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読書感想文ほか

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ファンタジーやSF(いずれも広義の意味での)の感想文です。 Photo at header by NordWood Themes on Unsplash https://unsp…
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#随筆

【読書感想文】フリッツ・ライバー「アルバート・モアランドの夢」

(新しい方の)『幻想と怪奇』の目次に、ライバーの短編「アルバート・モアランドの夢」というのを見つけて即注文。とてもハッピー。 どんな本に載ってるの短編小説なのか、という話は下記の通り。 フリッツ・ライバー著 若島正訳「アルバート・モアランドの夢」(The Acolyte第10号-1945年春号-初出、『幻想と怪奇 6 夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館』新紀元社、2021所収。初出の情報は同書に拠る) 本作を、こちらのブログと、ライバーの短編集『跳躍者の時空』(中村融編、

ヒロイックファンタジーの人名について_R.E.ハワード「黒い予言者」の場合

ヒロイック・ファンタジーの源流コナンシリーズに登場する地名と人名に注目したら、ハイボリア世界の歴史が垣間見えたような気がした。 ハワードの命名法については、すでに先行研究があるらしく、詳しくは新訂版5巻末の「解説」を読んで頂くほうが良いと思うので(ここであれこれ書いても孫引きにしかならないので)、ちゃちゃっと話をすすめる。 【念の為】本稿には特定の地域、文化、国家、人物などを誹謗中傷する意図はありません。 気になることさて、コナンシリーズの「黒い予言者」に「イラニスタン

「星々の船」【ファファード&グレイ・マウザー】_ヒロイック・ファンタジーの思い出

本記事はフリッツ・ライバー「星々の船」のネタバレを含みます。恐れ入りますがご了承下さい。  男二人が、お宝求めて雪山へ。猫もいる。  フリッツ・ライバーの中編小説「星々の舟」(『妖魔と二剣士』所収、書誌情報は末尾に記載)は、おおよそこうした「つかみ」のお話です。  その昔、読んだときに思ったのは、登場する山「スタードック」の標高はどれくらいと、いうことでした。  冒頭に「連峰の高さは二リーグ」(「星々の舟」27頁、以下特記ない限り、ページ数は同作のもの)とあるので、だいたい

「銀の手のコルム」―ヒロイック・ファンタジーの思い出

 本記事はコルム(作家マイクル・ムアコックの描いた主人公の一人。アイルランドの伝承の影響があり、エターナル・チャンピオンという作品群に位置づけられる)についての思い出話です。コルムに限らず、ムアコック作品のネタバレを含みます。ご容赦ください。  筆者は2007年と2008年に出た新版でコルムを読みました。同じく新版のエルリックを読んだあと(少なくとも「この世の彼方の海」は読んだあと)だからか、『剣の騎士』は一回目でも読みやすかったです。  一方、『雄牛と槍』は、読みにくかっ

ヒロイックファンタジーの思い出「ルーンの剣」

 ルーンの剣には絶大な求心力があるのです。  このあいだ「エイジ・オブ・コナン」というMMORPGがあって、同作にキンメリアンルーンソードという物が登場することを知りました。  これを機会に、ルーン文字が刻まれた剣の思い出について、なるべくミニマムに語ります。もちろん、ルーンの無い剣にも申し分ない魅力があります。両者の比較なんて大それたことはしません。  なお、ヘッダー写真は、ロバート・E・ハワード原作のコナンシリーズにはエジプト風な土地もあるということで、選ばせていた

尻と腰の強い味方:バロン

 買ってよかったものは、バロン(オカムラ社の椅子)です。  二時間以上座ってても痛むところが無く、座り心地がとても良い。尻と腰の強い味方です。  読者の方々にも、自宅でバロンのお世話になっている方もいるのではないでしょうか。あるいは、出先で座り心地のいい椅子があって、それがバロンだったという方もいるかもしれません(立ち仕事やドライバーの方々すみません)。  筆者は、以前に出先でバロンと出会いました。  先日、そんな出会いを思いだすきっかけがありました。note上のとある

ヒロイックファンタジーの思い出「タルマ&ケスリー」

ヒロイックファンタジーについて無性に語りたくなったので書きます。以下、レビューではなく、あくまでも感想です。推しへのファンレター?みたいなものかもしれません。 (作中、猛禽と氏族という要素がしばしば登場することに合わせて、ヘッダー画像を使わせて頂きました。ありがとうございます) 表題は、作家マーセデス・ラッキーの小説に登場する主人公二人組の名前です。いわゆる剣と魔法の話です。 (二冊目をはろうとしたらエラーが出たので、とりあえず第一冊だけ。「タルマ&ケスリー」でググると

Planescape: Torment

まえがき 心に残ったゲームは「Planescape: Torment」(以下、本ゲームと略)です。  筆者は今回の企画をきっかけに、本ゲームを再び遊び始めたものの、体力がついてこなくて挫折してます。私事で恐縮ですが、画面が大きく動くゲームをしていると、目がしょぼついて辛くなります。  なお、本ゲームは、主人公が記憶喪失であるロールプレイングゲームです。その他の点については、日本語版Wikipediaに面白さをスポイルしない範囲でまとまってるので割愛します。なお、英語圏の攻