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1051:過去の戦争、現在の戦争

今日の法律学習は伊藤真塾長による憲法9条特別講義を視聴。これまでの講義の中でも断片的に出てきた平和憲法への想いを全開にした内容だった。

私は高度経済成長期に生まれ、二十代の初め頃まで昭和を生きてきた。学校教育でも世の中のさまざまな書籍でも、先の戦争の悲惨さを示す事例や反戦思想は当たり前に満ちていた。その後、欧米では歴史修正主義が盛んになりつつあり日本も警戒しなければという話が聞こえて来て、新しい教科書をつくる会と小林よしのりの漫画とネットが一気に世論を動かし、第二次安倍政権下で起きた朝日新聞の慰安婦記事撤回が今に至る流れを決定づけるのを、同時代で経験してきた。それだけに、今日の講義はかえって新鮮に聴くことができた。

私のスタンスは、慰安婦問題にしても南京事件にしても、事実がどうであったかは歴史学が実証的に明らかにしてくれるのを待つものと──実証できないものは良くも悪くも仮説止まりと──心得ている。そのような事実があっても、なくても、おかしくはない。だからこの問題を巡って、右が左を自虐史観と罵り、左が右を陰謀論者と蔑んでいるのを観ても、実証ではなくて情緒で批判してるなあ、くらいにしか感じない。

その上で、人はどこまでも残虐になれる、ということには確信を持っている。今起きているふたつの戦争がその実例だ。ロシアのウクライナ侵攻でもイスラエルのガザ侵攻でも、とてつもない戦争犯罪が行われ、同時にその証拠が次々と隠滅されている。今の戦争がたとえロシアの敗北に終わっても、数十年もすればロシアの若者たちは「ブチャの虐殺はなかった、欧米のプロパガンダだ」というようになっているだろう。

今日の講義の中では、太平洋戦争末期の悲惨な出来事がいくつも語られていた。軍の目的は国民を護ることではない(それは警察の役割)という話もあった。そして、戦後の歴史の中で憲法が何を護り、それが「解釈の変更」でどのように曲げられたのか、筋道を立てて解説された。通常の憲法講義の外枠扱いとしている理由は、ひとつには受験に直接関わる内容でないこと(関わる内容は本編で解説済)、もうひとつは思想性が明確な分だけ受講生によっては拒否反応を示す人がいるかも知れないことがあると推測する。私自身は、受験のための体系的学習を経た最後に平和主義というワンテーマでじっくり語られる内容は聞き応えがあったし、憲法学的な意味での「法の支配」の意義を考える上でもとても刺激的な内容だったと思っている。

ここまで百十時間くらい塾長の講義を聴いて感じるのは、この人はまさに法教育者なのだ。もちろん、受講生は彼と違う価値観を持っていてもいい。むしろ互いに異なる人と人とが共に暮らす社会を、法律を通じてどのようにデザインするか、そのような見識が講義全体に充溢している。そしてそこが魅力的なんだ。七桁の受講料を払って受講する甲斐は十分にある。

--------以下noteの平常日記要素

■前回以降の小説進捗
【やくみん第2話現在1,140字】
714字から426字進んで1,140字。みなもが大学に在籍しつつ同時に澄舞県庁嘱託職員に潜り込む裏技作戦会議のシーン。

■前回以降の法律学習ラーニングログ
【学習時間3h10m/リセット後累積84h09m/リセット前累積330h42m】
憲法9条特別講義3本+憲法改正特別講義1本。これらはテキストをいちいち参照しなくて良いので捗った。さあこれで憲法の基礎講義は視聴し終わった。これからしばらくは復習に充てて、単元毎にテキスト読み直し→択一演習→基礎力確認テストと進めよう。

■前回以降摂取したオタク成分
『ラストマン』第3話、なんか今回は古畑っぽかったな。そういう路線を狙ってるのか、この作品。音楽の仕事をしている長男が紅白を見逃したというので、全録してる実家機からBD-RE(ちょうど1枚分だった)に落として家で一緒に飛び飛びで視聴。まあ気になってたのはいろいろ観れた&聴けたので良かった。しかしやっぱり若い頃に好きだった曲に聴き入るよ。adoちゃんすげえ。

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