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【解説】「特別区」について



〈目次〉
1.特別区とは
2.特別区の性格
3.特別区制度の概略(特別区と都の役割分担) 
4.特別区制度の変遷 

1.特別区とは
東京都にある23の区のことを特別区という。特別区という名称は、戦後間もない昭和22(1947)年に成立した地方自治法に「都の区は、これを特別区という。」と定められたことに由来している。


2.特別区の性格

東京都に現在23ある特別区は、市と同様に、住民にもっとも近い基礎的な自治体である。

区長及び区議会の議員は、選挙によって選ばれ、条例を制定したり、税を徴収したりする。

政令指定都市にも「区」という区域があるが、自治体である特別区とは異なり、住民の利便性のために設けられた行政区画(行政区)である。


3.特別区制度の概略(特別区と都の役割分担)
特別区の地域は、
930万人以上の人々が暮らし、1千万人を超える人々が活動する巨大な大都市地域となっている。

大都市地域に適用される自治制度には、政令指定都市制度があるが、一つの基礎的な自治体(政令指定都市)がこのような巨大な地域全体を受け持つことは難しい。

そこで、特別区の地域(東京大都市地域)では、各特別区が基礎的な自治体として一義的に役割を担いつつ、広域の自治体である東京都との役割分担のもと、相互に連携することで、大都市地域全体に責任ある行政を行っている。  
この仕組みを都区制度と呼んでいる。

特徴の1つは、通常、市が行う上下水道や消防の事業を都が行うことなど、一般の市町村と都道府県の事務の分担が異なっている点である。

また、財政(お金)の面では、固定資産税など市町村税の一部の税が都税となっており、その税源を元に、前記の事務分担に応じた東京都と特別区の財源の調整や、23の特別区間の財源の調整が行われる仕組み(都区財政調整制度)がある。


4.特別区制度の変遷

東京23区の起源は、明治11(1878)年に東京府に置かれた区は、明治22(1889)年に、15区を市域とした東京市が発足し、東京市の区となりった。

東京の区は、その後さまざまな変遷をたどるが、この時できた公選の区会(議会)は途絶えることなく、今日まで存続いる。

大正11(1922)年には、東京駅を中心に半径16km内に含まれる区域が東京の「都市計画区域」として定められ、現在の特別区とほぼ一致する地域となり、以降、一体的な発展が図られることになった。

さらに、東京市は、昭和7(1932)年、隣接する5郡82町村を編入し、新たに20区を置き、計35区の大東京市とった。

戦時体制の下、昭和18(1943)年に、法律「東京都制」が施行し、東京府と東京市は廃止され東京都が誕生したことにより、それまでの東京市の区は、東京都の区となった。

戦後、昭和22(1947)年、日本国憲法とともに地方自治法が制定され、「都の区は、これを特別区という。」と定められたことにより、特別区は誕生し、現在に至っている。

この時に誕生した特別区は、一般市と同じ基礎的な自治体として出発したが、実際には多くの事務権限が東京都に残されていたため、以後半世紀に及ぶ自治権拡充のための運動が展開されることになる。

昭和27年の地方自治法改正では、特別区は東京都の内部的な団体とされ、区長の公選制も廃止されてしまった。

その後、特別区は自治権拡充運動を展開し、区長公選制の復活をはじめ、数度の改革が行われた。そして、平成12年、地方自治法に『特別区は「基礎的な地方公共団体」』と明記され、今日に至っている。


参照元: 「公益財団法人 特別区協議会」Webサイト

以上

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