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「中村天風」の人生哲学


中村天風の人生哲学に魅了され、影響を受けた経営者、著名人は多いです。

たとえば次のような方々です。

原敬(第19代内閣総理大臣)
松下幸之助(Panasonic創業者)
稲森和夫(京セラ創業者)
宇野千代(作家)
大谷翔平(野球選手)

日本の中枢を担う多くの人に影響を与えてきたことが分かります。

今回は、中村天風とはどのような人物だったのか、教えや名言について解説いたします。

〈目次〉
1.中村天風の来歴
(1)病との闘い
(2)思想家として 
(3)実業家として
(4)講演家として
2.中村天風の教え
(1)成功と繁栄
(2)健康と長寿
(3)実業家として
3.中村天風の教えから学べること
(1)人生のすべては積極精神で決定される
(2)人間の欲望を否定しない
(3)人はいつでも幸せになれる



1.中村天風の来歴

中村天風とは、実業家であり、講演家としても活動し、思想家としても知られています。

中村天風の人物像を知る上で重要なポイントとなる来歴について、説明いたします。

(1)病との闘い
中村天風の思想には、病と闘った自身の経験が深く関わっています。

日露戦争終結後、帝国陸軍で高等通訳官を務めていた中村天風は肺結核を患いました。

西洋医学の力では治癒する兆しの見えない病魔に、中村天風は長らく悩まされることになります。

病によって弱くなった心を再び強くするにはどうすればいいのか、その答えを求めるべく、中村天風は病身を押してアメリカやヨーロッパを渡り歩き、何人もの専門家のもとを訪ねます。

しかし、病を治癒するための明確な答えは得られませんでした。

(2)思想家として 
帰国の途についた中村天風は、その途上でヨーガ聖人のカリアッパと出会い、弟子入りを決意します。

ヒマラヤの麓にておよそ3年間の修業の末、それまで悩まされ続けてきた肺結核は治癒していました。

このときの体験が中村天風の人生観を大きく変え、思想家としての出発点となったといわれています。 

(3)実業家として
中村天風は帰国後、時事新報の記者を務めたのち、実業界へと転身しました。

旧三菱銀行の源流となる東京実業貯蓄銀行の頭取を務めた人物として知られています。

また、大日本製粉(現日清製粉)の重役など数々の会社経営に参画し、成功を収めました。

実業界で財を成したものの、戦後恐慌にさらされ、困窮する人々を目の当たりにした中村天風は「今こそ自身の体験を広めていくべきときだ」と感じます。

そして、43歳のとき財産を処分し「統一哲医学会」を創設したのです。

統一哲医学会はその後、政界や財界の著名人が数多く入会する「天風会」へと発展していきました。

(4)講演家として
天風会はのちに財団法人となり、中村天風は自らの人生哲学を説く講演家として約50年間にわたって活動します。

1968年に92歳で他界するまで、中村天風の講演は多くの著名人に影響を与え続けました。

しかしその間、天風会は宣伝を行わず、中村天風自身も名誉や財産を得ることを望まなかったといわれています。

中村天風の講演記録は、没後に出版物を通じて広く知られるようになりました。

近年ではメジャーリーガーの大谷翔平選手も、中村天風の教えに深い感銘を受けた人物の一人です。

現在もなお多くの人が中村天風の教えに影響を受け、自身の人生をより良いものにしていくきっかけを得ています。


2.中村天風の教え
中村天風の教えは「健康も運命も心一つの置きどころ」という思想にもとづいています。


その主軸にあるのが「心身統一法」です。

心身統一法が目指す3つのテーマについて、説明したします。

(1)成功と繁栄
中村天風の教えの根底には、人は成功と繁栄を必ず実現できるという強い信念があります。

心の持ち方一つで運命が変わることもあれば、大きな問題を解決することもできると中村天風は説きます。

私たちは「成功できるのは一握りの人に過ぎない」といった消極的な考えを無意識のうちに抱きがちです。

人はだれでも成功と繁栄を実現するべく、創造的な人生を歩むことができるのです。

(2)健康と長寿
現代においては、心の持ちようが健康状態に影響を及ぼすことは医学的にも証明されつつあります。

中村天風は、自らの体験を通してこの事実に気づき、日本で先駆けて「自然良能作用」を活性化させることの重要性を説いたのです。

身体に痛みや不調があるとき、私たちは「痛い」「苦しい」と口に出すばかりか、つい心までネガティブな思考に引き寄せられがちです。

しかし、心のあり方まで積極性を失ってしまうと、ますます健康と長寿から遠のく結果をもたらしかねません。

医療など自分の外側にある力に頼るのではなく、まずは自身の「心の態度」を変革していくべきだ、と中村天風は説いているのです。

(3)心の平穏と安心

心の状態を常に平穏に保つことは、非常に難しいと多くの人が考えがちです。

しかし、中村天風は「人間は感情を制御できる」と明言しています。

人生の中で、腹が立つ出来事に遭遇したり、自分は不幸だと感じたりすることがあるでしょう。

何が起きたとしても事実を受け入れ、自身の心を自在に切り替えることで真の「安心」を得られると中村天風は説いています。

中村天風自身が92歳まで情熱を燃やし続け、大往生を遂げたことからも、心の平安と安心を実感しながら生きることの大切さが立証されたといえるでしょう。


3.中村天風の教えから学べること
(1)人生のすべては積極精神で決定される
中村天風の言説をまとめた書籍『成功の実現』には、次の一節があります。

「人生の一切合財のすべてが、この積極精神というもので決定されるのです。」

現代ではさまざまな成功哲学が広く知られるようになり、いわゆるポジティブマインドの重要性を多くの識者が説いています。

中村天風は「積極精神」に日本でいち早く着目し、人生を決定づける重要な要素として位置づけたのです。

積極的な姿勢・思考で人生と向き合うことは、中村天風哲学を実践する上での原点ともいえるでしょう。

(2)人間の欲望を否定しない
中村天風の思想をまとめた著書として有名な書籍『運命を拓く』には、次の言葉が紹介されています。

「人生は積極性を発揮して、大いに欲望の火を燃やせ。」

自己啓発や宗教においては、欲望を抑え制御することが重要と説かれる傾向があります。

中村天風は欲望こそが人生を切り拓く原動力になると捉え、むやみに欲望を否定しないよう説いているのです。

進歩や向上を実現するには、雑念や妄念を取り払い、真理をまっすぐに見据えて目標を掲げる必要があります。

より良く生きたいという前向きな欲望は大いに燃やすべきだ、という中村天風の言葉は現代にも通じる普遍的な教えといえるでしょう。

(3)人はいつでも幸せになれる
前述の書籍『成功の実現』には、幸福と不幸に関する中村天風の考えとして次の一節が見られます。

「本当の世界ってものは、幸福でもなければ、不幸福でもなければ、不健康でもなければ、また健康でもない。」

不幸な出来事に立ち合ったとき、自身の不遇を嘆いたり、つい不平不満を口にしたりしていませんか?

私たちを取り巻く世界はそもそも幸福でも不幸でもなく、ありのままの姿しか見せていないと中村天風は説きます。

心が怒りや悲しみに支配されているとき、私たちは無意識のうちに感情に執着しているものです。

感情に振り回されることなく、より根源的な「世界の姿」へと目を向けようとすることで、人は周囲に感謝の気持ちを持つことができ、いつでも幸せを実感できると中村天風は説いているのです。


参照元: 「SEMINERS」Webサイト

以上

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