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子どもに生理をどう教える?思春期の生理トラブルと大人の寄り添い方

〈監修者〉
丸の内の森レディースクリニック
院長 宋美玄先生

大阪大学医学部医学科卒業。周産期医療、女性医療の診療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』『産婦人科医 宋美玄先生の生理だいじょうぶブック』『産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』などがある。2017年に開業した丸の内の森レディースクリニックは日本屈指のオフィス街とターミナル駅に近く、近隣で働く人から遠方に住まう人まで幅広い層の女性が訪れている。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。


フェリシモ「gokigen Lab.(ゴキゲンラボ)」のCです!
このラボでは、産婦人科医の宋美玄先生に、女性のからだや生理のことを教えてもらっています。生理のことといえば最近、性教育が話題になっていますね。
子ども向けの性教育の本がたくさん発売されているし、少女マンガ雑誌に生理のことを説明した冊子が付録になるなど、いろいろあるようですが、子どもに性教育をするとなると、どうしたらいいのか、わからない人も多いのでは? 
今回は宋先生に、子どもへの性教育について教えてもらいましょう!

【今回のお悩み】子どもに生理のことを伝える方法がわかりません

子どもの生理については、お客さまからもこうした声が届いています。

「子どもの生理痛がひどくて、病院に行くべきか迷っています。でも、内診は酷かなあ……と考えてしまい、薬を多めにしてしのいでいます」

「子どもの生理不順があります。ホルモンバランスのせい?」

「子どもが初潮を迎えた時に用意してあげたいグッズなど、学校へ持って行って違和感ないものとか、子ども用のデザインのショーツとかあれば知りたいです」

アンケートでも「お子さんに生理のことをきちんと伝えられているか」を質問してみたところ、このような結果になりました。

Q.女子のお子さまがいらっしゃる方へ/生理のことをちゃんと伝えていますか?

アンケート 調査期間:2022年9月18日~9月25日 有効回答数12,832件


Q.男子のお子さまがいらっしゃる方へ/生理のことをちゃんと伝えていますか?

Q.「あまり伝えられていない」「伝えられていない」と答えた理由として当てはまるものをすべてお答えください。(複数回答)

生理については、女子のいるご家庭でも半数近くが、男子のいるご家庭では7割以上がちゃんと伝えられていないという結果に。
その理由として、「どう教えていいかわからないから」と答えた方が半数以上でした。
生理のことは、女子だけでなく男子にもしっかり伝えておきたいところ。どのように考え、対応するのがよいのでしょうか。

子どもの生理に寄り添えるようになろう

こんにちは! 産婦人科医の宋美玄です。
からだや性、出産に関する知識は、子どもたちがこれからよりよい人生を送るうえで必要なライフスキル! 生理のことも、もちろんそのひとつです。しっかり伝えてあげてください。
例えば初経が来る前、体形に変化が表れているなと感じたら、ナプキンの使い方や捨てる場所を伝えたり、生理について書かれた本を手渡したり、ある程度自分で対処できるよう、事前に教えてあげましょう。それも立派な性教育のひとつです。
そして、子どもの気持ちを先回りし、月経のことを親や周囲の大人に伝えることの気恥ずかしさをフォローしておくのもよいですね。
男子にも生理のしくみを伝え、生理中の心身の状態などを理解できるようになるのがベストです!
それをきっかけに、生理や性についてオープンに話せるようになると、万が一のことがあったとき、子どもから大人へSOSが出しやすくなることにもつながるはずです。そうした関係性をつくっておけると、大人も子どもも安心できると思います。

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From Lab. 編集部
「生理のことを伝えることも、たしかに大切な性教育ですね。今からではちょっと遅いかもしれないけど、やってみようと思います」
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生理周期が安定するまでは時間がかかる

子どもと月経のことについて話すのに、この記事を利用するのもよいと思います!
というわけで、思春期の月経について知っておいてほしいことを少しお話ししましょう。
まず知っておいてほしいのが、月経周期についてです。
成人女性の場合、月経周期は24~38日の間で安定しているのが普通ですが、初めての月経=初経を迎えてからしばらくの間は、周期が整わないことがほとんどです。
月経のリズムが整うのは、18歳くらいになってからのことが多いもの。
思春期の子の場合、月経周期がバラバラでも、あまり不安がらないようにしましょう。
とはいえ、月経の間隔が3ヵ月あいているような場合は婦人科へ相談してください。
「内診が……」という声もありますが、思春期に月経不順で受診してきたお子さんに内診をすることは、基本的にありません。
なので、安心して受診してほしいです。

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From Lab. 編集部
「思春期では、婦人科を受診しても内診は基本的にしないと聞いて、安心しました。子どものうちから信頼して相談できる、かかりつけの婦人科医を見つけておけるといいですね」
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思春期は生理痛がきつい! 鎮痛剤を使い、気になる時は婦人科へ

月経が始まって間もない思春期の特徴としてもうひとつ、「月経痛がきつい」ということがあげられます。
10代は子宮の発育が未熟なため、子宮口がせまく、経血がスムーズに外に押し出されにくいのです。そのため、圧力がかかり、痛みを感じることが多いです。
そのほか、月経に対する不安な気持ちがあり、そうしたメンタル面の影響が痛みを強めることもあります。
まだ思春期のお子さんが月経痛を感じている場合は、まず市販の鎮痛剤を用法・用量を守って服用させ、痛みを和らげるのがよいでしょう。

生理痛を薬でおさえると、クセになり薬が効かなくなるのでよくないと聞いたことがあります。なので、子どものうちは、なるべく使わないほうがいいと思っていたんですが……。

月経痛で月に何日か使う程度なら、鎮痛剤がクセになることはないです!
それよりもむしろ、子どもに痛みを我慢することを強いるほうがよくないです。用法・用量を必ず守り、適切に鎮痛剤を使って痛みから解放してあげたほうがずっといいですよ。
ただし、市販の鎮痛剤を飲んでも効かず、寝込むほどひどい月経痛に悩まされている場合には要注意。その裏に病気が隠れていることもあります。早めに婦人科を受診しましょう。
また、鎮痛剤だけではなく、低用量ピルを選択肢のひとつとして考えてみるのもおすすめです。
今の低用量ピルは、初経が来たら使い始めてOKになっているものが多いです。なので、思春期でももちろんOK。
初めてピルを飲む場合、一部の人に、一時的ですが吐き気やむくみといった副作用が起こったり、なかには血管の中で血液が固まり、血管をふさいでしまう血栓症が起きたりすることがあります。
ですが、排卵を止めて子宮内膜が厚くなることを防ぐピルは、月経痛や月経前症候群(PMS)の軽減、子宮の病気の予防などに役立ちます。
メリットとデメリットをしっかり理解したうえで、上手に利用してみてください。

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From Lab. 編集部
「子どものころからピルを飲むなんて……と抵抗があったのですが、今は安全でメリットも多いんですね。選択肢のひとつとして考えてみてもいいなと思いました」
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生理時の基本を教えて、便利アイテムも知っておこう

あとは、月経にまつわるグッズの扱い方、デリケートゾーンのケア方法を教えてあげるのも大切!
例えば、経血がついてしまった下着は、必ず水で洗うこと。経血はタンパク質なので、熱いお湯で洗うと固まってとれなくなってしまいます。素早く水で落としてから、洗濯機で洗う……なんてことも、言われないとわからないですよね。
それから、デリケートゾーン(おまた)の洗い方も重要です。デリケートゾーンはひだが多く、おりものなどの分泌物も多いため、きちんと開いて洗わないと汚れが残りやすいもの。しゃがんだ状態で、デリケートゾーン専用ソープや弱酸性のソープなどを使って、指でひだの間を洗うと洗いやすいです。私は娘にそうやって教えています。
洗浄力の強すぎるソープでデリケートゾーンを洗うと、常在菌という必要な菌まで洗い流してしまい、ヒリヒリしたり、かゆみが出たりすることも。注意しておきましょう。

そういえば生理が始まったばかりのころは、トイレにナプキンを持って行くのも恥ずかしかったような記憶があります……。

ナプキンを隠せるハンカチや、ナプキンを入れられるポケット付きのサニタリーショーツなどが販売されているので、そうしたグッズをすすめてみるのもいいですね。
今の大人が子どものころにはなかった、月経に寄り添うグッズも、今はたくさんあります。新しいグッズも積極的に取り入れていきましょう!
それと、月経のことは女の子だけでなく男の子も知っておくことが大切です。
「女性には、月に1回おまたから血が出て、体調がよくなくなる時期がある」ことや、「ポーチを持ってトイレに行く女子をからかったり、生理のことで女子をからかったりするのはダサい」ことだと、思春期のころから、男の子にも伝えておきましょう。
そうすることで、お互いに思いやりが生まれてくるはずです。


〈今回のPoint〉
・思春期の生理は不安定。周期がバラバラでも心配はいらないけれど、3カ月なければ婦人科に相談を
・生理痛もきつくなりがちなので、鎮痛剤は使ってOK。低用量ピルの使用もOK
・便利な生理グッズも増えています。積極的に取り入れて、快適に過ごしていこう
・生理のことは男女ともに知って、お互いに思いやれる社会をつくっていこう


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