっぽけなものが良かったので、「まあカメムシでいいか」みたいな適当なノリで決めました。(カメムシよ、ごめん)


そんな感じで、私はオフィスでも機内でも、毎日あえてIさんに近づき、

お、案外何も言われなかったな(まあ相手はカメムシだしな)

とか

今日は普通に会話出来たな(相手はカメムシなのに!)

とか、そんな風に、「Iさんが怖くなかった瞬間」を意図的に自分に与えるようにしたのです。


これがうまく機能してきたので、さらに私は調子に乗り、Iさんに関する記憶そのものを塗り替えることにしました。


004便でもお伝えしましたが、記憶は、きちんとしたプロセスを踏めば、塗り替える事が可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

https://note.com/f_w_m/n/n8d144902dc56


この記憶の原理を利用して、私は

フライト中、Iさんにあえて近づきまくる

Iさんの姿を脳に焼き付ける

フライト後、その姿をなるべく詳細に思い出す

「カメムシ。あれはカメムシだった。喋れるカメムシ。全然怖くない。ただのカメムシ。カメムシ・・・」と、Iさん=カメムシと記憶し直す(6時間以内)

ということを馬鹿みたいに本気で1週間くらいやり続けたら


もう、Iさんに近づくことは、なんにも怖くなくなりました。

昔はオフィスの廊下の向こうからIさんが歩いてくるのが見えただけで、空いている会議室に逃げ込んで、吐き気を我慢していたというのに。

恐るべし、カメムシ効果。

※ちなみに、フライト後、Iさんが退社するときに緑のスカートを履いていたことがあり、もうその時は感動すら覚えました。Iさんったら!立派なカメムシになられて!と。


その② 自分たちを映画やドラマの出演者だと考える

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ある実験の話をします。

被験者全員に、恐怖を引き起こさせるような映像を見せ、その手の発汗量などの恐怖反応の大小を計測する、という実験です。

簡単に言うと、

誰かが苦しむような悲惨な場面を見たとき、

掌の汗の量が多くなった人は、恐怖やストレスを多く感じている。 
反対に、汗の量があまり増加しなかった人は、感じている恐怖やストレスも小さい。


みたいな感じです。


で、この実験の前に、ある細工をします。
被験者のうちの半分(Aグループとします)には、映像を見せる前に

「これから見せる映像は全てフィクションで、登場人物が恐怖におののいたり、痛みで叫び声を上げても、それは全て演技です」

と伝え

残りの半分の被験者(Bグループとします)には

「これから見せる映像は、ノンフィクションで、全て本当のことです」

と伝える。


すると、映像を見た時のAグループとBグループの被験者の反応には明らかな違いが生まれました。


映像が全て演技だと伝えられたAグループの被験者たちの恐怖反応は少なく

逆に、映像が全て本当だと伝えられたBグループの被験者たちは、大きな恐怖反応を示しました。

このことからもわかるとおり、人は、恐怖の対象に対する思い込みを変えるだけで、その対象に感じる恐怖をコントロールすることができるのです。

これを早速応用!!


私は、目の前で起きている事柄を、映画やドラマを見るように認識するように努めました。

例えば、Iさんが私に対して、暴言を吐きながら叱責しているとしましょう。そんな時、私は

Iさんは、私を叱るという迫真の演技をしているんだ

と思い込むようにしたのです。


「怒りに満ちた表情、うまい!」
「よっ!演技派!さすが主演女優!」

こんな風に、心の中で無理やり自分に言い聞かせること、一ヶ月。


私の心に変化が生まれます。

Iさんの暴言を浴びているのは、自分ではなく、

主演: 客室乗務員 Iさん
助演: 客室乗務員 夏果

タイトル「the・パワーハラスメント」

とかいう映画の中の、出演者としての自分であり、

バカとかノロマとかの言葉の数々は、生身の私に向けられている言葉ではない、

と感じられるようになってきたのです。


何を言われても、生身の心で受け止める必要は無いんだと自然に意識でき、そこから、無駄に傷つくことが減りました。

そうなると、暴言吐かれても、もうあんまり恐怖を感じなくなり、

「あ、Iさんってこんな所にホクロあったんだ〜」

とか

「眉間のシワがすごいな。私も表情には気をつけよう」

とか

「白髪はーっけん」

などと、初めてIさんの顔を正面から見られるようになり

私の中で、怪獣とか猛獣と同じ分類だったIさんが、


白髪のある普通のおばさん

あるいはカメムシ


に変化したのです。


もう、ぜーんぜん怖くないし、何言っててもセリフに聞こえるしで、この頃には普通の叱責程度ではびびらなくなりました。そして、私からの謝罪の言葉もどんどん上手くなるわけです。

なにせ助演女優ですからね。


※ただし、「あんたなんか死んだほうが良い」などの看過できない暴言が出てきた時だけは、

(すごいセリフが飛び出したぞ。今日の名シーンだ)

と流しながらも、冷静に記録はつけてました。

ポイントは、全てを「セリフ」だと思い込むことです。
最初は無理やりでも、次第に本当にそう思えるようになります。

なぜこんなことをしたのか

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私が大真面目にこんなことを考え、実行に移した理由。それは、自分の中でIさんのことを貶めたかったからではありません。

変な言い方になりますが、「無駄に怖がることの無駄さ」に気づいたからです。

ライオンを前にしたシカのようにプルプル震え、失敗を繰り返す私を、Iさんは虐めたかったわけではないと思うんです。(そう思いたい)

あくまで、彼女は彼女の正義に従って行動していた。ある意味、すごく真面目で純粋な人だったと、今になって思います。

●彼女にとっては部下への指導

●私にとってはパワハラ

これは、いつまで経ったって、交わることのない価値観であり、そんなお互いの価値観の違いに惑わされて、人そのものを恐れることの、いかに愚かなことか。

私と違うのは。私が怖いのは。それは、Iさんではなく、Iさんの思想

思想なんて簡単に変えられるものではないのだから、そこを変えて欲しいと願っても無駄なわけです。

そして、思想が違うからと言って戦争するわけでもあるまいし、だったら相手のことを恐れてストレスを抱いたり、相手のことを考察したりする時間って、とっても無駄だと気づいたのです。

思想が違う。それならそうと割り切って、別々の価値観のままお互いの道を進むしかない。

そう考えたとき、私はIさんと共に働いていくのは無理だと判断し、マネージャーへの直談判へと移りました。

Iさんへの恐怖心はかなり薄れていたから、自分の居場所を確保するための「直談判」という戦いへ向け、勇気を持つことができました。

敵を憎んだり、恐れたりすると、自分のすべき事が曇って見えなくなります。

大切なのは、相手への気持ちなどではなく、自分にとってベストな道を進むこと。

あなたがもし、特定の誰かへの恨みや恐れに足を取られて動けずにいるのなら、今回の二つの方法を試してみてください。

きっと、相手のことを良い意味で軽く見られるようになりますよ。


いいですか。

殺人鬼やストーカーを恐れるのは、自分の命を守るために必要なことです。

でも、パワハラやセクハラ、イジメをしてくる人を恐れるのは、自分の人生にとって必要なことなのか。答えはNOです。

そんな恐れに、どうかあなたの瞳を曇らせないでください。

やるべきことは一つ。

あなたが幸せになれる道を、探して進むことです。

いかがでしたか?今日のところはこれにて着陸!

誰かの心が、晴れ晴れとした青空に着いていますように。

また次のフライトで。




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