0350:司法書士資格と行政書士資格

 司法書士と行政書士、さらには弁護士との違いは、知っている人には自明のことでも、一般の人にはあまり知られていないだろう。私も20年近く前に家を建てた際に司法書士・行政書士にお世話になるまで、よく分かっていなかった(実はその時点でも十分理解したわけではなかった)。

 司法書士と行政書士は、昔でいう「代書人」、本人に代わって書類を作成したり提出等の手続を行う人のことだ。これに対して弁護士は「代言人」、本人に代わって法的権利を主張する人。いうまでもなく弁護士が法律系士業の最上位に位置する。

 同じ「代書人」である司法書士と行政書士の仕事の違いは、まず行政書士の方から見た方が分かりやすい。

行政書士法
(業務)
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類…略…を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 つまり官公署に提出する書類の代書だ。次条で代理についても規定されている。補助金の交付申請、許認可手続、不服審査の申し立てなど、私人が行政との関わりで書類を提出すべき場面はいろいろある。そのための書類の作成や手続の代理をするのが行政書士なわけだ。

 そして、第2項に注目してほしい。「他の法律において制限されているもの」は、ダメなのだ。司法書士の業務もこれに該当する。

司法書士法
(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類…略…を作成すること。略
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類…略…を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
以下略
(非司法書士等の取締り)
第七十三条 司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 法務局、裁判所、検察庁は官公署の一部だ。しかしこれらに提出する書類の作成や手続の代理は、司法書士法73条により、行政書士にはできない。

 平たくいうならば、市役所・県庁・省庁に提出する書類は行政書士が、法務局等に提出する書類は司法書士が管轄するということになる。住み分けは割と明快に思える(現場実務の感覚はまだ知らない)。

 この違いは、それぞれの資格試験の違いにあらわれてくる。行政書士は行政法分野に重点があり、その他に民法等の基本的な法令、それに加えて政治経済やIT、文章読解などの「一般知識」科目がある。公務員試験が近い印象を受けるが、行政書士に応対するのは公務員なのだから、当然といえば当然かも知れない。一方で司法書士は登記事務が主業務であるため、不動産登記法と商業登記法はもちろん、その基礎にある民法や商法についても、行政書士試験とは段違いに詳細に問われることになる。併せて記述式、つまり登記の申請書を作成することも必要になる。

 少し長くなったので、続きは明日に。

--------(以下noteの平常日記要素)

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積78h40m/合格目安3,000時間まであと2,922時間】
実績252分、供託法、司法書士法、憲法など6本消化。次回でステップアップ編は終了だ。

■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『サクラダリセット』第19話、相麻菫と浦地正宗、二大キーパーソンそれぞれの抱えているものが明らかになる。シャワーの意味とか、うまいなあ。『カノジョも彼女』第10話、温泉回。キスより先はしないって約束、という台詞を聞いて横にいる妻に「ぼくたちはそんな約束してないよ?」というと「大丈夫、約束なんてなくても心配いらないよ」と妻。心配の方向性が真逆なんですけどー。側にいる高一男子はこういう会話をどう思ってんのかねえ。『ぼくたちのリメイク』第9話、世界が変移してもクリエイター話である点は変わらない。『魔入りました!入間くん』第11話、女子トーク。『探偵はもう、死んでいる』第10話、私はもうほぼ見ず。

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