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漁港の町で焼き鳥を食べてしまいました――宮城県石巻市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」26日目は宮城県の石巻市へ。
夕方に入った石巻市は、何も知らない人が訪れたら「ここはアニメの町?」と思うかもしれません。漫画家、石ノ森章太郎さんの第二のふるさとなので、街中のいたるところに、仮面ライダーやサイボーグ009のオブジェがおかれているのです。

この日は雨ということもあり、どなたともお話しする機会がなかった。そこで夕食は、地元の人が行きそうなお店に行くことにしました。宿のご主人に「地元の人が行くお店ってどこですか」と伺うと、お魚の美味しい居酒屋を紹介してもらい、さっそく行くことにしました。
しかし、店の前でふと考えました。果たして本当に、地元の人はお魚を食べに外食するであろうか。マグロで有名な青森県の大間に行った際「ここの人は、外で鮪を食べたりしない」と言われたことを思い出したのです。
地元の人は、観光客は当然お魚を食べたいと思っておられるのではないか。むしろ逆に、お魚以外の店に行ったほうが、地元の人と話す機会が高まるのではないか。そう思い直して街を徘徊すると、イタリアンもあるし、焼肉屋さんもある。いくつか見て、最終的に焼き鳥屋さんに行くことにしました。

入った焼き鳥屋さんは、入った時間が早かったせいかカウンター席は誰もおらず、テーブル席は盛り上がっていました。ともかく焼き鳥を5本注文しました。ご主人の様子を伺うと、真剣に炭と向かい合って鳥を焼いていて、ちょっと話しかけるタイミングが難しそう。まずは食べるのに専念しようと、串を頬張ると、これが美味しい。ささみ、つくね、手羽先などどれも美味しい。値段はとても安いのにこの美味さ。うぁ、凄いなぁ。ご主人がお皿をかたずけてくれるタイミングを見て「本当に美味しいですね。いつからお店をはじめておられるのですか?」と伺うと「一年前です」と。その後、常連さんも入って地元に定着している感があります。へーと思っていると、「東京に20年くらいいて、2年前に戻ってきて、1年間復興屋台でお店だしていて、このお店をはじめて1年なんです」とのことでした。
相当のキャリアを積んでこられて来たのですね。だからこの味なんでしょう。その後お店が忙しくなり始めたので、一通り食べて帰ることにしました。

宿に戻ると、バツの悪いことにご主人が出迎えてくださいました。
ご主人:「○○のお店に行かれました?」
隊長:「「すいません、焼き鳥屋さんに行ってきました」
ご主人:(ちょっと残念そうな顔)
隊長:「でも、とても美味しかったです!」
ご主人:(柔らかい表情に戻り)「そう、よかったですね。ごちらのお店ですか?」
隊長:(お店の名前を言うも、新しい店なので知らないそう。そこで場所や、東京から戻ってきて一年前に開店されたことなどを話す。)
ご主人:「そうですか、それじゃあ応援しないとね。今度行ってみます」

生意気な客の話しを真剣に聞いてくださり、ありがとうございました。

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