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低周波鍼通電について知っておきたい3つのこと

みなさんこんにちは。
【考えながら臨床をすれば鍼灸治療は上手くなる】
スポーツ医科学と鍼灸を考えるF Lab です。

今日は低周波鍼通電の話です。
刺入した鍼に電極をつないで電気を流す方法ですね。
知っておきたいことの1つ目は基礎知識です。

鍼麻酔によるトピックで、1971年にニューヨークタイムスのレストン記者によって「鍼による麻酔」が報道されました。これは、虫垂炎などの開腹手術に、薬物を使用せずに鍼による低周波電気刺激を行うものでした。手術中の患者の意識は鮮明であり、執刀医と話をすることができたといいます。この時期を境に鍼を電極とした低周波通電による研究が発展していくことになります。

特に日本では、この鍼を電極とする低周波刺激が鍼麻酔方式と呼ばれ現在まで活用されています。特に、疼痛閾値の上昇についての基礎的、臨床的な研究が行われてきています。

上肢・下肢の低周波鍼通電のにより、通電10分ほど経過してから臍の部分を中心に疼痛閾値の上昇が始まり、胸部、顔面部まで広がります。この痛覚閾値の上昇は、感覚の脱出をするまでのレベルには達しないと言われています。
この疼痛閾値の上昇の程度が最も大きくなる周波数は0.8〜1.2Hzであること、通電に用いる鍼の直径が細いほど通電時の痛みが強く疼痛閾値の上昇も小さいと言われています。

これらの反応を利用して今日の低周波鍼通電療法の基本的な考え方に至ります。
整形外科疾患では原因となっている組織(筋、神経、軟部組織、靭帯など)を直接刺激して一定の電気刺激を生体の反応に応じて流していきます。

鎮痛や血流の増加を期待する場合には、1〜10Hz。
消炎、血管収縮を期待する場合にば、30〜100Hz。


鍼治療の作用機序として

内因性痛覚抑制機構
鍼治療による鎮痛は出現するまでに時間がかかることや、鍼刺激後に鎮痛効果が持続することから内因性オピオイドの関与が示唆されています。このように低周波鍼通電療法は、鎮痛効果が出現し、治療後にも鎮痛効果がある程度の時間持続します。
下行性疼痛抑制機構
侵害受容器から入力されるインパルスによって中枢が痛みを感じる前に、そのインパルスを抑制しようとするフィードバック機構を下行性疼痛抑制機構といいます。ノルアドレナリン系とセロトニン系があり、脊髄後角の侵害受容機構を抑制します。
脊髄分節性の機構
鍼通電療法による刺激は、触覚や鋭い痛みの伝達を担う伝達速度の速い有髄神経を介して脊髄後角内でのシナプス前抑制として、痛覚に対して抑制的に働きます。痛みが生じる部位をさすると痛みが和らぐのはこの機構のおかげです。


最近では、鍼通電の方法や新しい考え方も増えてきました。そして、色々な分野で応用されています。この応用方法についても、別の機会にお話していきますね。今日は基本的な考え方、基礎知識の話題でした。

また、一緒に勉強しましょう。

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