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「シシャモ」と「カラフトシシャモ」の違い 


一般的なスーパーで売っているシシャモは、日本固有種である「シシャモ」とは違う種類で、カペリンとも呼ばれる「カラフトシシャモ(樺太シシャモ)」という魚の場合が多いです。

今回は、シシャモとカラフトシシャモの違いについて解説いたします。


〈目次〉
1.シシャモ
(1)遡河回遊魚であり、河川へ遡上する
(2)アイヌ民族と親しみ深いシシャモ
2.カラフトシシャモ
(1)極北地域に生息する海水魚
(2)代用魚として広まった樺太シシャモ
3.シシャモとカラフトシシャモは違う魚

1.シシャモ
「本ししゃも」と表記されることもあるシシャモは、実は北海道の太平洋側の沿岸地域にのみ分布している固有種です。うろこが大きく、赤身が勝った丸みのある体が特徴です。

シシャモ(本ししゃも)

(1)遡河回遊魚であり、河川へ遡上する
シシャモはキュウリウオ科シシャモ属に属する魚で、川で産まれたあと、生活の大部分を海に降りて過ごし、産卵のときに川へ戻る遡河回遊魚(さっかかいゆうぎょ)です。

産卵をするため、群れをなして川へ戻ってくる10月から11月にかけての1カ月間が水揚げ時期です。

10月から11月に産まれた卵は、翌年の4~5月までに孵化し、海へ流されます。孵化後1年半ほどで成熟し、多くは産卵のため河川に遡上します。

オスは一度産卵に参加すると死んでしまいますが、メスは産卵後「下りシシャモ」として海に戻り、翌年に再度産卵に加わります。

(2)アイヌ民族と親しみ深いシシャモ
北海道に分布する魚だけあって、アイヌ民族にも親しまれてきました。

シシャモという名前は、アイヌ語の「スス(柳)」、「ハム(葉)」を合わせ、「柳の葉」を意味する「ススハム」が語源だと考えられています。

北海道の南方に位置し、シシャモの産地として有名な北海道むかわ町では、アイヌの人々が神にシシャモの豊漁を祈るシシャモカムイノミと呼ばれる儀式が残っています。

漁が始まる前に、村の守り神や、シシャモを見守る海や川、河口の神々に祈りをささげる儀式です。

シシャモカムイノミが終わると木枯らしが吹き、海が荒れるといわれており、漁師の間ではこれを「ししゃも荒れ」と呼んでいます。


2.カラフトシシャモ
次に、カラフトシシャモについて説明します。私たちが普段、一般的なスーパーで見かけたり、シシャモと呼んでいたりするのは、こちらのカラフトシシャモであることが多いです。

(1)極北地域に生息する海水魚
カラフトシシャモは、キュウリウオ科カラフトシシャモ属に属しており、シシャモとは少し離れた系統の魚です。

うろこがシシャモより小さく、シャープな体が特徴で、体は青みがかった銀色をしています。

子持ちのカラフトシシャモ


カラフトシシャモは海水魚で、極北地域の浅瀬の海に群れですんでいます。河川に遡上して産卵することはありません。

カラフトシシャモの産卵時期は春から初夏で、夜間に波打ち際の砂礫底(されきてい)で産卵します。卵は約40日間で孵化し、沿岸部で成長します。


(2)代用魚として広まった樺太シシャモ
1970年代以降、ノルウェーやアイスランド、カナダといった北の国から輸入されるようになり、さらには同時期に国産のシシャモが激減しました。

そのため、一気にシシャモの代用魚として定着しました。子持ちのカラフトシシャモのプチプチとした食感が非常に好まれており、オスはほとんど流通していません。

3.シシャモとカラフトシシャモは違う魚
シシャモとカラフトシシャモは、生息地や生態が全く違う魚なのです。


シシャモはカラフトシシャモに比べて臭みがなく、美味しいといわれています。シシャモを食べる機会があれば、カラフトシシャモとの味の違いを確かめてみると実感が湧くと思います。


参照元: 「サカナト」Webサイト

以上


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