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初めての音声メディア立ち上げ

長文です。2021年2月8日、新しい音声メディア「VOOX」が正式リリースされました。その立ち上げプロジェクトに縁あって参加しています。長年、活字媒体のコンテンツ作りをしていた自分が、音声メディアに初挑戦。全く知らなかった、キャリアも属性も違う人との新しいチーム。この体験が実に刺激的です。お読みいただければ幸いです。


2020年7月:突然の問い合わせ

その連絡は何の前振りもなく訪れた。
Facebookのメッセンジャーに「はじめまして」という書き出しで、「洪」という苗字の女性からのメッセージである。
丁寧な文章であった。新しい音声メディアのプロジェクトを立ち上げたいとのこと。どのようなコンテンツを作っていくのがいいのか、一度意見交換をする機会をほしいという趣旨の内容だ。
プロフィールを読むと中国の清華大学でなぜか日本語を学び、その後、早稲田大学での交換留学を経て日本の総合商社に就職。このプロジェクトはその商社の新規事業プロジェクトとして子会社で取り組んでいるという。まずは日本語の文面のうまさに驚いた。

一方で大企業がこの手の新しい事業を立ち上げようとしても、組織体制も違うし社員のメンタリティも違うのでうまく行かないのではないかとも思った。それでもメッセージの文面がしっかりしているのでお会いしてみることにした。

当日、やってきたのはメールをくれた洪さんを含め30代と思われる女性3人。出向中とはいえ大手町の大企業の社員なのでスーツで来られるのかと思いきや、3人ともとてもカジュアルである。「Google」と書かれたTシャツにデニムの女史も。

彼女らの所属している会社はMoon Creative Labという。三井物産が新規事業を生み出すために100%子会社として作られたインキュベーションラボである。物産の中で新規事業アイデアのピッチがあり、そこを通過した人が自らのアイデアを持ってこの会社に出向してプロジェクトに取り組むという。現在20程度のプロジェクトが走っていて、その中の一つが、この音声メディアであり、発案者がメールをくれた洪さんだ。

発案者である洪さんは、このプロジェクトのリーダーでもある。実際に話される日本語も流暢で上手だが、加えて身振り手振りというより顔の表情が実に豊かなので話の内容がよく伝わってくる。僕は「顔芸」ってすごいコミュニケーション力だなと、彼女の顔をまじまじとみながら話を聞いていた。
他の二人も面白い人だった。
主にエンジニア面を担当するのは辻理絵子さん。東工大の大学院で博士課程に籍を置き通信技術の研究をしながら、三井物産の戦略研究所で働いている。以前はニューヨークオフィスで人工知能の研究・開発も担当していて、帰国後、このプロジェクトにジョインしたという。
デザイン面を担当するのは、今野千尋さん。イギリスの大学院でもデザインを学び、その後務めたクリエイティブエージェンシーから転職してきたそうだ。海外のデザイン賞の受賞経験も豊富で、前職ではウェブ、グラフィックから空間まであらゆるインターフェイスのデザインを担当したという。
なるほど、強者三人衆である。

一通り自己紹介が終わると、この事業についてプレゼンをしてもらった。彼女たちが立ち上げようとしている音声メディアのプロジェクト名は「VOOK」。書籍の「Book」と声の「Voice」を引っ付けた造語だ。ポッドキャストはアメリカでも中国でもここ数年、利用者が大幅に増えている。そんな中で、日本にはユーザーが自由に投稿できる音声メディアは活性化しつつあるが、厳選された良質なコンテンツを集めたメディアはまだ少ない。娯楽系の音声メディアではなく、学びにつながる良質なコンテンツを揃えた音声メディアを作りたいという。ちょっとした空き時間、どこでも10分あれば学べる音声コンテンツ。そんな新しいメディアを目指していると。

僕自身、音声メディアとこれまで接点がほぼなかった。ラジオを熱心に聞いた原体験もなければ、音声や動画より、ネットでも活字メディアの接触が圧倒的に多い。そんな馴染みのなさはあるが、思い当たることもあった。それは昨今のオンライン会議である。

コロナ禍による外出制限により、オンライン会議やオンラインイベントの頻度が圧倒的に増えた。この「オンライン」効果は計り知れず、それまでの対面が嘘だったかのように必要なコミュニケーションが十分取れるようになっていた。
一方で、オンラインの唯一の不満は目が疲れることだ。一日3時間のオンラインミーティンングは当たり前、多い日は8時間もあり、ひたすらパソコンの画面を見る日々だ。そうなると目の疲労は半端なく、「もう画面をみたくない」と思うことが多々あった。なのでオンラインイベントなどでは、画面を見ずに耳だけで参加することも増えていた。

活字を含め、今やメディアは目の取り合いをしているのだ。書籍もネット記事も動画も「目を使う」という点では一緒であり競合である。そんな中、確かに耳は空いている。これだけ目からの情報に偏っている時代、耳から入るメディアの存在はもっと高まってもいいかもしれない。そう、ここはブルーオーシャンかもしれないと思い始めた。

また、彼女たち3人のチームが魅力的だった。顔芸を駆使して一生懸命話す洪さん。それに援護射撃を打ちまくる辻さん。口数は少ないが謎の微笑みでその場を盛り上げようとする今野さん。彼女らの熱意と一体感が自然と伝わってくる。しかも楽しそうなのだ。辻さんに「洪さんの強みは何ですか?」と聞いたところ、本人を前にやや照れたが「パッションです」と即答される。洪さんも「今野さんは、実績のすごいデザイナーなんです」と仲間を引き立てる。

プロジェクトはスタートしたばかりだが、コンテンツを作る専門家がいない。そこで編集経験のある人に声をかけてみようと思ったという。僕は、他の仕事との兼ね合いもあるが、条件が合いそれらの仕事に支障がなければ検討するという返事をした。洪さんらは一旦持ち帰らせてくださいと言って、この日のミーティングは終えた。

2020年8月:気持ちが動く

それから1ヶ月ほど連絡がなかった。その間、「あれはどうなったんだろう」とつらつら思うことが多かった。女性3人がやってきたのが新鮮だった。しかも皆若い。さらにいうと元気のある中国人がリーダーとなって日本で新しいビジネスを生み出そうとしている。これは、これからの日本の希望の形の一つではないか。そこに年配のおっさんがひとり加わるというのも、これからの一つモデルとしてアリなのではないか。何より、このチームに入ったら面白い経験ができるかもしれないと思い始めた。
彼女たちに勝算があるわけではなく、そこにはただただ「立ち上げよう」という意思と熱意がある。そしてビジョンもある。「これがうまくいくかどうか」は誰もわからない。そんなものにチャレンジしているのが自分の憧れの姿でもあった。

先方から返事がない中、いつしか僕も「このプロジェクトに参加したい」と思うようになっていた。自分自身、編集者としての経験は積んでいるが、音声メディアの経験は初めてだ。どこまで戦力になるかわからない。それでもやってみたいと思い、洪さんに「あの件はどうなりましたか。僕も、お試しでもいいからご一緒させてもらえないか」という趣旨のメッセージを送った。

洪さんからの返事は明確だった。社内調整に時間がかかっていたけど、具体的なオファーをしようとしてくれていたそうだ。そんなこんなで、8月から僕も業務委託という形でこのプロジェクトに週に1度のミーティングに参加することになったのだ。

2020年9月: キャッチアップ

ミーティングはこんな状況の中だが、可能な範囲で対面でやろうということになった。毎週火曜日の午後、大手町に「出勤」する生活が始まった。
初回はまず僕がこのプロジェクトにキャッチアップするために時間を使ってくれた。改めてプロジェクトの概要と目指すところ、そしてここまでの経緯や喫緊の課題などを説明してもらう。
僕の方からもいくつか質問をした。特にブランドについて。どんなブランドを目指すのか。このメディアは人に喩えるとどんなパーソナリティか、あるいは街に喩えるとどこか?カフェならどんなカフェ? それらの議論に彼女たちはイメージを言語化する。そんなやりとりから、徐々に僕も目指すイメージを共有することができた。

ミーティングは僕を含め4人。リーダーの洪さんが毎回アジェンダを決め、それに従って進める。洪さんの魅力は何よりパッションだが、日本語を一生懸命に話すその口調と顔芸が、ビシビシと迫ってくるものがある。一言一言が聞き逃せなくなるのだ。これは日本人と仕事する場合は武器だろう。そう言えば、アメリカでコンサルタントとして活躍するある日本人は「下手な英語を必死に話してるのも、相手にプラスに映っていると思う」と笑ながら話していたのを思い出した。

エンジニア担当の辻さんは、男性が圧倒的に多い理系の大学で何の違和感もなく過ごしてきたのではないかと思われるキャラだ。大きな声でハキハキと自分の意見を口にし、エンジニアっぽく新しいことに触れる好奇心が旺盛だ。初対面の時GoogleのTシャツを着ていたのが彼女だ。その時「いつもそんな服装で仕事しているんですか」と聞くと、「はい。今日は岩佐さんに喜んでもらおうと思って」とどんなイメージ?。とにかく勢いがある。飾らず自然体で活動量の多い、まるで「野生児」のような人だ。

デザイナーの今野さんは、いかにもデザイナー。毎回の服装は、明らかに大手町の伝統的日本企業の本社の中では浮いている。ミーティング中は多くを語らず、謎の微笑みを浮かべながら聞き役に回るが、出番では独特の言葉遣いでアイデアを披露する。僕は影で「美魔女」と呼んでいる。

毎週のミーティングは心地よかった。
何より、前回話したことが翌週には実行されるのだ。コンテンツの候補を出し合おうと話すと翌週には、各自が候補案を持ち寄る。ブランドにいついて言語化すると、翌週には「美魔女」がそれをビジュアルにしている。こんなスピード感に僕の意識も自ずと加速させる。
スピード感とともにアイデアも柔軟だ。他メディアとの提携案など大胆な案が次々と出てくる。コンテンツ作りの経験のない、辻さんも野生児さながらの「出来たらいい」アイデアをどんどん口にする。
さらに凄いと思ったのが、課題やアイデアを構造化する力があることだ。僕が話した課題などを翌週にはチャートになっている。「そうそう、そういうことが言いたかったんだ」ということが見事に一つの図で表現されていて、こちらの思考まで整理されたことが何度もあった。

このようなミーティングを重ねるうちに僕もチームの一員になれてきたかなと感じるようになってきた。30代の女性の中に急遽入った50代の男性。経験豊かと言えばそうだが、だからと言って彼女たちは僕のことを「先生」扱いするわけでもない。意見やアイデアは平等だ。そんな雰囲気の中から僕も彼女らから学び、また自分もバリューを出したいと素直に気持ちが高まる。

2020年10月:「中国人と日本人の民族的な違いはない」

10月ごろになると、僕自身、アウェイ感がなくなっていた。そんなときふと思った。そう言えば、僕の30年以上のビジネス経験で男性が自分だけという経験は一度もなく、これが初めての体験であったことを。

ある日のこと、ミーティングの合間に皆でささっとランチを食べにいくことになった。僕は大人しくお店を決めるのも彼女らに任せて、たわいない会話をしながら一緒に食べた。こういう日常の会話になると、自分が異性であることが浮き立つ。自分一人が男性であることをなぜか急に自覚した。

同時に、世の女性は「女性が一人」という場面を数多く経験していているのだろう。時には男性の話に合わせながらもそれを楽しんだり、またある時は臆せず自分を主張したり。一方で男性はそんな経験をする機会が、いまの日本のビジネス環境では圧倒的に少ない。ダイバーシティと呼ばれる多様性を受け入れる姿勢や術は、今現在、圧倒的に女性の方が長けているのではないか。そんなことを考えた。

ある日のミーティングのことである。ポッドキャストなど音声メディアの海外での動向について話していた。ここ数年、アメリカでも中国でもポットキャスの視聴者は急激に増えている。アメリカはクルマ社会でもあり以前から書籍でも音声で聴く人が一定層いることは理解していた。でも日本では事情が違う。活字メディアに比べて音声メディアに馴染みのおある人は少ない。昨今では動画メディアがますます台頭してきたが、音声はそれでもまだマイナーだ。僕は「日本人には音声を聞く習慣がないかなら」となんとなく口にした。すると洪さんが烈火のごとく語り出した。

「でも中国でも近年急成長しているんですよ!中国人が音声を聴くのに日本人が聴かない民族的な違いはないはずです!!あったら教えて欲しい!」

さらにパワーアップした顔芸とともに迫力満点だった。
そういう発想をしたことはなかった。新しいメディアとつくるとはそういうことなんだ。今はその習慣がなかったとしても、その習慣をつくることが僕らの仕事なんだ。ウォークマンだって、街中で音楽を聞く習慣があったから生まれた製品じゃない。ウォークマンが登場したから、外出中に音楽を楽しむ習慣が生まれたのだ。この一言で、僕の視点が切り替わり、発想のギアが一段上がったような気がする。

2020年11月:コンテンツ作り本格化

11月になるとコンテンツ作りが本格化した。気がつくと僕も週の半分近くの時間をこのプロジェクトに費やすことも多かった。コンテンツの作成には僕も編集者時代にご縁のあった方々にも依頼をしたが、大変ありがたいことに多くの方が協力していただけることになった。皆さんにはただただ感謝しかない。
同時に、彼女たちも別途依頼をし始めたのだが、その積極果敢な姿勢は脱帽だった。「この人に依頼しよう」と決まったら、何のつてがなくてもSNSなどを通して、果敢にアプローチする。撃沈するだろうなと見いていたら、相手の気持ちを射抜くてくる。嬉しいことに、山口周さんなど何人もの方が多忙な中で時間を割いてくれて協力してくださった。

クリエイターへの依頼には、洪さんが作ったプレゼン資料を毎回使う。資料では、何を目指しているのか?どういう市場に参入しようとしていてその市場の潜在的な大きさはどのくらいか?そして我々は何者かなどが記されている。この資料は常に更新されていて、いつの間にか「チームメンバー」のところに、僕の名前も「編集長」として記載されていた。

音声コンテンツの製作ということで、その道のプロも加わってもらうようになった。放送作家さんや音声編集者さんなどである。彼らには、書き言葉と話し言葉の違い、また収録の現場で話しやすい雰囲気の作り方、さらに音声ファイルの作り方など多くのことを教わりつつある。

自慢じゃないが、このチームは我ながらいいチームだと思う。収録に来てくれた著者やクリエイターの方も実に楽しそうにその場で全力を尽くしてくれる。そのための雰囲気作り、コミュニケーションが彼女らのキャラが存分に発揮され実に明るいのだ。「いいチームですね」と知り合いの著者の方から何度も言われた。また、ラジオをメインに活動されているある方は、「この仕事は楽しい、やりがいがある」と明言してくれる。素人同然の僕らとの仕事は面倒でやりにくい面もあるだろうが、意気込みやゼロから作ろうとしている姿を一緒に楽しんでくれてるようだ。

もちろん苦い経験もした。人づてで紹介してもらったある企業の方には剣もほろろにお断りされた。海のものもとも山のものともわからない、僕らの新しいメディアにあえて参加する動機がないのは当然かもしれない。しっかりしたメディアとお付き合いがある人にとって、ノイズにしか映らないかもしれない。僕らもビジョンや意気込みは揺るぎないが、そのような人に安心を与える材料が揃っていないのは確かだ。

実績がなくても可能性に賭けてもらえないのは悲しいが、そんなことを相手に求めてもしょうがない。もちろん落ち込んだが、「いつか、『相手から一緒にやりたい』と言ってもらえるメディアになろう」と言い合い、気持ちを切り替えた。彼女たちはタフでそんな時も常に前向きだ。

2020年12月:チーム力アップ

12月になるとチームはさらにパワーUPして、二人のメンバーが加わることになった。三井物産の社員でMITでの留学を終えて現業に戻った方が、本業をやりながら「2割まで」という許可をもらって参加してくれることになった。同時にデジタルマーケティングのスペシャリストも社外から加わってくれることになった。いつしかチームはエンジニアも加えると、8人になっていた。

名称も正式に決まった。当初考えていた「VOOK」が商品登録できなかったので、「VOOX」(ブックス) とした。「X」には「10分」という意味も込めた。
VOOXは音声コンテンツをアプリとして出すのだが、クリエイターの声を収録する以外にもやることが膨大にある。声と同時にBGMをどのくらい入れるか? 始まりの音「ジングル」をどうするかなど。その度に専門家を探してきて、どんな音がVOOXのブランドを体現していて、インパクトもありかつユーザーにとって心地いいのか。こんなことを考えるのは初めての経験だ。
辻さんやエンジニア部隊が担うアプリの実装も、小さなことまで含め膨大な作業のようだ。不具合はいろんな場面で見つかるし、アプリ登録に必要な用件を満たす必要がある。「こんなことができればいいな」と思うことも、実装はこんなに大変なんだと知ることばかりだ。

デザインは美魔女の担当だが、ユーザーインターフェースを想像しながら、数々のラフ案を作ってくる。学びにつながるコンテンツといっても、堅苦しい教育メディアにしたいわけではない。誰もが親しみやすく、それでいて知的好奇心を駆り立てるもの。上品さを強調しすぎるとスノブになってしまう。このあたりの塩梅に絶妙さが求められるが、美魔女のデザインは実際にかっこいい。そもそもプレゼン資料から洗練されている。チームにデザインを任せられる人がいる強みを遺憾なく感じた。

年末にはベータ版が完成し、僕らの身内の人に年末年始にかけて試聴してもらった。それらの方々にヒアリングをして、新しい課題も浮き彫りになる。同時に、コンテンツの収録、編集作業も大詰めを迎える。毎週のように複数の収録があり、しかもコロナ禍の緊急事態宣言も重なり、オンラインでの収録や打ち合わせとなった。まだまだ課題はたくさんあるが、まずはローンチするタイミングが見えてきた。

改善点は、ユーザーの反応をみながら解決していく。走りながら考え、仮説検証を繰り返すのみだ。

2021年1月・2月:リリース

年明けの1月からはリリースの準備が本格化した。ひっそりとリリースしたベータ版を使った人からのヒアリングを繰り返す。今後の課題を洗い出し作業する優先順位を決めていく。正式リリース日も二転三転したが、最終的に「2月8日」と決定した。同時にマーケティングプランも続々と固まってきた。当面のダウンロード目標数値も決まった。Twitter は辻さんがすることになり、野生児の魅力ったっぷりで飾らない言葉遣いが威力を発揮してくれそうだ。

無謀なこともやってみた。ちょうどClubhouseが急激に使われ出した。「これはVOOXと親和性がいいの?」などと半信半疑な僕とは違い、彼女たちは「まずは試してみよう」と、その翌日にはroomを自らオープンさせ実際にトークをしてみた。来てくれのはほとんど身内で回線が激混みで途中であっけなく終了となる結末だったが、それでも「今度はこんなことをやってみよう」とアイデアは膨らみ、チームで学習量を増やすことになった。

そして2月8日、いよいよ正式リリースとなった。オリジナルコンテンツは10本。これからは週に1本ずつ増やしていく予定なので、この先も毎週のようにコンテンツ作りは続く。それでもひとまず音声メディアは立ち上がった。

数ヶ月前には誰も音声メディアを作った経験のないメンバーの集まりであった。そんなチームが「知らないこと」「分からないこと」を一つひとつ紐解いていき、専門家の協力を仰ぎながら一つの仮説として出来上がった。未知なものに果敢に取り組む彼女らの姿勢に、どれだけ刺激を得たことだろうか。僕自身、音声メディアについていままさに学び続けている。人にとって心地いい音とは?心地いい話し方とは? 集中して聴ける音源とは?きちんと記憶できる内容とは?さらに、毎日のように聞いてもらえるメディアにするためには何が必要なのかなど、人の日常生活にVOOXが自然と溶け込むものにするために考えていくべきことは無数にある。

まだまだ生まれたばかりのVOOXだ。港から船が出港したに過ぎない。これから無事に航海を続けられるのか。どんな荒波が押し寄せるのか。どんな未知と遭遇するのか。目指す行き先は明確だが、航路は変わるだろうし、僕らが持っている地図は誤っている可能性も大いにある。それでも航海を続ける意思、これが新規事業だと思う。その醍醐味を味わえるのは幸運でしかない。

僕もチームの一員として、このメディアが日本に定着し、日本の「学び」の文化が一段アップする役割の一旦を担いたいと心から思っている。


こんなチームによる音声メディアVOOXですが、どうぞご贔屓のほどよろしゅうお願い申し上げます。


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