0435:プラスチックの環境ホルモン問題
NHKのBS1で放送していた『それでもプラスチックは必要ですか? 人体むしばむプラスチック』を視聴した。標題のとおりプラスチックの人体有害性に警鐘を鳴らす国際共同製作ルポだ。
番組では、環境ホルモンとしてのプラスチックが乳がん・ADHD・不妊などの原因になっているということを、断定はせず、しかしかなり濃厚な疑いをもって描いていた。これ、観た人は確実に不安になる煽り方だ。
うーん。評価が難しい。第一に私は素人なので、ここで描かれていることがどのくらい科学界で蓋然性が認められているのか分からない。第二に、例えば「ADHDの診断数が増えている」といいながら医療の発達によって把捉率が格段に向上していることを除外しているのかどうか示されていないなど、根拠が危うく見える。第三に、やはり「煽る」表現には警戒感を抱きたい。こうしたネガティブな要素が多々ある一方で、「ありそうな話」「事実なら怖い」という感情も引き起こされてしまっているのだ。
恐怖のインパクトは確証バイアスを引き起こす。その恐怖を裏付ける(と証する)情報は全て「ほら、やっぱり」と恐怖心の対象を実体視させることに繋がる。そういう人には、この番組は「危機をすぐさま世に広めねば」と使命感を駆り立てる効果をもたらすだろう。
一方でワクチンデマなど人が容易に誤った認知を強烈に信じ込んでしまう事実を知る人は、「環境ホルモン説もニセ科学じゃないか」と安易にフレーミングしてしまい、正常性バイアスによってプラスチックを使い続けてきた現状に何も問題はないと判断してしまう。
つまるところ、科学的事実抜きで自分の主観・感情を正当化するだけでは、道を誤るのだ。何が事実として分かっているのか。複数の事実の間の相関に因果関係があるのか、それとも疑似相関なのか。専門家がそこを丁寧に社会に伝えなければ、混乱するばかりだ。
今回の番組の作りは、一定のバイアスに彩られていたように、私には見えた。バイアスがあるからデマだ、というわけではない。結果的に事実を言い当てている可能性もある。ただ、こうした問題については、煽ることよりも丁寧な解説こそ必要なんじゃないかな。
なお、マイクロプラスチックが他の有害物質を吸着して結果的に生物濃縮を引き起こすなど、広い視点で見てプラスチックが有害でありうることは割と素直に受けとめているつもりだ。今回は、プラスチックがホルモンに作用してADHDや不妊などの原因になるかのような(断定しないのに煽る)番組の作りに対して眉につばをつけたい、という話なので、念のため。
--------(以下noteの平常日記要素)
■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積161h15m/合格目安3,000時間まであと2,839時間】
実績59分、ステップアップ編の確認問題に戻ってさらさらおさらい。本論編の後で観ると、平易で心が和む。
■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『彼氏彼女の事情』第17~20話、ついにやった(言い方)。『ひねくれ女のボッチ飯』第5話、タイ料理うまいよねえ。ただ、普通のお店で出会うのは日本風にアレンジしてるのだろうね。本場の味になると多分きつい。二十年前に確か岩波ホールの地下で食べたタイ料理、強烈だった。『それでもプラスチックは必要ですか? 人体むしばむプラスチック』上記のとおり。『ドキュメント72hours 大都会24時間営業の格安弁当店』このシリーズは仕事しながら流すのに最適であり、かつ、ルポルタージュとして良い感じ。毎週録画しとこう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?