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THE FLYING BEDさんの見る夢は

 ★創作者視点

 抽象度に解像度、どんなに上げ下げしようが、そいつは絶望のマトリョーシカ。最後に残るのは振動する紐。ただの振動する紐だ。神なんぞという概念。一切は無意味。不条理が我が物顔で跋扈し、社会病理渦巻く大地に溢れかえるは屍。理不尽に人が死んでいく様は、ハゲタカが群がりついばむその様はなんて「美しい」のだろうか。死にゆく二人が手を伸ばす。わずかに届かぬその数センチに宿りし美しきドグマ。おそらく誰が聴いても死を連想するであろうサウンドと、客観に徹する歌詞。「ネクロフィリア的好奇心」。他に形容しようがない。ダークな世界観と蜃気楼のようなメロディー、そして水彩的なファルセット。ただそれだけでも素晴らしいのだが、せっかくだから核心に触れよう。触れろ。無意識下まで堀り下げるように。全身突っ込んで群発する失神と覚醒にその身を委ねろ。筆者は断言する。己の死生観を音楽と言う形でここまで完璧に表現しきった人間はいない。嘔吐するものは嘔吐して去れ。惹かれるものは埋没してその世界で死に繰り返せ。この芸術品は尋常ではない通過儀礼と悪夢を伴うダチュラ、ドラッグのようである。

 ★リスナー視点

 なんの視点も持たずただ音に浸るだけで良いと思う。上記のような体験は創作する者であるならばというものであって、完全にリスナーに徹するならば読み飛ばして良い。むしろ避けたほうがいい。比較対象がないのが問題だ。岡村靖幸や松任谷由実のように突き抜けているので、おかしな比較優劣癖がついたら他の音楽が聴けなくなる。そのくらい稀有なのだ。音楽的にはざっくりレディオヘッド以降の系譜と言ってしまえるのだが、筆者はそういう表現はしたくない。反吐が出るほど嫌いなのだが、音楽ライターが作った糞文化、となすりつけておこう。

 ★最後に

 絶望感の単位がコスモスと出鼻に書いたのだが、さすがに消した(笑)。THE FLYING BEDさんのレビューは一度断念したんだよね。多角的に捉えてもなんか核心を掴んだ感触がなくて。めちゃくちゃ聴きこんでたのに。だからレビュー書いて気づけてよかったなと。ところで、なんでこの人がインディーズなの?どうしたの日本の音楽業界、と最後に毒づいて終えます

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