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コロナ後遺症・ME/CFS治療のこころみ ~疲れた夫婦 コロナ疑いから難病になりました 番外編~


コロナ後遺症は、全身性の疾患で、その症状は多岐にわたります。
感染後もう5年目のうちの夫婦は、漫画に描いてきているように、多くの症状が出ました。
それら多くの症状は、何か一つの治療法で改善するというものではありませんでしたし、私と夫の症状は、東洋医学的に見ると全く異なるものです。
とりあえず、うちが試したり情報を集めたりしてきた治療法について書き連ねていきます。
治療については、多岐にわたる症状全部にいっぺんに対処するというよりは、対処できる症状をひとつづつ丹念につぶしていく感じです。
本当は漫画に描く予定だったけど、そうも言ってられないので。今後も加筆訂正していくと思います。

◎ペーシング
コロナ後遺症・ME/CFS対処の絶対条件です。
何かする場合に頭や体が疲れてPEMを起こしたり疲れが残ったりする前に活動量を自分で制限することです。
今は、感染後2ケ月は安静にした方が良いと言われていますが、それ以降も体調不良が続く場合、このペーシングが必須です。
コロナ後遺症に運動療法を進める向きもありますが、うちのように、運動したことでその後の人生を左右するほどの症状が出る場合もあります。人によってはいい結果を生む場合もあるようですが、その「運動勝ち組」に入るかどうかは運次第。

◎上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)
コロナ後遺症では慢性上咽頭炎がある方が多いことが分かっていて、その部分を擦過することで、抗炎症・瀉血・迷走神経刺激を行い、全身性の症状を緩和する治療法です。免疫器官である上咽頭に炎症があると、ブレインフォグなどが起こりますが、ブレインフォグがあるからと言って慢性上咽頭炎であるとは限りません。
この施術には施術者の腕の良い悪いがかなりあるようで、うまくない施術者に通ってもよくならないことがあるようです。
また、PEMがあるME/CFS傾向の患者の場合、通院や擦過のショックでPEMを起こす場合があるようで、体調との相談が必須です。
初期のころ、遠方の耳鼻科に私だけ受診したところ、炎症が見られなかったため、この治療は拒否されました。またうちの場合遠方に行かなければこの施術を受けられないことから、PEMが起こる恐れが大きかったため、夫は受けたことがありません。また夫は症状から考えるに、上咽頭炎というよりは脳自体の問題と思われるので、この施術を大きなリスクをとってまで受けませんでした。私は迷走神経刺激目的でセルフEATをしてみましたが、多少はいいかも?でも気のせい?と思う程度で、ほぼ、効果は感じられませんでした。

◎鼻うがい
急性期の有症期間の短縮、慢性上咽頭炎や後鼻漏などがある場合、感染症予防として外出から帰宅した時などに使います。
私が使っているのはサイナスリンスで、これに抗炎症・抗ウイルス作用のある GSE(グレープフルーツシードエキス)を数滴加えて使っています。
サイナスリンス;https://www.neilmed.jp/products/57/
GSE:NutriBiotic ヴィーガン GSE
私は以前より後鼻漏があったので、これをはじめてから改善しています。
ただし、GSEは鼻粘膜が荒れたり、アレルギーを起こす可能性もあるので、注意が必要です。
体調が悪くて立ち上がれず鼻うがいができない場合などには、鼻スプレーを使いました。鼻スプレーも何種類も出ていますが、普通の鼻炎用だと、連続使用はダメな薬剤が多いので、注意が必要です。

◎漢方薬・鍼灸・整体
これらは、施術者の腕に大きく左右されます。
SNS上では、これらで良くなったという人も多いのですが、かえって悪化した人も少なからずいらっしるようです。全国的に見ても、腕の良い専門家が非常に少ないことがネックになっていると思います。西洋医学的に考えてこれらの手技を使ったために、あまり対処できていないのではと思います。これらの手段を考えるなら、東洋医学的にきちんと診てくれる、腕の良い専門家を探すのがベストですが、それもなかなか難しいので、何かしらの悪い作用が出た場合に否定せずリカバリーしてくれる専門家を探すべきと思います。ちなみに、うちで通える範囲の鍼灸院には受診拒否されましたが、これを考えるとまだ良心的かなと。
うちは自宅がド田舎で専門の医療機関に簡単には受診できないこと、私が中医学を少しかじっていたことなどから、治療の中心は漢方薬です。夫は今も様々な症状と戦っていますが、漢方薬を服用しないと、ブレインフォグや体に力が入らない、化学物質過敏症などの症状が一気に悪くなります。せんじ薬とエキス剤数種類を常に調整しながら使用しています。

◎ノイロトロピン
ME/CFSの倦怠感の対処として、発症後4年目の昨年から、夫は週2回、ノイロトロピンを静注しています。
ただ、人によって合わない場合があると思います。
夫の場合、倦怠感が軽減されますが、同時に血管が開くようで、相対的に血管内の水分が減少した時に見られる症状が現れたため(陰虚)、漢方薬を変更してその対処をする必要がありました。

◎向精神薬
夫はベンゾジアゼピン系の向精神薬を入眠剤として使用しています。不眠が続くと一気に体調が落ちること、様々な薬を試したけれどこの薬以外ではどうしても寝られなかったためです。ME/CFSでは睡眠の確保は体調・QOLに直結するため、この選択をしました。
脳の抗炎症作用があるため、コロナ後遺症ではこの薬を使う医療機関もあるようです。ただ夫は、この薬だけでは入眠できず、頭の熱を下げるタイプの漢方薬と併用することで、数時間ですが眠れるようになりました。
しかし、この薬は依存性や酷い離脱症状があり、現在ではあまり使われなくなってきています。
突然断薬すると酷い症状が出る恐れがあるため、長い時間をかけた慎重な減薬からの断薬が必要で、夫も現在減薬しようとしていますが、なかなか進みません。

◎呼吸法・ストレッチなど
様々な動画が出ていますが、いくら専門家が「こうすればいい!」と言っても、自分の体の状態に合わせてペーシングしながら疲れたりしない範囲で行うことが必須です。
私はME/CFS用のアイソメトリックヨガをやっていますが、少し楽になります。
けれど、同じヨガを状態の違う他の人が行ったら、場合によってはPEMを起こすでしょう。自分の体と相談しながら選んでください。

◎酪酸菌
脳腸相関から、腸内の環境を整えると脳に良い影響があると言われます。
特にME/CFS患者では腸内の酪酸菌が少ないということが分かってきています。ただし酪酸菌を取りすぎると、かえって腸の免疫がそこなわれたり、大腸がんが増加したりするという報告もあるようです。
うちは、酪酸菌だけのミヤBMがなぜか二人とも合わず(東洋医学的に言う熱証が悪化)、酪酸菌、乳酸菌、糖化菌の3種が入ったビオスリーは大丈夫でした。何かその辺が関係しているのかもしれません。
ともかく、ビオスリーを服用することで腸内環境が改善され、漢方薬が吸収されず体を素通りすることもあまりなくなったので、結果オーライです。ビオスリーは保険適応ですが、扱っていない病院(特に公立病院)も多いです。

◎ビタミンC、D、亜鉛、マグネシウムなどのビタミン・ミネラル補充
正直、効果はよくわかりませんでした。が、マグネシウムは夫の神経障害性の痛みに効いているようで、にがりの摂取を続けています。

◎ヨモギ、梅干し、ニンニク、松葉茶等
こういった食材での「治療」情報がまことしやかにネットに流れてきますが、中医学的に性質や効果を考えて、それらが適する証の人もいるでしょうが、人によってはかえって害をなすこともあります。また、「ヨモギがコロナに効果がある」と噂されていますが、論文が出ているのはセイコウと言う生薬のもととなるヨモギの仲間のクソニンジンです。ただのヨモギは、その成分が少ないことと、働きが全く違う別の生薬であることから、これら二つの混同は非常に危ないよなぁと思っています。
よってうちはこういった情報はシャットです。
ついでに、イベルメクチン情報もシャット中。


その他色々な治療が試されていますが、いまだ「これをやったら完治する!」といった根治療法はありません。自分の体と専門家と相談しながら、対症療法の手探りが続いています。最近コロナ後遺症は2年で6割が改善と言う報告が出ましたが、うちはのこり4割の方みたいです。後遺症・ME/CFSのみなさん、めげずにゆるゆるやりましょう~


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