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DAW CAMPさんの見る夢は

 ★創作者視点

 琉球音階にケロケロボイス、エスニック臭漂う感触と曇天な空模様(Gettoは晴天)。静と動のど真ん中、さして装飾は施さず、トラックはミニマルに。だが芯は太く。しっかりと大地に根ざして、にわか雨が企み土は匂う。FRAGILEのアートワークが源泉、イメージの苗床だろうか。内面の世界は描かれていない。視覚からインスピレーションを得ている?それはスコトーマが外れたありのままの世界なのだが、色覚異常をきたし白と黒の濃淡。でも確かな水彩感で澄んでいる。両の目の眼で、自然現象を鋭く描写する。特に「目に映る風」が重要なファクターだと思われる。そうして描かれた世界には、「人らしき姿は見当たらない」。真夜中のバイパス、そびえ立つビル、生命の息吹を感じられない、がらんどうの夜。そんなシーンが思い浮かぶ。映画音楽的と表現すれば良いだろうか。もしも筆者がこの世界を描くなら、そう思考する。でもDAW CAMPさんの意図はもっと深そうだ。是非聴きこんで深堀りしてほしい。なんならこのレビューの続きを書いてくれ。

 ★リスナー視点

  秋口くらいの少し肌寒い真夜中に車を流しながら聴きたい。筆者はトラックメーカーではないので断言できないが、基本「シチュエーションだけは想定」するから、キャストはあんた、舞台は自分で用意しろ。その日の気分や天候次第でずいぶんと印象が変わる独特な響きだと思う。洗い流されていく感覚だったり、虚しさにより添ってくれたり。目を閉じて、その一音に身を委ね潜水するのもいいだろう。少し音楽に詳しいなら、音響やピースの作りこみも素晴らしいので、仕掛けられたギミックを注意深く拾いあげてトブのもきっと楽しいだろう。Lo-Fi過ぎず、チルアウトとも言い切れない。絶妙なバランスを保っているので、きっと飽きることなく聴けるだろう。

 ★最後に

 現在公開されている曲は11曲。AudioStockもやっているようなのでリンクを貼っておく。筆者はトラックメーカーではないので、あまり深い分析はできなかった。申し訳ない。ただエレクトロニカ黎明期よりその遍歴をずっと追い続けてきたので、書いてもいいよね?コロナ以前からクラブカルチャー全体が飽和状態に陥っているのは明らかだった。そしてコロナによりもはや死に体になりつつあり、かつての在り方を取り戻すことはおそらくできないだろう。House Of Tapesさんの記事でも触れたが、クラブカルチャーにおけるトラックメーカーの役割は踊れる曲を作ることのみで、主張が介在する余地などなかった。だがもうそんな旧態依然な認識じゃこの先生き残れない。変革の時代だ。みんなで作るハコ文化はもう死んだんだ。リスナーの脳内にフロアを創りあげるんだ。そう、エレクトロニカを再構築しよう。主張こそがドラッグの代替品だ!足り得るんだ!

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