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トレイルデザイン-Compact the Tread

Basic Step Full-bench Trail

それでは、まず最初にフルベンチのトレイルを作る基本的な工程を見てみましょう。

Before

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まずはトレイルを作り始める前に、どの様なラインを描くかフラッグを立てながらプランを練りましょう。もちろんサスティナブルなトレイルを作るために必要な要件(Rolling Contour Trail、 Half RuleGrade Reversalsなど)を満たすように、予め設計しておきます。ラインが決まったら、作るトレイルの幅を決めて分かるようにラインを引いておきます。

Step 1: Dig the tread

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最初のステップは、トレイルの幅の分だけ土を掘りこしていきます。この段階では後の工程のバックスロープやアウトスロープは気にしなくて大丈夫です。

Step 2: Cut the backslope

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次にバックスロープ部分の土を掘り出します。バックスロープは1:1の斜度を基本とします。

Step 3: Outslope the tread

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その後、トレイルの踏面をアウトスロープにしていきます。傾斜は5%を基本とします。

Step 4: Compact the tread

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そして、ここで重要な工程を忘れてはいけません。それが「コンパクションcompaction)」、日本語でいうと「転圧」、「締固め」となるでしょうか。バックスロープと踏面を叩いて押し固めます。図では剣先スコップになっていますが、角スコップやMcLeodと呼ばれる道具の方が適しています。重機が入るのであればコンパクターを使用します。

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(Trail Construction and Maintenance Notebook より)

なぜコンパクションが必要なのでしょうか?多くのハイカーはトレイルの真ん中を歩きます。例えば80kgのハイカーが20kgのバックパック背負えば100kgになります。その100kgが足のサイズ(300m×100mくらい?)という狭い範囲に圧力をかけることになります。そうするとトレイルの中央部だけが削られ、トレイルの端にバームが形成されてしまします。そうすると、水がトレイル外に排出されず、侵食の原因となってしまいます。

またコンパクションすることによって地面の浸透能が下がることによって、ぬかるみ化しずらくなりますし、サイドスロープを流れてきた水をスムーズに排出することができます。また、ハイカーにとっても歩きやすい道となりますので、トレイルの踏み外しも防止できます。

「踏圧」は、路面を削り、浸透能を低下させ流水を発生させやすくなるため、侵食の要因とされています。しかし、トレイル全体(とバックスロープ)に「コンパクション」をかけることによって浸食を防止することができます。まさに「毒を持って毒を制す」的な感じが面白いと思いませんか?

Step 5: Finish the tread

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最後にフラッグなど余計なものを片付けます。場所によっては、落ち葉や枝などで作業の跡を覆い隠すと見た目も自然に馴染んで良いでしょう。また、これがリター層となって雨滴侵食などを防止してくれます。これにてトレイルが完成となります!お疲れ様でした。


参考

Trail Solutions IMBA's Guide to Building Sweet Singletrack
著者:IMBA 発行日:2004年


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