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三度目の正直でジョングクの手を掴んで見える世界が変わった話


 
 
 
ある日突然、見える世界が変わってしまうことって人生で何度かあると思う。
私にとってはそれが1年前の今日、2020年8月26日だった。
 



特別な日とかでもなんでもなく、なんの変哲もない普通の平日水曜日。

いつも通り仕事をして、いつも通り死んだ目で誰もいない家に帰り、いつも通りツイッターを流し見る。FNS歌謡祭を放送中だと知って、いつもほとんど見ないテレビを久しぶりに付けた。
疲れた体に無心でコンビニ飯を詰め込みながらボ〜っと見ていると、有名なアイドルが映った。





メンバーが何人いるかすら知らないし、本当に全員同じ顔に見える。
みんな顔整ってんな~くらいに思って横目で見ていると、彼らが踊り始めた瞬間ある人に釘付けになった。
 


 
こういうのをオーラと呼ぶんだろうか?



ひとりだけ、顔も名前もわからないのに目で追いかけてしまう。踊る姿があまりにも目を引く。画面に7人いても踊っている時だけは彼がどこにいるのか一目でわかった。
ほかとなにが違うのかはわからなかった。でも明らかに一人だけ輝いていて、驚きと興奮で確実に心拍数が上がったのを憶えている。
 
 


パフォーマンス、一瞬で終わったけど待て?

え今いまイマあの人が誰なのかを知っておかないと絶対に後悔する、誰?あの人は誰待ってもっかい放送して。
まずい。私、あの人に関して踊り方しかわからない。呆気にとられてる間に終わってどのパート歌ってた人かもどんな衣装着てた人かもわからない。顔はみんな同じに見えたし、Kドルが髪色も髪型もすぐ変わっちゃうのは知ってる。オワった……
 

名前の調べようがない。
もっと大画面で見ていれば顔もわかったかもしれない。
今更になってテレビのサイズをケチった自分が心底恨めしい。


これ以上ないほど焦りながら藁にも縋る思いでYouTubeを開いて、さっき聴いた曲を慌てて検索する。
踊り方だけでわかるかよ、と思われるかもしれないけど本当にどの動画を見ても彼のことはわかった。
 


曲の途中で1人だけ左から出てくる人!!!!!!!!!!!!!!!!
 


わかったはいいけどみんな顔同じにしか見えんのよ、目が仕事せん。名前を教えてくれ名前を!脳裏に前前前世が流れ出して私の中の三葉が君の名は_______!!!って叫んでんのよ。頼むから返事してくれ瀧君。


もちろん丁寧に名前を説明してくれるようなパフォーマンス動画は見つからない。
音楽番組で冒頭に一人ずつ名前が出てくるオープニング映像があったけど、顔がわからないので当然無意味。……踊りながら自己紹介してくれ~…
 

血眼でYoutube上にある動画を見漁って、最終的にこの動画に行き着く。
 


全員がハングルの書かれたゼッケンをつけている。
 
お!きっと書かれているのは名前だ!が、もちろん読めない。RMさん以外全員同じ文字に見える。さっきから一向に目が仕事せん。
 
 
 
 



よしわかった。
"전국"だ。……………………読めん。




とりあえず「BTS メンバー」と検索し、ハングルで書かれた名前を形状で見比べて"전국"を探す。


あっ同じ文字の人いる、ジョン・グク……???
ん?チョン・ジョングクか?ジョングクが下の名前?ジョンがミドルネームじゃなくて? 

 
 



 
こうしてやっと私はジョングクに辿り着くが、実はそれまでに盛大な遠回りをしている。これより前に彼らに2回ほど触れたことがあった。
 

1回目は数年前の高校生の時(多分ピッタン辺り?)
たまたま寄ったHMVでポップが出ていて「防弾少年団」変な名前だなあと思ったことを憶えている。少年じゃなくなったら改名すんのかな、とも思っていた。
 
当時の私に「あんた数年後まんまとその人たちにズブズブだよ」と言いたい。
 


2回目はそこからしばらくして多分20年の4~6月辺り。あまり覚えていないけど確かDNAやIDOL、ON辺りのMVを一通り見ていた。
聴いた感想としては、有名なアイドルの割に曲自体の方向がキャッチーさやポップさに全振りされている様子がなくて意外だな~という感じだった。まだアイドルへの偏見が少しあったと思うし、BTSのことをキラキラ系アイドルだと思っていた。(いや語弊しかないけどBTSはもちろん皆さんキラキラしてます)
当時の私にとって韓国語が耳慣れない言語であったが故か、そこまで深くは惹かれなかった。
 

そして3回目がこのMIC Dropだった。
 

 
私は満を持して(?)Dynamite期にMIC Dropのジョングクで沼入りという謎層のオタクになった。
 

そこからまあ
彼の才能に呆然としたり
ジミンさんの可愛さに頭を抱えたり
ユンギさんの全てに心奪われたりして
今があるわけだけど
この日彼に出会った衝撃を、きっと私は死ぬまで忘れない。
 
 
 
 
 
 
後から他のパフォ動画を見てみても、私が沼落ちした日のジョングクは神懸かっていたんだなと改めて思った。
収録だったことで一曲へ懸けられる体力が底なしだったんだと思う。
多分時期としてはワールドツアー開催が絶望的に感じられたときだったはず。
悲しさと悔しさとやるせなさと怒りと、全部が込められたパフォーマンスだったのかもしれない。
 

そうでなくてもジョングクは常に100%で踊り続ける。
 

前に公演後の楽屋でホソクさんに咎められていたのを思い出す。

「ジョングクは自分をコントロールできるようにならないといけないよ」
「もちろん全力でやりたいのはわかるけど本当にそれで倒れちゃったらどうするんだ?」

 

ジョングクの完璧主義はもちろんメンバー全員理解していると思う。
それでもホソクさんがそう口にしたということは余程だったんだろう。

「ジョングクは壊れそうになるほど全力で踊るんです」

 
 

ライブが終わっての言葉だったけど、どのパフォーマンスもこの言葉の延長線上にあると思う。
収録のためだったとしてもきっと彼は同じように壊れそうになるほど全力で踊っただろう。


その姿こそが一年前、私の胸を一杯にしたんだと思う。
 
 
 
ダンスには詳しくないし技術的な部分はなにもわからないけど、それでもあの日のジョングクは素人眼にもわかるくらい凄まじかった。この人がとんでもない熱量で踊る姿をこれからもっと見れるかもしれないと思って、心底興奮した。


もう彼がああであることには少し慣れてきたけど、あの時本当にびっくりした。こんなに、最初から最後まで持てるもの全てを使い切るようにしてパフォーマンスする人がいたんだと。


何が彼をそこまで奮い立たせているんだろう?


毎年フェスタで1年を振り返る度に「全然だった。今年こそ頑張ろう。」と言うジョングク。
収録が終わった後「今日はちゃんとできたのか?いやできなかった」と自問自答するジョングク。
ライブ後の楽屋でメンバーすらも気づかなかったようなミスを泣きながら悔しがるジョングク。
 


 
本当は誰よりも多くのものを手にしているはずなのに
 
 
あんなになんでもできるのに、あんなになんでも持っているのに、「僕には何もない」なんて寂しいことをたまに言う。



ナムジュンにも言われていたけど、ジョングクは飽きっぽいんじゃなくて何をしても平均以上にできてしまうから、つまらなく感じるのが人より少し早いだけじゃないかと思う。
 

 
私は彼ほどたくさんの可能性を秘めている人間をほかに知らない。
 

 

「情熱を失ったまま生きるくらいなら死んだ方がマシだ」

座右の銘として彼の右腕に刻まれている言葉だけど、
これだけの情熱を持って生きることはきっとたくさんの人の憧れだと思う。
でも私には情熱を失うまいと歯を食いしばって生きている人のように見える。
 

彼にとって上手くできた部分が6割しかなければその6割を認めるより先に残りの4割を悔しがるんだろう。
いつまで経っても自分を足りないと言い続けるし絶対に認めない。
 

 
きっと自分をよくやったと手放しで褒めることはこの先ないんだと思う。
もしあるとしたらそれは着陸の時だろう。
それでも自分の理想を追いかけて努力し続ける姿くらいは彼自身が認めてあげられてるといいな、と思わずにはいられない。

 
 
 


 
今でこそ「推しが決まらんみんな大好き一生オルペン!!!!!!!!!」と毎日大声で叫び続けているけど一番最初、あの日私に手を差し伸べてくれたのはジョングクだった。
私はその手をしっかり、それはもうしっかり掴んだのだ。気づいたらこんなところまで来ていた。
 

まさか言語の壁すらある7人への愛を叫びながら自分を愛することを目指す毎日になろうとは、つゆほども思わなかった。
 
 
見える世界を変えてくれた彼に私は
一生かかっても恩を返し切れない。
一生かかっても感謝を伝え切れない。
 
 
いつまで経ってもジョングクは私の中の特別だ。
 
 
 
 



つい最近、V LIVEでAs Alwaysという曲の素敵なカバーを披露してくれたけど
 


 

"大切なのは幸せであること"
"幸せに生きよう いつもみたいに"

と、こちらに向けて手を差し出しながら歌ったところで涙腺が限界だった。

配信が終わってすぐにこの曲の和訳を調べたけど、本当に温かくて愛に溢れた内容だった。これを伝える為に歌ってくれたのかなと思ったらあまりに嬉しくて有り難くて、どうしたら良いんだろうと途方に暮れたりして、このnoteを書くことにした。



ジョングク、あなたのおかげで私の好きな音楽も花もお酒も本も香りも、全部お守りみたいなものだって最近気づいたよ。あなたもいつも私のお守りの一部でいてくれるね。
伝えてくれた言葉や音楽が、少しずつ私の心の中に蓄積されて私のことを守ってくれる。だからありがとう。
怖いものや苦手なもの、嫌なものは数え切れないほど存在するけどそれでも大丈夫だと思えるのはあなたのおかげです。
 


 
 
「見つけてくれた」とよく言うけど、
たくさんの壁を乗り越えてあの日私の見えるところまで来てくれたのはあなただよ。

まだまだ先かもしれないけど
いつか、大きなステージで輝くあなたに会えることを楽しみにしてるね。
どうかそれまで、健康に幸せでいてください。
 
 
 
2021.8.26

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