落ち着くのだ。 2020.11.5
キッチンの後片付けのことである。元々、夫婦2人の頃から分業制だったし、家事には特段の抵抗はない。加えて、12年間の村暮らしでは、食洗機がなかったこともあり、早起きの僕が食器の拭き上げと格納の担当になった。この時に気づいたのだ。その地味な快感に。
一際静かな過疎の村。その山の上。わずかな滴をまとい、シンクに積まれた前夜の器たち。それを珈琲を飲みながら、乾いた布巾でひとつ1つ吹き上げては、あるべきところに収めていく。半ば儀式のようなルーティン。すべてが終わったときの清々しさ。気分がいい。その後、2年半の逆単身赴任状態もあり、後片付けはますます日常の中で定位置を占めた。
それからというもの、朝の遅い女房様に代わり、朝食も僕が作るようになった。前夜の米の仕込み、料理と食後の後片付けが普通になって、片付け癖に磨きが掛かった。次男とふたりで食べる朝食が終わる頃には、すべてが片付いていることも珍しくないし、いまは食洗機があるにも関わらず、シンクの鍋釜まで見つけては手を動かして、心地よさに浸っている。
器の種類は多い方かも知れない。1/3は骨董の我が家。
家族3人だと、食洗機の出番は激減する。
ある日の朝食。野菜たっぷりの味噌汁は欠かせない。