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0513:政治家と行政組織

 今日の報道特集はアサリ産地偽装問題の続報を取り上げていた。この問題については先日note記事で取り上げたところだ。

 今回も、やはり行政周りの話に注目して観た。

 農林水産大臣の記者会見。「これだけ大規模な偽装を農水省はいつ察知したのか」との記者の問いに大臣がその場で答えかけた時、横から事務官が遮って資料を示した。大臣は咄嗟に事務官の意を図りかねて小声で数往復の会話がなされる。事務官が「今回です」といい、大臣がそれを記者に向けて答える。その全ての音声が字幕入りで放送された。特段の解説は加えられていなかったけれど、この場面を放送する価値があると判断しての編集だろう。

 金子大臣はかなりキャリアの長い政治家で、衆議院議員→長崎県知事→参議院議員の履歴を持つ。しかし農林水産大臣への就任は昨年10月、まだ半年に満たない。

 行政機関は、数十年の経験を持つ公務員集団(官僚組織)を政治家(大臣)が統括する仕組みにある。大臣は内閣編成で決められるから、その省庁の仕事に詳しいとは限らないし、巨大組織の全ての情報を把捉することはそもそも不可能だ。官僚が大臣に何を知らせるか、そこには自ずと取捨選択がある。アサリ偽装問題を察知したのが「今回だ」というたったひと言の情報の背後には、伝えられていない多くの微細な「事実」があるだろう。ミートホープ事件のように明確な「見て見ぬフリ」があったかどうかは分からないが、圧倒的におかしな「熊本県産アサリ」の流通量を考えれば、疑わしい。

 これと連動するかのように熊本県の状況も描かれた。アサリ産地偽装を「アサリロンダリング」と呼び、これを是正するよう業界関係者が2008年に熊本県庁に要望書を提出した。それに対する回答書は丁寧な文書ではあったが「判断できる根拠がない」という趣旨に留まり、それ以上の対応は行われなかったとその関係者はいう。これを受けて番組は蒲島熊本県知事に「これだけ大規模な偽装がこれまで分からなかったのか」と尋ねる。その応答の中で、知事は「私のところに……担当課が察知していたらちゃんと対応していた筈だ。敏感性が足りなかった」という趣旨のことを答えていた。

 ここにも政治家である知事と公務員集団である県庁組織との、必ずしも一心同体ではない状況が見て取れる。

 これなんだよ。私が「やくみん! お役所民族誌」のサブストーリーで描きたいのは。

 数千人から数万人の職員を抱える「役所」という名の人間集団。その中では日々、一般の人間集団と同じ事が起きている。選挙で選ばれた政治家がトップに座っても、その人には知らされることのない「集団の中の事実」がある。それが例えば不正の温存である場合、当然組織の中で不正を是正しようという自浄作用の動きも生じる。しかし不正温存の動きが強固であれば、それに抵抗する職員は潰される。公益通報の仕組みが理想的に機能しているのならば抵抗の術はあるが、現実はそうではない。そのような八方塞がりの状況でも戦おうとするならば──。というような物語が第三話辺りから展開する予定だ。

--------(以下noteの平常日記要素)

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積214h11m/合格目安3,000時間まであと2,786時間】
週末家業デーなのだが家にテキスト類を忘れて来てノー勉強デー。

■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『機神大戦 ギガンティック・フォーミュラ』第9~10話、なんとも不穏な展開。一度見てるんだけど覚えて無いからドキドキ。『ヒューマニエンス パンデミックと人類 科学者からのメッセージ』、人の認知や価値判断の問題が関わってきてオモロイ。

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