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和楽器/ 和の心を奏でる



日本の「和楽器」は、美しい音色や、和と洋のコラボなどで世界中の音楽業界から注目を浴びている楽器です。

時代の変化に合わせて進化してきた和楽器は、誇るべき日本の伝統のひとつです。

職人の手によりひとつひとつ丁寧に作られていて、その手法や背景にある歴史を詳しく知ると、とても奥深い楽器が多いです。

今回、日本の伝統的な楽器である和楽器について、解説いたします。


〈目次〉
1.和楽器とは
(1)日本古来の和楽器
(2)仏教と共に伝来した和楽器
(3)江戸時代に町民から愛された和楽器
2.和楽器の特徴
(1)特有の揺らぎやかすれがある
(2)小さな音量の楽器がある


1.和楽器とは
和楽器とは、古くから日本で使われてきた伝統的な楽器のことです。別名「邦楽器」「伝統楽器」と呼ばれることもあります。

日本固有の楽器だけでなく、中国などの他の大陸から伝来してきた楽器や、そこから派生して長い歴史の中で形を変えてきた楽器など、実に多種多様です。

その数は50種類以上あると言われています。「和太鼓」「尺八」「三味線」「和琴」(わごん)などは、比較的ポピュラーな和楽器です。

尺八


和琴


(1)日本古来の和楽器
大陸文化の影響を受ける前から日本で使われていた楽器は、和琴、「神楽笛」(かぐらぶえ)、「笏拍子」(しゃくびょうし)など。 

「神楽笛」(かぐらぶえ)


弥生時代の遺跡から「鈴」や「銅鐸」(どうたく:祭礼に用いた銅製の鈴)などの楽器、膝の上に「琴」(箏[そう])や鼓を持っている埴輪(はにわ)が出土しており、その当時から和楽器がすでに存在していたことが分かっています。

(2)仏教と共に伝来した和楽器
飛鳥時代から奈良時代にかけて、仏教の伝来と共に「笙」(しょう)、「篳篥」(ひちりき)、「竜笛」(りゅうてき)、「楽太鼓」(がくたいこ)など、多くの楽器が中国から日本へと流入してきました。このときに伝わった楽器を使用し、貴族の間で「雅楽」(ががく)が流行しました。

雅楽(ががく)


また、渡来した文化には、のちに狂言のもととなった「散楽」(さんがく)や「猿楽」(さるがく)もありました。

「東大寺正倉院」(とうだいじしょうそういん:奈良県奈良市)には、尺八、笙(しょう)、琵琶(びわ)、など、当時の楽器が今でも大切に保管されています。

笙(しょう)


琵琶(びわ)


(3)江戸時代に町民から愛された和楽器

中国から入ってきた「三弦」(さんげん)は、沖縄に渡って「三線」(さんしん)に、さらに江戸時代になって改良されて三味線になるなど、地域や時代で形を変えて進化。三味線は能楽や当時の流行の踊りなどと結びつき、歌舞伎の誕生に大きな影響を与えました。

また、それまでは貴族の間で雅楽のための楽器として使用されていた琴(箏)も、三味線と出会うことで合奏曲が作られたり、町民や武家の女性の趣味として大流行したりするなど、町民から愛される楽器だったのです。

三味線



2.和楽器の特徴
和楽器は繊細な音色の変化を尊重し、追求しました。特に室内で使用される和楽器にその特徴が顕著に表れており、演奏当日の天気や雰囲気などで使用する楽器を変えることがあるほどです。

和楽器の音の特徴について解説いたします。

(1)特有の揺らぎやかすれがある
和楽器の魅力は、なんと言ってもその音です。尺八や笛などの音の強弱やかすれ、三味線や琵琶などの揺らぎのある音は、意図的に作り出されています。

これらの美しい音色は、楽器に施された工夫や、演奏技術によって生み出されているのです。

また、噪音(そうおん:雑音のこと)も美しさと認められているのが特徴です。通常は噪音を出さない楽器でも、あえて噪音を出す奏法もあるほどです。

(2)小さな音量の楽器がある
西洋楽器と比較すると、同じ種類でも音量が小さい楽器が多いのも和楽器の特徴です。

西洋楽器の場合、ホールのような広い場所で演奏することが多いため、大きな音が要求されがちです。

そのため、大きな音が出るように楽器が改良されたり、大きな音が出せない楽器は淘汰されたりします。

それに対し、和楽器は比較的小規模な空間で演奏することが少なくありません。そのため、耳を凝らして微細な音色の変化を楽しめるような繊細な楽器が数多く存在しているのです。

なお、日本でも和太鼓、「鉦」(しょう)、鐘、篳篥、「法螺」(ほら)などは屋外で使用することがあるため、音量を増すような改良がされています。

和太鼓


参照元: 「刀剣ワールド」Webサイト

以上

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