中央区・佃島 History
〈目次〉
1.佃島の「佃煮」
2.摂津国から江戸へ
3.石川島を造った石川大隅守とも関係があった
4.佃島を町として築き立て
5.島の形に注目
6.現在の形と比べてみる
7.佃小橋
8.佃島漁民と白魚漁
9. 住吉神社
1.佃島の「佃煮」
「佃煮」の由来が佃島にあるのは有名な話ではないでしょうか。
佃煮は、佃島の漁民が江戸湾内で獲った小魚などを煮て保存食として作ったものです。
江戸時代からの漁師町である佃島には、今でも江戸時代から創業している佃煮屋さんが3軒営業をしています(つくだに 丸久、佃煮 天安本店、佃源 田中屋)。
江戸時代には自然の景色が美しい場所として知られ、浮世絵にも度々描かれました。
2.摂津国から江戸へ
摂津国(※1)西成郡佃村・大和田村の漁民と徳川家康との縁は、天正年間(1573〜1592)に遡ります。
※ 摂津国(せっつのくに)は、日本の令制国(※2)一つ。畿内に属する。現在の大阪府北中部の大半と兵庫県南東部にあたる。
※2 令制国(りょうせいこく)とは、日本の律令制に基づいて設置された日本の地方行政区分である。 律令国(りつりょうこく)ともいう。 飛鳥時代から明治初期まで、日本の地理的区分の基本単位だった。
徳川家康が京へ上がる際に神崎川(※3)へ舟を出したことがきっかけで、御菜魚(将軍の御膳に供する魚介類)での納入や船による西国(※4)への使いを務めるようになったそうです。
慶長年間(1596〜1615)には佃村の名主・森孫右衛門が、安藤対馬守※5により江戸における将軍の御菜御用の命を受け、一族7人と佃村・大和田村の漁民33名とともに江戸へ下りました。
※3 神崎川とは、茨木市の西北方山地に発し、吹田市南部で安威川と合流、大阪府と兵庫県の境を流れて尼崎市神崎で猪名川を合わせて尼崎港に注ぐ川。京都と西国を結ぶ要路。全長約二〇キロメートル。
※4 西国(さいこく)とは、近畿から西の地方。中国・四国・九州地方。
※5 安藤 重信(あんどう しげのぶ)のこと。戦国時代から江戸時代前期にかけての武将・大名。下総国小見川藩主、上野国高崎藩主。
3.石川島を造った石川大隅守とも関係があった
江戸へ来た漁民たちは、当初小石川の安藤対馬守の屋敷(江戸にある屋敷)に暮らしていましたが、その後、日本橋小網町の船手頭石川大隅守邸内に移りました。
この石川大隅守は、幕府からの命で隅田川の石川島(隅田川河口の島)を拝領し、石川島を町として築いたのです。
そして、漁民たちは慶長18年(1613)に幕府御用掛けとして江戸湾近辺で自由漁業を願い出て、これを許されました。
その見返りとして幕府への御菜魚の(将軍の御膳に供する魚介類)納入や隅田川への船人足の派遣などを義務付けられました。
4.佃島を町として築き立て
漁民たちは武家地に仮住まいをしながら漁を行っていましたが、寛永年間(1624〜1644)に武家地内へ町人の居住が禁止されると、石川大隅守の拝領した隅田川河口の島(石川島)の南続きの干潟およそ8550坪を拝領し、町として築き立てを行いました。
正保元年(1644)2月に完成し、本国佃村の名にちなんで「佃島」と命名し、ここに移り住みました。
築き立て間もない慶安2年(1649)の佃島には戸数80軒、160余名漁民が居住していたそうです。
5.島の形に注目
佃島は大きな四角形と細長い四角形、2つでセットの島を橋で繋いだ独特の形です。
2つの島の間は舟入堀(※6)です。漁民が造った島ならではの工夫です。
※6 舟入堀とは、水路を掘ったところに舟を曳き込んで接岸させる、いわゆる埠頭を指す。
6.現在の形と比べてみる
周りが埋め立てられているものの、佃島の元の形が見て取れます。
7.佃小橋
上の古地図にも見える大きな四角い島と細長い島の間の橋は、佃島の完成と共に架けられました。
現在の橋は昭和59年(1984)に架け替えられたものです。間の水路は今でも舟入堀として利用されています。
8.佃島漁民と白魚漁
佃島漁民は江戸城へ白魚(しらうお)という小魚を献上していました。
また佃漁民とは別に「白魚役」という白魚漁専門の集団もいました。
漁は夜間に提灯を掲げて行われ、水揚げされると漆塗りの献上箱に入れて早朝に江戸城へ運ばれました。
9.住吉神社
正保3年(1646)摂津国西成郡佃村(現在の大阪市西淀川区)にあった住吉神社から分社して現在地に遷座しました。境内にある水盤舎・陶製篇額は区民有形文化財です。
本殿は江戸城、そして摂津国の方向を向いて建てられています。
本祭りは3年に一度、住吉神社が遷座されたという旧暦の6月29日前後(現在の8月6日前後)に開催されています。獅子頭や神輿の宮出し、船渡御などが行われ、江戸風情を伝える祭りとして広く知られます。
参照元:「中央区観光協会特番員ブログ」Webサイト
以上
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?