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0365:やくみん覚え書き/物語の深みを生むものは

 いよいよ明日、鬼滅の刃無限列車編が放送される。私は映画館に観に行ってないので、これは楽しみだ。

 元々テレビアニメ版は本放送時に家族と観たのだけれど、ネットや読書のながら観だったので話があまり追えていなかった。一挙放送を録画してあらためて全部観たのは、映画より前だったか後だったか。その後で原作も全巻買って一気に読んだ。私は結構な漫画読みを自負しているが、ここまで没入して読んだ/視聴したのは『鋼の錬金術師』以来かも知れない。

 今回フジテレビがあらためて総集編を五夜にまとめて放送した。長男を除く家族はあらためて映画に備えて総集編を観ているが、全員揃うタイミングがなかなかなくて映画版の視聴は少し先になりそうだ。

 で。昨夜第四夜那田蜘蛛山編の前半1/3を家族と観て、今夜は家業で実家に移動したので独りで残りを観た。以前観て印象に残ってたのは善逸の過去譚と炎の舞、そして累が人間だった頃の話だ。あらためて観るとそれだけではなく、間を補う様々なものが同時並行で描かれ、それでいて視聴者に全体像を見失わせない。凄い作品だなあ、とあらためて感嘆した。

 この作品に深みを与えているものは、間違いなく一人一人の人間の経験・感情・意思の描き込みだ。もちろん、大手商業誌は昔からコミックをキャラクタービジネスとして構築し、キャラクターが物語を牽引するものが一般的といえる。その意味では鬼滅もその路線に乗ったものであることは間違いない。その上で、だ。いかにキャラクターを掘り下げるか、いかにそれを物語の筋立ての中に組み込むか、いかに「漫画表現」としての高い総合力を獲得するか。そこには作家のセンスがどうしても必要になる。ハガレンや鬼滅はそこが群を抜いているのだ。

 私も若い頃から趣味で小説を書いてきた。だから、自分の脳内から筆先(今時はキータッチ)を通じて物語表現を生み出すことの感覚の襞は、自分なりに理解しているつもりだ。

 故あってしばらく小説書きから遠ざかっていたけれど、10年ぶりに、この7月から小説を書き始めた。

 全7話の大きな筋立ては出来ている。当初はさらさらとストーリーが進むと思っていたのに、場面場面の描写、ちょい役のつもりだったキャラクターの深掘りと全体連環など、想定を超えて長い作品になりそうだ。しかし、それでいい、と思っている。

 ストーリーを淡々と追うのは「あらすじ」だ。「小説」は描写を伴う。情景、心情、挙動。その重ね塗りが想像上のキャラクターに血肉を与え、ストーリーが駆動し、「あらすじ」が「小説」になる。面倒くさい。時間がかかる。でも楽しい。面白い。止められない。

 キャラクターと一緒に笑い、一緒に怒り、一緒に悲しむ。作品の第一の読者は作者だ。作者が愉しめないものは読者だって愉しめない。オタクが推しの作品を周囲に熱く語り「ね、面白いでしょ!」と感動を共有しようとするのと同じだ。物語創作者は、自分の脳内にある物語に没頭し、自分自身の技術で小説・漫画・映画など得意の分野で外界に形づくり、「ね、面白いでしょ!」と読者と感動を共有したいのだ。

 その熱意が、物語に深みを生むのだと、思う。

--------(以下noteの平常日記要素)

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積101h06m/合格目安3,000時間まであと2,899時間】
実績56分、内田貴『改正民法のはなし』の続き。あと一息。

■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『A KITE INTERNATIONAL VERSION』『KITE LIBERATOR』、ガリレイドンナから続いた私的梅津泰臣祭もここで終了。KITEは元々アダルトアニメ、AT-Xで放送できるのはアダルトシーンを削除したINTERNATIONAL VERSION。話の本筋は支障なし、ひたすらバイオレンスアクション。続編LIBERATORはバイオレンス性を維持したままキャラと物語を捻ってぐっとエンタメ成分増量。私の見たことのある梅津監督作品の中では一番の出来。『鬼滅の刃 第五夜 那田蜘蛛山編』、上記のとおり。

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