春の嵐
天候や気圧に体調が左右されやすいので、雨風が激しいのは好きじゃない。
けど、天気予報で「春の嵐となるでしょう」などと言われると、妙に特別な感じがしてウキウキしてしまう。
一年のうちに、この時期にしかない風物詩。
気持ちは浮き立っていたけど、案の定片頭痛に襲われて、一日中家でおとなしくしていた。
ダラ着(部屋着の一番ダラっとしたやつ)で過ごしていたら、年一回のブレーカー設備点検のひとがやってきて、さらにそのあと福祉課の新旧担当さんが引き継ぎの挨拶にやってきた。
ダラ着で、ボロいメガネで、髪の毛は右側だけ断崖絶壁型の寝ぐせがついたままだったのに。
直接招いた友人以外の来客なんて年に何回もないのに、今日に限って。
幸運だったのは、設備点検も福祉課の訪問も、玄関先ですませられたってことだ。
そんなこともあるんだな。
仕方ない。
春の嵐だし。
年に一回くらい、そんなこともある。
そう思い直し玄関を施錠して振り返ったら、部屋干ししていた洗濯物がばっちり見える位置にかけたままだった。
思わずその場にひざをつきそうになる。
くそう。
いや、下着が丸見えになってないから命拾いしたと思おう。
そんな日もある。
仕方ない。
春の嵐だし。
そんな日もあるのだ。
では、また。
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