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0094:公務員の作り方(4)

 役所の仕事は、各種調整事務を除く対外業務として、大きく給付行政・支援行政・規制行政がある。給付行政とは生活保護や公的医療保険、それに各種補助金など、金銭やサービスを直接提供するもの。支援行政とは、公共領域における民間活動を直接・間接に振興するもの。規制行政とは、違法行為を監視し、是正のための行政指導(法的強制力なし)や行政処分(法的強制力あり)を行うもの。「アメとムチ」ではないが、公共目的を達成する政策を硬軟さまざまな施策の組み合わせで実現するのだ。

 前回書いたように、七~九年目にいた部門は非常にクリエイティブな対外業務だった。給付・支援・規制を組み合わせ、本質的には業界振興の支援行政を中心に据えて民間との関わり方をしていた。

 そこから異動した十年目からの職場は、同じ対外業務でもまったく様相が異なっていた。専門性の極めて高い領域で、分厚いマニュアルに沿って適正な民間活動が行われているかどうかをチェックし、違反があれば一度支出した公費の返還を求める──つまり規制行政だ。しかも、複数の役所が共同して規制を実施する建て付けであり、音頭を取る役所が別にあってうちは基本的にその指揮下で動くことになる。クリエイティビティの発揮のしようがなく、正直にいって「つまらない仕事」に思えた。

 けれどもやがて、クリエイティブかどうかとは別の次元、この分野の面白さに気付くことになる。不正を取り締まる仕事ならではの「報道されない世の中の有り様」の感触。誰もが日常当たり前に利用するこの業界に、ごく少数とはいえ意図的に悪事を働く人間がいるという事実。8割方は悪意のないミスのレベル、1割はなんとなく理解しつつ惰性でやらかしているレベル、1割は悪意ある不正──犯罪だ。法令によって権限を与えられ不正を取り締まる仕事は、世の中から見えないところでひっそりと納税者の信頼に応える重要な役割を担っている。それはとてもやり甲斐のある仕事だ。

 ところが──続く。(書けることにはもちろん限界があるので少し思案する)

 本日のヘッダ画像は神奈川県横浜市・横浜ベイホテル東急から見たコスモクロック21と横浜市街。

■本日摂取したオタク成分
『極主夫道』第3~4話、笑った。なんか分かってきた気がする。『神様になった日』第6~8話、最終回放送前に4話一気観、でも話半分。一旦最終回まで観て、後日ちゃんと観る価値はありそう。

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