エゾゴブリン

小説を書いているゴブリンです。

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【小説】大役戴冠の面談

 RPGゲームなど、いわゆる剣と魔法の世界でよく見受けられる「勇者」という概念についての小説。勇者を子に持つ母の苦悩と国に付き従う教師の対決をご覧あれ。  教室の戸は閉ざされた。鍵が掛かっているわけではないが、それでも普段の織り成される閉塞よりずっと重苦しかった。何者の声も響かない。児童のはしゃぐのも聞こえぬ静寂のまま、四つの机が物々しく向かいあっていた。 対面するは母と教師。子を授かる大役を果たしてなお麗しい肌つやの貴婦人と、肌のしわや白ひげに似つかわしい、ふちのない古び

    • 小説「緑の礼拝堂にて」

      以前「小説家になろう」に投稿していた作品を、少しばかりリメイク致しました。巷では「ガウェイン卿と緑の騎士」の名で知られる作品らしいです。所謂「アーサー王伝説」に該当する今作。作家というのは、やはり二次創作から始めるのが通説でしょうかね。  Ⅰ  その日のカメロットの賑わいは、普段のものとは明らかに異なっていた。祝宴の前の談笑を何よりも楽しむアーサー王としては、近日中で最も嫌悪を抱いた一日となったに違いあるまい。高潔な円卓を破壊するようにして、件の巨漢が入ってきた。その場に

      • 小説? 随筆?「Suicide or Last Elixir」

         今宵もまたふざけた文章を綴ってしまった。小説としておきたいが、そういうわけにもいかないような。だが、活動報告としておくことで、私のふざけた作品を世に出すことにしよう。  さて『自殺してはならない』との戒めは、むしろ自殺者にとっては格好の餌に過ぎない。その言葉の強迫が、さらに死の耽美な喜びを与えたもうことは、識者には理解せられるであろうことを信じている。彼らをその言葉を以てして救うことが出来るのであれば、とっくに自殺者は大幅に減っているはずである。いやしかし、厚生労働省に曰

      【小説】大役戴冠の面談