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トレイルデザイン-Tools

Tools for Trail Work

トレイルワークに使われる Hand tools(ハンドツール)を紹介します。ハンドツールには日本でもお馴染みのものもありますが、ここでは主に日本ではあまり見られないものを取り上げたいと思います。

Remember

その前に、ハンドツールを使うときに気をつけるべきことを抑えておきましょう。

・一番使える道具はあなたの頭だ!
・グローブや安全グラスなどで体を保護しましょう!
・適した道具を使いましょう!
・無理せず、自分のペースで。ときどき休憩して水分補給も忘れずに!
・道具を使う前に、枝や茂みに当たらないか確認!
・正しい姿勢で使う。滑りやすい場所や濡れているところは要注意!
・刃物を持ち運ぶときはカバーをつけましょう!
・周囲の人から最低3m(= Circle of Death !)離れて作業しましょう!

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Tools for Sawing

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ノコギリです。主に”Sawing”、木を切る時に使います。ノコギリにもいろいろな種類がありますが、ここでは日本ではあまりなじみのない Crosscut Saw(クロスカットソウ)を紹介します。

クロスカットソウはトレイルを塞いだ倒木を処理する時などに使います。基本的に両サイドを一人づつが持って二人で扱います。「チェーンソーを使えば?」と思う方もいるかもしれませんが、チェーンソーなどの電動工具(Power Tool)にはデメリットもあります。チェーンソーは、重く、燃料が無くなったり故障すると使い物になりません。その点、クロスカットソウは軽く故障して使えなくなることはほぼありません(メンテナンスは必要です)。

そして、なによりもクロスカットソウの良いところはチェーンソーよりも安全な点です。日本でもチェーンソーは講習を受けないと業務では扱えませんが、クロスカットソウは、ボランティアの人でも扱うことができます(多少慣れが必要ですが)。ただし、倒木処理には危険が伴うので、技術を持った人が監修する必要はあります。

以上の点から、クロスカットソウの方が汎用性があるため、アメリカのトレイルメンテナンスでは今でも使われています。


Tools for Grubbing

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次に"Grubbing"、土を掘るために使う道具の中から日本にはない Mcleod(マクロード)を紹介します。マクロードはトレイルの路面(tread)を重要視しているアメリカのトレイルを象徴するツールです。

マクロードはトレイルの路面の土を動かすのに使います。図では分かりづらいですが、ヘッドのギザギザしている側で路面を削ったり、反対側で土を均したりして、トレイルをアウトスロープにするのに便利です。そして重要なのがヘッドの平になっている面です。ここで地面を叩いてコンパクションできるようになっています。


Tools for Digging and Tamping

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次に"Digging"(掘る)、"Tamping"(突き固める)道具として Shovel(ショベル)を紹介します。「日本でもショベルはあるでしょ」と思われるかもしれませんが、トレイルワークで使うショベルは一味違います。

注目すべきはそのネックの部分です。日本で売られているショベルのネックは基本的に真っ直ぐに作られています。しかし、トレイルワークで使うショベルはネックは”曲がっている”点が重要です。ネックが曲がっていることで、コンパクションがしやすくなっているのです。


Tools for Rigging

最後に、”Rigging”(リギング)を紹介します。リギングとはワイヤーを使って資材などを運んだりする方法です。装置がやや大掛かりですが、人力だけで物運ぶよりも効率的に運搬することが可能となります。樹林帯では木を支点に使えますが、樹木のない高山帯でも Tripod (三脚)を使えば実行可能です。使用する上では安全上の注意も必要ですが、状況によっては有効な手段となります。

必要な道具はいろいろありますが、こちらの Webinar が分かりやすいと思います。


■トレイルデザイン実践ガイドTOP


参考

Trail Construction and Maintenance Notebook 2007


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