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幽玄の入口へ

夜の中に咲く紫陽花は妖のようだった。
幽霊は柳の木に現れると言う。
陰陽のバランスで幽霊は陰、柳は陽木だからだ。
では、紫陽花は?
諸説あり定まっていない。
名前の通り陽。赤い花は陽。
寺院で死者へのはなむけの花としての陰。
青い花は陰。
毒を持つ陰。水を吸い込む陰。

そして、赤と青が交われば紫になる。
見えない世界の陰陽の両面を持ち、
月にも幽霊にも、雨にも、晴れにも交われる花。
その姿を可憐に清廉な雰囲気を保ちながら、どこか艶やかな花。
月に、紫陽花は幽玄を彩る景色だ。

お題『月と紫陽花』願い花様
上の画像は願い花様のツイートから拝借させていただきました。素敵なお題と素敵な写真をありがとうございます。

【後書き】
ほぼ陰陽道の説明のような作品。
ただ、紫陽花の奥深さを感じられたのではないでしょうか?
幽玄とは奥深い趣のこと。そのテーマに相応しい花ではないでしょうか?

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