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0352:司法書士と行政書士の特認制度

 一昨日から司法書士と行政書士の違いについて話題が続いている。初回は業務内容、2回目は資格試験の違いだ。

 昨日の本文末に、司法書士・行政書士有資格者は試験を受けた人ばかりではない、と特認制度について少しだけ触れた。今日はもう少し詳しく説明しよう。

 まず、司法書士・行政書士それぞれの資格要件は、法律上次のように記されている。

司法書士法
(資格)
第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、司法書士となる資格を有する。
一 司法書士試験に合格した者
二 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であつて、法務大臣が前条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの
行政書士法
(資格)
第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
一 行政書士試験に合格した者
二 弁護士となる資格を有する者
三 弁理士となる資格を有する者
四 公認会計士となる資格を有する者
五 税理士となる資格を有する者
六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者にあつては十七年以上)になる者

 どちらも第一号は試験合格。注目したいのは、最後の号に職務経験が挙げられていることだ。「裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官」を十年以上務めれば司法書士に、「国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当……行政執行法人……の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当」した期間が通算20年(高卒以上なら17年)以上なら行政書士になれる。試験を受けなくても、だ。これが特認制度と呼ばれるものだ。

 私は地方公務員を27年務めた。うち、おそらく内地留学の2年間を除く25年間が行政事務を担当した期間になる。なので私は、今でも登録をすれば行政書士になれる。司法書士に合格してから一緒に登録しようと思っているので当面は動かないけれど、いつでも取れる資格があるというのは心強いことだ。

 さて。

 どうしてこのような特認制度が設けられているのか。それは、司法書士・行政書士それぞれの業務に関わる。初回で整理したように、司法書士の仕事の相手方(書類提出先等)は法務局や裁判所であり、行政書士はそれ以外の役所だ。つまり、そこで働く公務員は、司法書士・行政書士が提出する書類の審査をするのが仕事であり、丁々発止の協議の相手方になる。立場を変えて司法書士・行政書士として業務を担当するだけの能力が、それぞれ10年なり20年なりで身につくと考えられているわけだ。

 ネットで検索してみてあらためて認識したけれど、この特認制度に対しては、根強い批判がある。主に「ずるい」、つまり公務員優遇で退職後の天下り先を制度化してるようなものじゃないか、という論調だ。

 業務遂行能力があれば問題はないようにも思うが、実務で身につけた業務遂行能力と座学による法律試験対応力は必ずしも一致をしない。つまり、試験で測る能力と、実務経験で認定される能力は、イコールではないのは確かだろう。

 私の実感でいえば、27年間の公務員経験で、補助金交付、許認可、不利益処分、不服審査など行政書士が関わりそうな事務をいろいろ経験した。自分が出会った個々の事案については、法令や要綱を読み込んで、深く深く理解して、業務を遂行してきた。その一方で、自分が具体的事案として扱うことのなかった分野も、多数ある。そうしたものは決して身についているとはいえない。だから、仮に現役時代に無勉強で行政書士試験を受験したとしても、合格できた自信はない。周囲の公務員仲間の様子を見ていても同じように思えるし、法務局職員にとっての司法書士試験もきっと同じことだろう。

 そこを指して「ずるい」といわれれば、そうかも知れない。しかし堂々巡りになるが、法律座学よりも実務経験の方が遥かに業務遂行能力を高めることもまた、確かなのだ。業務の勘所が身についていれば、具体的な事案を処理する際に何を押さえてどこを参照すれば良いか、そういう応用は利く。その意味で、私は特認制度はあっていいと思っている。特に絶対評価=合格点を取れば全員合格の行政書士試験であれば、特認行政書士がいても合否に影響しない。ただ、実際に業務を開始すると、役所にコネのあるOBの方が有利に見えたり、それでいて法律知識がいい加減だったりしたら、苦々しく思えるのもまた自然なことだろう。

 こうなると、「公務員が素で資格試験を受験したら、合格水準に達するか」が気になってくるよね? 私は気になった。なので、実は今日、行政書士試験の昨年度の問題に取り組んでみた。その結果は、明日の記事で(明日がこのシリーズのラストです多分)。

--------(以下noteの平常日記要素)

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積83h11m/合格目安3,000時間まであと2,917時間】
実績119分、これは↑の行政書士試験の取り組み分(採点・解析作業含む)。今日明日は週末家業デーなのだが、実家に本論編のテキスト持って来なかったので今日はこれだけ。

■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『ひぐらしのなく頃に卒』第12話、梨花ちゃんの苦しみの輪廻。『ピーチボーイリバーサイド』第11話、割合観てたけどここまで話半分なのでよく分かってない。『ガリレイドンナ』1~4話、去年だったかな、第一話を放映時に観てて後は録り溜めてた。面白い。元々梅津泰臣好きなんだよね、エンタメ度が高くて。『俺のスカート、どこ行った?」第4話、胸糞キャラが出てくると嫌だなあ。話自体は面白かったよ。

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