#35 オペラ伴奏の縦の線は、指揮者のタクトに合わせていこう

オーケストラの縦の線の合わせ方は、いろんな方法があります。

よく見るのが、指揮者さんが曲の冒頭を振り下ろすと、一瞬おいてからオーケストラが鳴り始めるという不思議な現象。
指揮者の振り下ろすタクトに合わせなくても、オーケストラ側で縦の線が合っていれば、それはそれでいい、という考え方もあるのです。指揮者は音楽を振る。それを受けて楽団が自分たちで音楽を奏でるので、一瞬の間が生まれるのです。

ある程度オーケストラをやっていると、この指揮者とオーケストラのタイミングの乖離が慣れとなってくることもあると思いますが、オペラはそうはいきません。
オペラ伴奏は基本的に、指揮者のタクトに直接合わせていかないといけないのです。

オペラは、ステージ上に歌手が、ステージ前の深いオーケストラピットに伴奏となるオーケストラが居ます。
その前で指揮者は指揮を振るのですが、さっきのように指揮者が振り下ろしたあと、それを受けて伴奏が自分たちのタイミングで音楽を奏でたらどうなるでしょうか。

そう、指揮を振り下ろしたときに、歌手は歌ってしまっているのです。そうすると必ず、歌手より遅れてオケが出ることになってしまいます。これはありえない。

ということで、オペラ伴奏をやる際は基本的にタクト通りで進めていきます。
やってみるとわかりますが、本番のオーケストラピットは暗く、譜面灯で自分の譜面が見える以外は、ほとんど指揮者しか見えないので、タクト通りにならざるを得ないのも事実ですが・・・

例外なのは、深いオーケストラピットではなく、ステージの前でそんなにステージとの段差が無い形でオケがいる場合です。

この場合、歌手の歌は、オーケストラの空間に合わさった後、さらに前に飛んでいきます。これをうまく使って、「歌手のテンポに合わせてオケの縦の線を合わせていく」ことが可能です。オケは後ろからくる歌手のタイミングを待ち構える形ですね。

いずれにせよ、どう縦の線を合わせるかは、その時々によって異なります。
いろんな合わせ方があることを念頭に置き、音楽をやっていくのが良いと思います。

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