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【スポーツ選手を育てたいなら】

スポーツをやられてたお父さん・お母さんは我が子にもスポーツ選手になってもらいたいと言う願望が少しでもあるかと思います
 
ココで今回は,U12北海道サッカ選抜のトレーナーに長年従事している,Writerの菅原がスポーツ選手を育てるために『子供』のうちに両親が意識したほうが良いことを理学療法士的な視点で紹介したいと思います。
 
 
まず,子供の運動の発達はどの様にたどるか?
『子供の発達』を示したグラフが以下になっています。
よく使われる図はこの「スキャモンの成長曲線」と言うものです。

一般的に,乳児〜成人にかけ身体的に発達するものは主に4つに分類されます。
リンパ系:リンパ,免疫に関わる物
神経系:脳や末梢神経、いわゆる感覚や運動に関わる情報経路
一般系:骨や筋などの構造に関わる部分
生殖器系:生殖器,性ホルモンに関わる部分
 
主に,医療やスポーツに関わる指導者はこの発達曲線を参考にして指導を行なっています。
 
そして,『運動発達』とは..
 
* 乳児:生後しばらくは運動発達は頭部〜尾部へ,手足の近位〜遠位への発達の順番で起こる。乳児の行う運動にはブレーキをかけることが出来ず,直ぐに疲労する

* ・6ケ月頃:寝返り、遠くのものに興味が行くようになる。
* ・7ケ月頃:お座り、首〜腰が徐々にすわってくる(首と腰の連結)
* ・8ケ月頃:つかまり立ち、さらに上方に興味が行く
* ・11ケ月頃:つかまり歩き
* ・12ケ月頃:処女歩行乳児期で特に重要なことは,乳児のうちから得意な向きを作らないことです。乳児の時期から得意な寝返りの向き,横寝の向きなどを決めてしまうと,偏った運動機能の発達や骨関節の左右差などを生み出してしまいます。
* また,寝返りやお座り,つかまり立ちを急がせないこともポイントです。
詳しい内容は次回に書くかせていただきたいと思います。
 
* 幼児(1歳〜5歳):運動の課題を達成するために,触覚や運動感覚を利用する。運動の促通や抑制は不十分であり,動作に強弱をつけるのが困難。運動が過剰である。走行や跳躍、ボール投げのような複合的な動作も可能になってくる。

幼児期では,神経系の発達が著しい時期です。この時期には,手や足,身体など多くの部分を大きな動きでたくさん使わせて下さい。早い段階から,同じ動作の繰り返しをさせてしまうと,神経系が固定化してしまいます。いわゆる「どんくさい子」となってしまいます。全身を使った,そして音楽などのリズムに合わせた運動などを取り入れることで,運動機能の向上が促進されます。
 
 
* 学童期(6〜12歳):運動の制御や調整機能が発達してくる。そのため,運動技能などは急速に発達する。情緒的な機能も安定してくるため、10〜12歳が運動学習にとって最良な時期とされている。


* ・6歳:成人型歩行となる学童期では,片側動作などのスポーツサッカーや野球などの競技では盛んに練習などが行われる。この時期も幼児期と同様同じ動作の繰り返しは神経の固定化が進む。また,骨は脆弱なため,筋肉が固くなってくると学童期の骨膜障害(オスグッドや野球肘)などの疾患も増えてくる。


* 青年前期(12〜14歳):二次成長による急速な身体成長による,自分の身体イメージの変化が運動能力にも影響し,球技などのスポーツでは失敗が目立つようになる。また,この時期の発達は、それ以前に獲得した運動パフォーマンスレベル,また訓練強度や訓練期間に影響を受ける。そのため,運動発達には個人差が大きくなる。また,骨成長の因子となるカルシウムの摂取が特に重要となる。

* 青年後期(15〜18歳):運動能力は安定し,パフォーマンスは訓練の強度や期間、練習の質に依存し,心理的または社会的要因にも依存する。この時期には、身体的なトレーニングだけではなく,心理社会的な面も同時に観察していく必要もある。
 
 
 

最後に『乳児期』のうちに両親が意識したほうが良いことを理学療法士的な視点で紹介したいと思います。
 
 
01.ベビーベッドは壁に寄せない

 出産後,先ず第一に考えることはベビーベッドの設置位置でしょう。
理学療法士的なアスリート育成の視点から見ると,ベビーベッドの設置のポイントは赤ちゃんに対し,左右どちらからでも関われる様にするために配置することです。決して、壁に接するように設置しないことです。
 それはなぜか?
 乳児期は,未だ視野も狭く光や音によく反応します。また、徐々に親を認識できるようになるとそちらの方向をよく見るようになります。その際にベビーベッドを壁に接するように設置させると,子供は決まった方に向くのが得意となります。そして,次第にそちらの方向の横向きが得意となり,寝返りが得意になってしまいます。生まれた直後から,片側ばかりを使うような癖ができてしまいます。


 
 
02.焦らずじっくりと成長を見守る
「うちの子供寝返りをまだしないんです..」
「ハイハイが未だ出来なくて」
「手伝うと歩けるんです!」
なかなか子供が思い通りに成長してくれないと,焦って寝返りの練習をさせたり、手伝ってしまったりしまいがちです。心配なのはわかりますが,子供は親の見えないところで必死に次の段階に進もうと「基礎動作訓練」をしています。「乳児の基礎動作訓練」とはなにか?寝返りをするために足を持ち上げる練習をしたり,身体をひねる練習をしたり..

乳児は次の段階に行くために朝から晩まで頑張っています。
歩くためには歩くための筋肉が必要です。
座るためには座るための筋肉が必要です。
寝返りするためには寝返りするための筋肉が必要です。
親がすぐに手助けをしてしまい,赤ちゃんのこの基礎訓練の時期を短縮してしまうと,必要な筋肉を使わない方法を習得してしまいます。そしてその体は大人になっても付きまといます。
子供の成長、特に乳児期の成長は人それぞれです。
焦らずじっくりと子供のトレーニングを見届けて下さい。
また時間があれば,あかちゃんが普段行っている動きや姿勢を真似してみて下さい。
赤ちゃんが仰向けで行なっている運動は一番初歩の初歩の体幹トレーニングです。
赤ちゃんが簡単に手を上げたり足を上げたりしているように見えがちですが,
体幹が弱くなった大人たちにはとても大変な運動です。
体幹は今後始めるスポーツにとても重要な筋力となります。
この時期からしっかり体幹を鍛えることで,能力の高い子供が育ちます。



03.洋式の生活は子供の成長を促進して「しまう。」

子供は親を探索し,興味あるものを探索し,次第に親の真似をする。
洋式化した生活スタイル「テーブルスタイル」では,子供は視野は上向きとなり,上へと探索を始めるため,つかまり立ちや歩行を「早めてしまいます。」
成長が早いことは良いことだと思いがちだが,あながちそうでもない。
立つためには立つ筋力やバランス能力,体幹の安定性が必要であり,それは前段階の動きの中で鍛えていく。
立位や歩行でいう前段階とは、「座位」や「ハイハイ」動作である。
「座位」で興味があるものに手を伸ばすことで,自分の重心がどこにあるかという「内乱」の感覚を認識する。
「ハイハイ」で股関節-骨盤ー腰部の下部ユニットの協調性だけではなく,上肢-肩甲骨-胸椎の上部ユニットの運動性や固定性を強化する。立位や歩行において,この上部ユニットはとても重要であり,上部ユニットがしっかりと鍛えていない状態で立位姿勢をとってしまうと,反り腰の子供や背中が曲がった姿勢の悪い子と育ってしまう。

子供の成長は嬉しいことだが,早すぎる成長は将来の機能不全を生む。
理学療法士的な視点から見ると,乳児を育てるのは「和式スタイル」=床での生活がオススメ。
 
 
04.乳児のコミュニケーションツールは「顔」
子育てに忙しくなり、子供の前で笑顔で居られていますか?
子供は親の表情のマネをする機能が備わっています。
子供の表情は親の表情の鏡です。
笑顔にあふれる子供に育てるために,親も笑顔で居て下さい。

笑顔を作る表情筋も筋肉です.普段から笑顔を行うことで,笑顔の筋肉が鍛えられます.そして,表情の豊かな子供は、社交的となりチームスポーツでもリーダーシップを発揮できる子供に育ちます。
 

05.子供は母親から「愛情」を学び、父親から「社会性」を学びます。
 精神心理学的な観点から,子供の性格は親との関わりが重要という報告があります。
特に、母親から「愛情(母性)」を学び,弱者に優しく,生き物を大切にする方法を学びます。また,人に対する愛情表現など母性を深く読み取ります。
また、父親からは社会性、社交性を親子関係から学びます。父親の関わりや父親が母親に対する態度,子供に対する態度から社会的ルールや人間関係のルールなどを学び,子どもたちの社会でそれを実践します。だからこそ,クチの悪い子供,すぐ手が出てしまう子供,ものにあたってしまう子供などは,父親との関わりが薄かったり,父親自身の態度が悪かったりした場合に子供に移っていきまうす.社会学の研究からも,父親が深く子供に関わる子供は上下関係や友人関係が深く形成出来るとの報告があります。

子供の性格には両親の関わりが関係します。


06.子供の五感はスポンジのよう

乳児期は神経系の発達が著しい。そのため,小さいうちから色々な感覚に体験させてあげることが重要である。
音楽を聞かせてあげたり,散歩をしてあげたり,色々な食感を体験してあげたり,身体にいっぱい触れてスキンシップをとってあげたりと子供の5感をフルに育ててあげて下さい。怪我をしては危ないと,家にあるものを触るたびに,「駄目!駄目!」といってばかりいると,五感は育ちません.
 また「音楽」では小さいうちから,ピアノや楽器などで『ド・レ・ミ・・・』を聞かせてあげていると,絶対音感が形成できるとの話もあります。
 小さいときから,お歌を歌って聞かせてあげたりすると,歌うのが好きな子供にもなっていきます.
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?スポーツ選手に育てたい!と思っている両親…
赤ちゃんの時期には生きていく上で必要な五感や社会性が育ち,その時の育ち方は多くの将来への影響があります。
理学療法士の知識,
発達学,解剖学,社会学,精神医学的な視点からスポーツ選手を育てる「乳児編」でした!

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