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白血病の発症〜入院

                 
娘を乗せた救急車は、静かに娘を運んでいきました。
私はぐったりとした娘をしっかりと抱き抱えて
自分が泣かないようにするのが精一杯だった。

その日の空の色、空気の乾いた感じ
サイレンの音や抱き抱えている娘の感触
今も鮮明に覚えている。

数日間、食欲がなかったことによる脱水を起こしていたらく
病室に到着した娘に手際よく採血し、点滴を開始した。
本来ならば痛がって泣くはずの場面に
娘はされるがままだった。
その姿を目にした私は、不安が増すばかりだった。

「何故、どうして?」
が、私の心で繰り返され
朝から泣きたい気持ちを我慢し続ける私の心は
涙でパンパンになった。
それでも泣くことが出来なかったのは
「泣きたいのは娘の方だ、私が泣けば娘が不安になるから
もっと悲しんでしまうから泣いてはいけない」そんな気持ちだった。

「先生がご両親にお話ししたいそうなので。お子さんは私が見ていますから
ナースステーションに行っていただけますか」の看護師の言葉に
私は現実に引き戻された。
まるで死刑の宣告を受けるような恐怖に襲われた。
そして、ずっと側にいた夫の存在に今更ながら気が付いた瞬間でもあった。
それ程までに私は、通常の精神状態ではなかった。

夫の方に視線を向けると、娘をじっと見つめる夫が
なんとも言えない不安そうな顔をしていた
「しっかりしなくては」
私は自分に言い聞かせて、夫の肩に優しく触れた。



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